top > 東アジア・中国・台湾 > 日本 > 京都
本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
京都の洛西エリアに佇む苔寺は、正式名称を「西芳寺(さいほうじ)」といいます。
日本人はもちろん、世界中の人々を魅了してやまない苔寺について、まずは概要や歴史、そして予約方法と拝観料をご紹介します。
京都市西京区にある西芳寺、通称・苔寺は、臨済宗の寺院。
広大な庭園一面に苔が広がることから、苔寺と呼ばれています。
足利義満・義政も参詣し座禅に励んだという歴史ある寺院で、その幻想的な風景は、1994年に世界文化遺産に登録されました。
近年の「Zen(禅)」の世界的人気もあり、世界各地からの参拝者が日々訪れています。
過去にはスティーブ・ジョブズも訪れたそうですよ。
事前申込制の少人数参拝という制限がありつつも、その静寂の世界を求め、常に人が絶えないお寺です。
西芳寺は、奈良時代に行基によって創建され、鎌倉時代初期に法然上人が浄土宗に改宗しました。
その後、1339年に作庭技術でも名高い高僧・夢窓国師が禅寺として再興し、今の庭園がつくられたといいます。
聖徳太子の別荘でもあったという西芳寺は、二度の改宗に加え、戦乱・洪水といった数多の困難に見舞われましたが、その度に復興され、2031年に開山1300年を迎えます。
過去には、放火での全焼から織田信長によって復興された歴史もあるほか、金閣寺・銀閣寺の庭園は西芳寺を模したともいわれています。
苔寺の拝観は、時間指定のある事前予約制です。
以前は誰でも参拝が可能でしたが、観光ブームによりトラブルが相次いだため、1977年から少人数での参拝となりました。
寺院としての本来の目的を重視し、参拝者一人ひとりに対して丁寧な対応を取るためにも、必要な制度といえるでしょう。
実際訪れてみると、年中人でごった返す京都市内で、混雑もなく心を落ち着かせて自然の美しさを楽しめる西芳寺は貴重な存在だと感じました。
予約方法は、以下のようにオンライン申し込み・往復はがきの2パターンがあります(詳細は こちら )。
拝観料は1人当たり4,000円+オンラインの場合システム手数料110円(各税込)です。
公式サイトの「 日々参拝 」ページよりアカウントを作成し、日時を選んで申し込みます。
1つのアカウント(はがきも同様)で2人まで申し込みが可能です。
筆者は3人で来訪したため、2つアカウントを作成してそれぞれ申し込みました。
2カ月前〜前日までの申し込みができ、申し込み時にクレジットカード決済を行うとQRコードが送られます。
受付期間は2カ月前〜1カ月前消印です(詳細は こちら )。
返信はがきが届いたらそれを持参し、当日現金で支払い入場となります。
その他、寺務員によるガイドや、会員限定の座禅会・早起き参拝などさまざまなイベントも受け付けています。
公式サイトの「 折々参拝 」ページで、開催日時等を確認しましょう。
苔寺拝観には、以下のような約束事や注意点があります。
敷地内では大声での談笑はもちろん、会話自体も控えめにしましょう。
情報に溢れた忙しない日常を忘れ、静寂の中を心を落ち着かせて歩き、自分自身を見つめてみてください。
苔寺へのアクセスは、電車とバスの2通りがあります。
主要ハブであるJR京都駅・地下鉄四条駅から向かう場合のアクセス方法を、それぞれ見ていきましょう。
京都バスまたは市バスで、直接苔寺へ到着します。
最寄りバス停は、近くに「鈴虫寺(華厳寺)」「地蔵院」があるため、休日や繁忙期はやや混み合います。
【JR京都駅前から】
京都バス・73号系統「苔寺・すず虫寺」下車、徒歩2分:合計約60分
【四条烏丸駅前から】
市バス・143号系統「鈴虫寺・苔寺道」下車、徒歩2分:合計約60分
電車の場合は、阪急烏丸駅から阪急電車で向かいます。
【徒歩で向かう】
烏丸駅→桂駅乗り換え→上桂駅下車、徒歩19分:合計約30分
【バスを併用する】
烏丸駅→桂駅乗り換え→松尾大社駅下車
松尾大社駅前から京都バス・63号系統「苔寺・すず虫寺」下車、徒歩2分:合計約28分
バス1本で向かう方が楽ですが、乗り換えが苦でなければ電車と組み合わせる方が所要時間が半分ほどで済み、混雑も避けられます。
住所 : 京都市西京区松尾神ヶ谷町56
マップ : Googleマップ
アクセス :
電話番号 : 075-391-3631
定休日 : 8月14日、12月30日、12月31日
参拝時間 :
料金 : 往復はがき申込時 1人3,000円、オンライン申込時 1人4,000円
注意点 : 往復はがき申し込みの場合は2か月前から2週間前(消印)、オンライン申し込みは2週間前から前日が申し込み受付期間
公式サイト : 西芳寺
苔寺では、広大な敷地に広がる苔はもちろん、その他にも魅力があります。
筆者が実際に訪れた際のレポートも交えてご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
