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5. 鶏鳴教会(Saint Peter in Gallicantu)
エルサレム(Jerusalem)は、ヘブライ語で「平和の都」を意味する中東の世界遺産です。
シオン山の麓にあたる標高約800m地点に位置しており、ユダヤ・キリスト・イスラムという3つの宗教における聖地として古くより親しまれています。
その歴史は3000年以上に及び、聖書に記されている数々の重要なエピソードでもお馴染みです。
アダムとイヴが知恵の実を食べて楽園を追放されたり、広大な海原が真っ二つに割れて道が生まれる「モーセの十戒」などのエピソードは、宗教にあまり詳しくない人でも1度は耳にしたことがあるはず。
宗教といえば独特の先入観を抱いてしまう人も少なくありませんが、旧約聖書のエピソードは私たちにとって意外と身近な存在なのです。
フランスのルーヴル美術館に所蔵されているミケランジェロの作品「ダビデ像」や世界中の有名画家が描く「ノアの方舟」も、おそらく多くの人がご存知でしょう。
実は、これらもユダヤ教を起源とする旧約聖書に記されているものなのだそう。
エルサレムが聖地として崇められる理由は、これらの重要な場所が集中していることにあると言えるでしょう。
複雑な歴史柄、日本のニュースでも度々取り上げられている地域ですが、『世界最古の都市』の一つであるほか、歴史深い見どころも多いので大変見応えのある街です。
エルサレムの主な見どころは、城壁に囲まれた旧市街に集中しています。
現在のエルサレムは旧市街と新市街の2つに分かれていますが、1860年代までは約1km四方の城壁内だけがエルサレムとされていたのだそう。
旧市街はさらにイスラム・ユダヤ・キリスト、およびアルメニア人が暮らす4つの地区で構成されており、それぞれを徒歩で自由に行き来することができます。
筆者がエルサレムを訪ねたのは、2022年5月のこと。
ここでは、実際に現地を訪れた旅行者の目線で観光に役立つ情報をまとめていきます。
2022年10月現在、日本とイスラエルを結ぶ直行便は就航しておりません。
エルサレムへ行くにはイスラエル最大の都市であるテル・アビブ(Tel Aviv)を経由してアクセスするのが一般的です。
ベングリオン国際空港にはドバイやイスタンブールなどの中近東の都市をはじめ、ヨーロッパの主要都市からも多くの国際便が運航しています。
ライアンエアーをはじめとする格安航空会社の路線も就航しているので、上手く利用すればヨーロッパの国々から片道2,000〜3,000円ほどで行けることも。
また、エルサレムはイスラエル東部、ヨルダン国境から車で1時間ほどの場所に位置しているため、ヨルダンから訪れることも可能です。
ベングリオン国際空港からエルサレムへは、シェルート(乗合タクシー)を利用するのが便利です。
空港はエルサレム中心部から52kmしか離れていないため、所要時間は1時間程度となります。
乗車料金は1人あたり64シェケル(約2,700円)。
乗り合いバスにしては高いという印象を抱くかもしれませんが、タクシーで移動すると片道一万円近くかかってしまうこともあります。
空港に到着すると「シャトルサービス」の案内表示が見えるため、それに従って進みましょう。
乗合バスといっても宿泊先のホテルまで真っ直ぐ送ってくれるので、意外と使い勝手が良いのが特徴です。
荷物が少ない方は、エルサレム中央バスターミナル行きの路線バス(485系統)を利用するのも良いでしょう。
こちらは交通費が格段に安く済むので、節約派の旅行者におすすめのアクセス手段です。
イスラエルとヨルダンの国境はいくつかあるのですが、中でも最もポピュラーなのがキング・フセイン橋(King Hussein Bridge)を経由するルートです。
首都・アンマン(Amman)から JETT(ジェット) という地元のバス会社が国境行きのバスを運行しています。
出発時刻は午前6時半、なんと1日1本しか無いのです。
もう少し遅い時間帯が良い方は、国境までタクシーで真っ直ぐ向かうことを検討すると良いでしょう。
バスで向かう場合の運賃は片道11JD、国境までの所要時間は約1時間。
イスラエル側ではシェルートが待機しており、そこからエルサレムまではさらに1時間の道のりとなります。
こちらの運賃は2022年5月時点で、片道約59シェケルでした。
ヨルダン・ディナールで支払うことも可能なので、現地通貨が余っている場合はここで使いましょう。
また、国境越えをする際はヨルダン側の出国税(20JD)が必要となりますので、現金の用意は忘れずに。
2022年10月現在、エルサレム周辺には外務省による危険情報(レベル1)が発出されています。
