top > 東アジア・中国・台湾 > 日本 > 神奈川 > 横浜
本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
日本においても、過去に実在した人物を神格化して祀る風習がありますよね。
例えば菅原道真や平将門とか、明治天皇など、神格化された理由は様々ですが、祀られた社は日本を代表する神社として崇敬されているところも多いです。
このように、亡くなった偉人を神格化する風習はお隣の中国にも存在します。
儒教の祖である孔子や、南宋時代の忠臣・岳飛、三国時代(蜀)の丞相・諸葛亮(孔明)などが代表的な例です。
今回のテーマである「関帝廟」は、古代中国の後漢~三国時代に活躍した実在の武将・関羽(雲長)を御神体として祀っている廟(宗教施設)のことです。
関羽という人が具体的にどんな人物だったのかは後述しますが、死後1800年以上経っているにもかかわらず、中国人の間でとても尊敬されている偉人であることは間違いありません。
関帝廟は中国大陸各地に存在しますが、華僑の海外進出に伴い、台湾やベトナム、シンガポールなど各地に建立されるようになりました。
日本においても、横浜のほか神戸、長崎、函館など各地に点在しています。
今回は特に歴史が古く、規模も大きな横浜中華街にある「横浜関帝廟」をご紹介します。
主神 : 関聖帝君(関羽)
住所 : 神奈川県横浜市中区山下町140(横浜中華街内)
マップ: Googleマップ
アクセス :
JR根岸線・石川町駅(中華街口)より徒歩6分 関内駅(南口)より徒歩10分
みなとみらい線・元町中華街駅より徒歩5分
電話番号 : 045-226-2636
営業時間 :
通常 9:00~19:00
大晦日 ~ 3:00(年越し)
元旦・春節 8:00~21:00
1月2-3日 9:00~21:00
料金 :
入場無料
内部参拝(500円・線香代)
公式URL : 横浜関帝廟
関帝廟の御神体は関羽(雲長)、今から1800年以上昔の中国・三国時代に実在した武将です。
歴史書『三国志』、『三国志演義』に登場する人物で、吉川英治の小説のほか、最近では映画やアニメ、ゲームでもお馴染みですね。
立派なヒゲを蓄えた偉丈夫で、名刀「青龍偃月刀」・名馬「赤兎馬」を武器に無敵の強さを誇る豪傑として描かれています。
また、義兄弟で主人の劉備に最期まで忠義を尽くした義臣として、同僚の諸葛亮(孔明)とともに、三国志で最も人気がある人物でもあります。
この関羽は、実際にはどのような人物で、なぜ神として祀られるようになったのでしょうか。
関羽(?~220)、字は雲長、身長は216cmの巨漢で、自慢のヒゲの長さは48cmもあったといわれています。
その立派なヒゲから「美髯公」と呼ばれていました。
『三国志演義』では超人的なパワーを持つ豪傑として登場しますが、誇張された部分も多々あります。
関羽は今の山東省・解州の生まれとされていますが、生まれた年を含めてはっきりしたことはわかっていません。
西暦160年の旧暦6月24日生まれとの説もあり、この日は「関帝誕」として祝福されますが、こちらも事実かどうか不明です。
故郷で子供相手の塾の先生をしていたそうですが、誤って豪族の一人を殺害してしまい、涿郡に逃れてきたといわれています。
この地で劉備・張飛と出会い意気投合、桃の果樹園内で義兄弟の誓い(桃園の契り)を交わして行動を共にするようになります。
やがて中国全土を巻き込んだ叛乱「黄巾の乱」が発生、3人は義勇軍に参加します。
以後紆余曲折しながら、劉備が蜀を建国するまで大活躍するのですが、この当たりの経緯は『三国志』に詳しく記載されています。
特記すべきは、関羽が降将として敵である曹操の配下に加わったときのエピソードです。
関羽の才能をことのほか気に入り、何とか自分の部下にしたいと望んだ曹操は、関羽を厚遇でもてなします。
関羽は曹操への恩義に報いるため、戦で手柄をたてますが、心の中では劉備の元に戻りたいとの一念でした。
やがて関羽は曹操からの恩賞をすべて返し、劉備のもとへ帰還。
曹操はその忠義心の強さに強く感動したとか。
時は流れ、主人で義兄である劉備が蜀を建国すると、関羽は要衝の地・荊州を守る将軍として赴任します。
ところが荊州は呉の孫権も併合を狙った地。
孫権は劉備との同盟を裏切り、魏の曹操と手を結びます。
孤立した関羽は呉との樊城の戦に敗北し、養子の関平とともに処刑されるという最期を遂げてしまいました。