史跡・特別名勝である苔寺の庭園は、実は二段式。
上段の枯山水式庭園は通常非公開で、私たちが見られるのは下段の池泉回遊式庭園です。
庭がつくられた室町時代当時は、白砂青松の日本庭園だったといいます。
応仁の乱や、度重なる洪水等の水害で廃れたあとに苔が自生し、江戸末期になり現在の姿になったそうです。
3万5,000平方メートルもの敷地一面に自生する苔は、なんと120以上の種類があるといいます。
中には、絶滅危惧種に挙げられる苔も生育しているのだそう。
私たちがイメージする苔とは異なる風貌のものも多く、苔の観察だけでも十分に楽しめます。
庭園の中央には「黄金池」という池が広がっています。
黄金池は、心の字を形どっているのだとか。
池には朝日ヶ島・夕日ヶ島という島が浮かび、稲荷明神が祀られたお堂が建っています。
また、足利家将軍などが庭を眺めた際に船を用いたことから、端には小舟がひっそりと姿を見せており、より情景豊かな様子を醸し出しています。
苔寺は、季節ごとの表情の移り変わりも見物です。
筆者が訪れた11月は、一部の木々が色づき、まるで加工をしたかのような鮮やかな紅葉と苔のコントラストを楽しめました。
一方で、新緑の頃から夏は、苔が一層みずみずしい青さを放つといいます。
冬もまた、落ち葉が積もった苔庭で、侘び寂びの風情を感じられるでしょう。
千利休の養子・千少庵が、桃山時代に建立した茶室です。
国の重要文化財に指定された貴重な建物で、境内最古の建造物でもあります。
過去、幕末の尊王攘夷派公卿・岩倉具視が、江戸幕府に蟄居を命じられた際に隠れ住んだ隠遁所でした。
黄金池に映る月が眺められる、北向きの月見台が特徴です。
庭園への出入り口横にある「中門」は、苔寺随一のフォトスポットです。
現在は閉鎖していますが、中門は中参道・総門へと続いています。
筆者が訪れたのは11月3週目ですが、もう少し後になると紅葉の落ち葉がつくる赤い絨毯が見られるようです。
ゆっくりと写真撮影するならば、人の少ない朝一または最後の回を予約するのがおすすめですよ。
「西来堂」という名を持つ本堂は、西芳寺を再興した夢窓国師により名付けられました。
阿弥陀如来を本尊とし、写経を始めとする修行などを行う場所です。
内部には計104面もの抽象画の襖絵があり、堂前には1400年ほど前の聖徳太子の時代から湧き続けるという「夕日の清水」も残っています。
入場したら庭の拝観前に、心の準備として本堂で写経を行いましょう。
漢字を使わない国の人々でも行いやすい短さの「延命十句観音経」で、所要時間は15分ほどです。
海外からの参拝者でいっぱいでしたが、皆さん真摯な姿勢で静かに写経に取り組んでいました。
完成した写経はお焚き上げをお願いしてもよし、持ち帰ってもよし。
筆者は持ち帰って飾っています。
寺院の入口「衆妙門」を入るとすぐ左手に、大きな石碑が見えます。
これは、苔寺の観光ブームを牽引した大佛次郎の小説「帰郷」の一節を、ノーベル文学賞作家・川端康成が書したものです。
その他、総門横に高浜虚子の句碑も飾られていたり、川端康成をはじめとする数々の小説に西芳寺が登場したりと、文学とも縁が深いお寺なのです。
バス停や駅から歩いて向かうと、西芳寺川沿いにまず見えてくるのが総門です。
そうとはいえ、事前申込制開始後は長きに渡って閉鎖されており、非公開となっています。
秋には、このように真っ赤に染まった紅葉が見られます。
橋と川のせせらぎとの調和は、少し立ち止まってみてほしい景色です。
西芳寺の御朱印は、見開き両面タイプです。
禅宗の教えの通り、華美な装飾はなく質素でありながら、力強さと趣を感じます。
本堂への入口に御朱印やパンフレット等の受付所があり、500円(税込)で購入できます。
持ち帰り用もありますが、御朱印帳に直書きしてもらう場合は写経前に預けて、写経後に受け取ると良いでしょう。
京都・苔寺(西芳寺)は、苔が一面広がる美しい庭園が味わえるお寺です。
事前に予約が必要ですが、それによってオーバーツーリズムを避け、私たち参拝者は落ち着いて自然を楽しめます。
普段なかなかすることのない写経も、自分自身を見つ直す良い機会になるでしょう。
スマホを閉じて会話を控え、その場での一瞬一瞬を感じるゆったりとした時間は、まさに「禅の心」を味わう時間となるはずです。
住所 : 京都市西京区松尾神ヶ谷町56
マップ : Googleマップ
アクセス :
電話番号 : 075-391-3631
定休日 : 8月14日、12月30日、12月31日
参拝時間 :
料金 : 往復はがき申込時 1人3,000円、オンライン申込時 1人4,000円
注意点 : 往復はがき申し込みの場合は2か月前から2週間前(消印)、オンライン申し込みは2週間前から前日が申し込み受付期間
公式サイト : 西芳寺
▼京都観光の関連記事
・ 京都の観光スポット103選!魅力あふれる京都の旅をエリア別の観光ガイドで心行くまで満喫!
最終更新日 : 2023/12/04
公開日 : 2023/12/04