筆者は女性一人で5泊ほど滞在しましたが、特に身の危険を感じるような出来事はありませんでした。
そうとはいえ、中東方面に旅行するなら最新の治安情報の確認は欠かせません。
イスラエルを含む中東諸国の情勢は日ごとに変化しています。
外務省が運営する 海外安全ホームページ では、エルサレムをはじめとするイスラエル全土の危険情報を随時更新しています。
たびレジ に登録すれば最新の安全情報を日本語で入手できるので、ぜひ利用してみてください。
エルサレムを訪れるなら、春(3月中旬〜5月下旬)と秋(10月〜11月上旬)がおすすめです。
中東といえば砂漠をイメージする人が多いですが、エルサレムには雨季(11月下旬〜3月頃)もあります。
降雨量そのものはピーク時でも日本の梅雨の半分程度ですが、この時期は雨に降られることが多いので、雨具を持って行くと便利でしょう。
日中の気温は東京の冬と同じくらいですが、エルサレムは標高がやや高いので朝晩はかなり冷え込みます。
そのため、12月以降の旅行は本格的な冬の装いが理想となります。
6〜9月は気温の高さよりもジリジリとした日差しが気になるかもしれません。
中東の紫外線量は日本よりも多いので、帽子やサングラス、日焼け止めは必須アイテムといえます。
エルサレムは小さな町ですが見どころが多く、主なスポットを巡るだけでも1日がかりとなります。
教会やモスクなどの宗教施設は見学できる時間が限られるほか、時期によっては巡教者で混雑し、思うように動けないことも。
1日目はまずホテルにチェックインして、街をゆっくりと歩いてみましょう。
早めに到着する方は同日中にいくつかの教会や寺院を訪れるのも良いと思います。
旧市街は地区ごとに宗教や雰囲気だけでなく、食文化まで全く異なるので比べてみると面白いですよ。
2日目は早い時間帯に観光を始めるのがベスト。
朝なら大型バスのツアーグループも少なく、快適に過ごせます。
旧市街での移動は基本的に歩きとなるので、行程を2日以上に分散すると体力的にも楽に観光を楽しめるでしょう。
ここでは、エルサレムを訪れるなら見逃せないおすすめの見どころをご紹介します。
旧市街は、8つの門が設けられた高い城壁で囲まれています。
各スポットにはその中で最も美しく賑わいを見せる「ダマスカス門」を起点とする所要時間を記載しています。
城壁内での観光は基本的に徒歩となりますので、訪れる際はなるべく歩きやすい靴で行くのがおすすめです。
エルサレムを象徴する存在として親しまれるのが、こちらの建物です。
金色に輝くドームと細やかな装飾を施した鮮やかなブルーの外観は訪れる者すべてを魅了します。
これは預言者ムハンマドが昇天したといわれる場所に建つ「世界最古のイスラム建築」です。
内部にはムハンマドが昇天する際に踏み台にしたと伝わる聖岩が保存されています。
真下にはアブラハム、ダビデ、ソロモンをはじめとする聖人が祈りを捧げた洞窟が残ることから、ユダヤおよびキリスト教を信仰する人々も聖地として崇める大変重要な場所です。
住所 : The Temple Mount, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス : ダマスカス門より徒歩10分
定休日 : 金・土・祝日、ラマダン期間中の午後
営業時間 : 【4〜9月】8:30〜11:30/13:30〜14:30【10〜3月】7:30〜10:30/12:30〜13:00
料金 : 無料
岩のドームが位置する神殿の丘を取り囲むのは、ご覧のような高い壁。
人の大きさと比べると、その規模がお分かりいただけると思います。
この壁はモーセの契約の櫃が納められていた神殿の残りからなるもので、ユダヤ教の聖地とされています。
現在残るのは長さ約50m、高さ約20mの部分のみ。
創建時の建物はユダヤ王ヘロデの時代に改築されたのち、紀元70年頃にローマ軍によって破壊されました。
金曜日を中心に信仰者たちが壁に向かって祈りを捧げる姿を見ることができます。
住所 : Suq El Qatanin St, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス : ダマスカス門より徒歩11分
電話番号 : +972 2 627 1333
営業時間 : 24時間
料金 : 無料
公式サイト : 嘆きの壁
旧市街の東側にそびえる、オリーブ山。
青々とした木々が生い茂るのどかな地域ではありますが、ここにはキリスト教の聖地がいくつも存在します。
西側の麓にはイエスが生前よく足を運んでいたといわれるゲッセマネ(Gethsemane)という地域があります。