遺骸は孫権によって曹操に送られますが、曹操は最高位の礼を持って迎え、その死を悼んだとされています。
劉備に絶対的な忠誠を尽くした関羽の生涯は、その後の歴代王朝の為政者だけでなく、庶民の間でも高い人気がありました。
財務や会計の知識も豊富だったとされ、その忠義心と誠実さは商売にも通じるため、商売繁盛や富の繁栄の象徴として神格化されることになったようです。
中華街の商人たちに篤く信仰されているのはそのためです。
ソロバンを考案したのも関羽の功績だと伝えられますが、こちらは俗説にすぎないかもしれません。
また、武勇に優れていただけでなく、学問にも精通した知識人だったことから、「学業成就」や「合格祈願」の神様としても崇敬されています。
横浜中華街にある「横浜関帝廟」は、150年以上の歴史がある国内最古の関帝廟です。
このエリアで暮らす華僑の心の拠り所でありますが、現在では日本人観光客も気軽に参拝に訪れる観光スポットにもなっています。
風水では横浜中華街もパワー漲る場所ですが、その中心部に位置する横浜関帝廟は、最強の霊気が集中するパワースポットでもあります。
江戸幕末の安政6年(1859年)に横浜港が開港すると、中国(当時清国)から多くの商人や職人が来日し、横浜中華街の原型が形成されました。
その3年後の文久2年(1862年)、中華街の裏通りに関羽(関聖帝君)を祀る小さな祠が造られたことが、関帝廟のはじまりです。
やがて関東地方の華僑たちの寄付が集まり、明治3年(1871年)には本格的な中国様式に改修されました。
関東大震災や横浜大空襲での焼失の都度再建されましたが、再び昭和61年(1986年)の元旦、原因不明の火災により焼失してしまいます。
この時、御神体である関聖帝君・観音菩薩・地母娘娘の像は奇跡的に焼失を免れることができました。
やがて地元横浜だけでなく、東京・大阪・神戸で暮らす2000人以上の華僑によって6億円もの寄付が集まり、再建に着手することになったのです。
建物の建造には本土出身の中国人建築士が選ばれ、装飾や建築資材は可能な限り中国から輸入したものが使用されました。
再建場所も今までの裏通りから、人通りの多い現在地に変更となり、平成2年(1990年)に完成して現在に至っています。
関帝廟で祀られている神様は関羽だけではありません。
古代中国の神話に登場する神、道教で崇められている神、仏教の菩薩など様々な神が一堂に祀られています。
それぞれの神様を参拝することにより、万能のパワーを授かれるようになっています。
中国神話上の最高神であり、天と地のすべてを支配しています。
あまりにも尊い存在のため、横浜関帝廟においても「御神体」と呼ぶべきものは存在しません。
参拝するのは関帝廟内ではなく、この場所から望む天空です。
そのため、横浜関帝廟内の本殿天井は、玉皇上帝が住んでいる天空を仰ぎ見るような意匠となっています。
ご利益:世界平和・人生に関わる全ての願い事
関帝廟の主神であり、本殿真正面に鎮座しています。
「関聖帝君」という名は、道教における関羽の称号。
熟した棗(なつめ)の実のように赤ら顔だったとされる関羽を模して、顔は真っ赤。
そして「美髯公」の名のとおり黒々とした長いヒゲが特徴です。
関羽の生涯どおり苦難に立ち向かう勇気と忠実さ、強さの象徴でもあります。
向かって右側に「関平将軍」、左側に「周蒼将軍」を従えています。
ご利益:商売繁盛・金運上昇・学業成就・合格祈願など
関平は関羽の養子(実子という説も)。
『三国志演義』によると、曹操に敗れて離れ離れになった桃園義兄弟(劉備・関羽・張飛)が再会を果たしたのが、河北の住人・関定の屋敷。
関平は関定の次男で、劉備らの志に感銘した関定の願いにより随員に加わり、子供がいなかった関羽の養子になったとされています。
関羽と行動を共にし、幾多の武功を挙げましたが、最後は呉の孫権によって義父とともに処刑されてしまいました。
御神体は白い顔で表現され、義父・関羽の随神として崇められています。
『三国志演義』などに登場する架空の人物です。
元々は山賊で、容貌魁偉で怪力の巨漢として描かれ、関羽の人柄に惚れて配下に加わったとされています。
関平とともに関羽の側近として活躍しますが、関羽の死を知って絶望し自害したと記されます。
御神体は黒い顔で表現され、関羽愛用の青龍偃月刀を捧げ持っています。
関平同様、主神である関聖帝君の随神です。