イエスは使徒の1人であったユダの裏切りによって、この場所で捕らえられたのだそう。
ゲッセマネの園は、イエスが最後の祈りを捧げた場所として知られています。
この辺りにはイエスにゆかりのある教会も多いので、ぜひ合わせて足を運んでみてください。
住所 : Mount of Olives, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス :
公式サイト : オリーブ山
「最後の晩餐」は新約聖書に記されるもので、最も有名なエピソードの一つ。
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた作品でお馴染みですが、エルサレムの旧市街にはイエスが処刑される前の晩に弟子たちを集めて最後の晩餐を行った伝説が残る場所があります。
アルメニア人地区のシオン門からほど近いところにある、ダビデ王の墓。
最後の晩餐の部屋は、この建物の隣にある小さな入口を抜けた先の2階に位置しています。
現在見られる建物は、十字軍が建造したものなのだそう。
西洋風の佇まいではありますが、15世紀にはモスクとして使用され、所々にその名残を感じることができます。
イエスの軌跡を辿るなら、必ず足を運んでおきたいスポットです。
住所 : The Last Supper Room , Cenaculum, Khativat Etsyoni, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス : ダマスカス門より徒歩20分
電話番号 : +972 2 671 3597
営業時間 : 8:00〜17:00
料金 : 無料
公式サイト : 最後の晩餐の部屋
シオンの丘に建つ鶏鳴教会は、1931年創建のカトリック教会です。
教会そのものは新しいですが、地下にはイエスが留置され拷問を受けたといわれる石造りの小さな牢獄が残されています。
ゲッセマネで捕らえられたイエスが最後の一晩を過ごしたのが、この場所。
敷地内に残る石段は19世紀に発掘されたもので、約2,000年以上の歴史があることが確認されています。
イエスが処刑されたのは紀元以降なので、それが事実であればこの石段を歩いたと考えてもおかしくはありません。
住所 : Ma’aleh Hashalom – Mont Sion, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス :
電話番号 : +972 2 673 17 39
定休日 : 毎週日曜・12月25日・1月1日
営業時間 : 【聖堂・遺構】8:30〜17:00【ショップ】9:00〜17:00
料金 : 一般 10シェケル/学生 5シェケル
公式サイト : 鶏鳴教会
死刑を言い渡されたイエスは、自身の処刑が執り行われるゴルゴダの丘まで歩いて移動しました。
ヴィア・ドロローサは、この時イエスが十字架を背負って歩いたといわれる道です。
始発点は旧市街北東部のイスラム地区にあるライオン門付近であったと考えられています。
およそ600mの通りには、「ステーション」と呼ばれる祈りの場が計14ヵ所設けられています。
写真はイエスが2度目に倒れた場所であるといわれる、第7ステーション。
ここは、かつて死刑囚への罪状を読み上げる判決文を貼り出す門があった場所なのだそう。
キリスト教徒にとって最も重要な道であり、常に多くの巡礼者で賑わっています。
住所 : Via Dolorosa, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス : ダマスカス門より徒歩3分
営業時間 : 24時間
公式サイト : ヴィア・ドロローサ
聖墳墓教会はイエスの遺体が埋葬されたといわれる場所に建つ、キリスト教の聖地です。
ここはステーション10〜14がある "ヴィア・ドロローサの終点" でもあります。
創建は4世紀まで遡り、1700年あまりの歴史を誇ります。
ちなみに、現在見られる建物は十字軍時代に再建・修復されたものなのだそう。
教会内には多くの見どころがありますが、「イエスの墓」と「香油を注がれた石」は見逃せません。
写真は、十字架から降ろしたイエスの聖骸に香油を注いだ伝説の大理石板です。
背後にはその様子を描いた壁画があるので、宗教に詳しくない人でもイメージしやすいですよ。
住所 : Suq Khan e-Zeit and Christian Quarter Rd., Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス : ダマスカス門より徒歩7分
電話番号 : 02-626-7000
営業時間 : 【4〜9月】5:00〜20:00【10〜3月】5:00〜19:00
料金 : 無料
公式サイト : 聖墳墓教会
エルサレムには、ゴルゴダの丘ではないかと推測される場所がもう一つあります。
それが、ダマスカス門から5分ほど歩いたところにある園の墓です。
プロテスタント派をはじめとする一部は、真の墓として信じているのだそう。
真実は誰にも分かりませんが、足を運ぶ価値はあるといえます。
巡礼しに訪れる人の中には、その場で泣き崩れてしまう人も。
園内は自由に見学できますが、英語のガイドツアー(無料)に参加すると宗教や歴史への理解がさらに深まります。
入口には日本語のパンフレットも用意されているので、そちらを見ながら自分のペースで見学を楽しむのも良いでしょう。
住所 : The Garden Tomb, Conrad Schick St, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス : ダマスカス門より徒歩7分
電話番号 : +972 2 539 8100
定休日 : 日・月曜
営業時間 : 9:00〜12:00/14:00〜17:00
料金 : 無料
公式サイト : 園の墓
世界的にも物価の高い国として知られる、イスラエル。
旅行に行くなら当然ホテルのお値段も気になりますよね。
エルサレムを訪れる観光客に人気があるのは、旧市街もしくはその周辺のエリアです。
1泊あたりの宿泊料金は、2名1室で2〜3万円が目安となります。
ここでは観光に便利な立地のおすすめホテルを厳選してご紹介します。
19世紀後半に築かれた歴史のある建物を利用したブティックホテル。
旧市街のユダヤ地区に位置しており、観光に最適なロケーションが魅力です。
岩のドームや嘆きの壁、聖墳墓教会をはじめとするエルサレムの定番スポットにも徒歩10分以内でアクセスすることができます。
客室は全部で51室。
各ゲストルームにはエアコンと液晶テレビのほか、冷蔵庫、電気ポットが備えられています。
バスタブの有無はお部屋によって異なるので、予約時に確認してください。
コンパクトなお部屋ではありますが、観光をメインに滞在するなら十分でしょう。
宿泊料金は2名分の朝食付きで1泊 25,000円〜。
物価が高いイスラエルでは朝食だけでも1人 2,000円前後かかってしまうので、この点を加味すればかなりコスパが高いと言えます。
食事の美味しさにも定評があるので、旧市街でホテルをお探しの方はぜひチェックしてみてください。
住所 : Batei Mahase 1, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス : ダマスカス門より徒歩12分
電話番号 : +972 2 569 6569
営業時間 : チェックイン 15:00/チェックアウト 11:00
予約サイト : Expedia Booking.com Hotels.com
オリエント エルサレムは旧市街から1km程のところにある高級ホテルです。
ラグジュアリーで洗練された雰囲気は、さすがの5つ星。
宿泊料金は1泊2名で4万円前後〜と少しお高めですが、観光を交えながらホテルステイを楽しむならここがおすすめです。
全客室には防音加工が施されており、周りの音が気になる方でもゆっくりとお休みいただけます。
浴槽付きのお部屋もあるので「旅先でもお風呂に入りたい」という日本人ならではの願望も叶いますよ。
水回りも清潔、何よりモダンな空間の美しさが堪りませんよね。
筆者が注目したのは、充実した館内設備。
このホテルにはレストランやバーに、フィットネス、サウナ、ホットタブ、ハマムまで、様々な設備が併設されているのです。
プールは、なんと屋内外にそれぞれ1つずつ設けられています。
数日かけてゆっくりとエルサレムを観光するなら、ぜひ滞在していただきたいホテルです。
住所 : 3 Emek Refa'im Street, Jerusalem
マップ : Googleマップ
アクセス :
電話番号 : +972 2 569 9090
営業時間 : チェックイン 15:00/チェックアウト 12:00
予約サイト : Expedia Booking.com Hotels.com
中東の世界遺産「エルサレム」の見どころをご紹介しました。
様々な宗教の聖地が集うこの街は、あえて大人におすすめしたい観光地です。
普段ではそれほど意識することがない旅行先の文化も、エルサレムを訪れればさらに理解が深まることでしょう。
短い旅行でも多くの見どころが満喫できるので、ぜひ一度訪れてみてください。
最終更新日 : 2024/04/08
公開日 : 2022/10/13