古代中国神話の地母神(大地の神)で、関帝廟唯一の女神です。
多産・肥沃・豊穣のほか、長寿、地上の災難からの保護を象徴しています。
関帝廟本殿の左側に鎮座します。
旧暦10月18日には、横浜関帝廟内において地母娘娘の生誕祭が開催されます。
ご利益:安産祈願・健康増進・病気治癒・防厄など
お馴染み・仏教の観音菩薩ですが、日本で見る観音菩薩像とは姿が異なりますね。
こちらの観音菩薩は、東京の浅草寺から分香されたそうです。
関帝廟本殿の右側に鎮座します。
菩薩は苦しい現世から民衆を救う守護神(仏)で、慈悲、優しさ、思いやりを表現しています。
ご利益:健康増進・安産祈願・良縁・解難
古代中国の農村から生まれた自然神で、「土地公」とも呼ばれています。
五穀豊穣や豊漁をもたらす神として、農民や漁夫だけでなく商人たちからも尊崇されてきました。
横浜関帝廟では、本殿の斜め右側に鎮座しています。
関聖帝君と同じように、赤ら顔と豊かな黒ひげが特徴です。
ご利益:金運上昇・財産安全
基本的には上記すべての神様に祈りを捧げることになります。
横浜関帝廟は、境内に入るだけであれば無料で見学することが可能です。
お供えの線香(500円)を購入すれば入場券がもらえ、本殿内に入場して参拝することができます。
注意事項としては当然のことですが、境内での喫煙や飲食は禁止されています(禁止の看板あり)。
また、境内での写真撮影は自由ですが、本殿内での撮影は禁止されています。
本殿内の撮影を希望する場合は、外から撮影するようにしましょう。
横浜中華街は複雑な造りになっているため、よほど熟知していないと迷ってしまうことがあるかもしれません。
横浜関帝廟は、メインストリートである「中華街大通り」と並行する「関帝廟通り」沿いにあるので、アクセスは良好です。
山下公園側からは「朝陽門」、元町方面からは「朱雀門」を通って、アミューズメント施設「横浜大世界」を目指すとわかりやすいと思います。
「朱雀門」から目指した場合、横浜中華街もう一つのパワースポット・「横浜媽祖廟」前を通過します。
「横浜大世界」からまっすぐに延びる、賑やかな通りが「関帝廟通り」です。
通り沿いには中国料理の名店や土産店、菓子店が軒を連ね、「横浜関帝廟」に至るまで楽しい散策を期待できます。
関帝廟通りを「横浜大世界」側(天長門)から入って、すぐ左手に現れるのが「山下町公園」です。
小さな公園ですが、喧騒の横浜中華街で心休まる憩いの空間となっています。
この地は、幕末の頃「会芳楼」という劇場があり、その後清国や中華民国の領事館が設置されていた場所です。
公園内にある中国風東屋は「会芳楼」を再現した「会芳亭」。
異国情緒たっぷりな休息を楽しめます。
この公園は、春節や国慶節、関帝誕など横浜中華街の各種イベント会場としても利用されるところです。
関帝廟通りと小さな路地通り・中山路が交差する付近に関帝廟が見えてきます。
みなとみらい線の「元町中華街」駅からは徒歩5分、JR根岸線・石川町駅からも延平門⇒西門通り経由で6分で到着します。
日本の伝統的な寺社にはない、煌びやかでエキゾチックな建築様式が魅力の横浜関帝廟。
中国や台湾から直輸入した建築資材を使用し、超一流の建築士が手掛ける最高技術を駆使して再建されました。
再建にかかった工期は2年以上にも及び、使用した金箔だけでも3.5kgにも及んだとされています。
横浜関帝廟に行ったら見逃せない、魅惑の必見スポットをご紹介します。
うっかり見逃してしまいそうですが、関帝廟入口の階段に注目。
階段の両端(手すりがあるところ)に、大きな龍の彫刻のある石板が設置されています。
この龍のモデルは「昇り龍」と呼ばれ、中国では出世や運気向上を表す大変縁起がよいものです。
こちらの石板は北京から輸入された雲龍石で、4.5トンもある一枚岩から彫り出して造られています。
龍の鱗ひとつまで丁寧に彫刻されており、間近にみると迫力満点です。
こちらの石柱もまた雲龍石で造られたもの。
芸術性の高さに、思わず見とれてしまいますね。
「牌楼(はいぼう)」とは門のこと。
横浜中華街のシンボルとして、通りの出入口に設置されている壮大なものが有名ですが、こちらも絢爛さでは負けておりません。
中国の風水思想に基づき、邪気を払い福を招く目的で置かれるもので、日本では神社の鳥居のような位置づけになります。
横浜関帝廟の牌楼は高さ12m。
中国では縁起が良いといわれる赤い柱と、金箔に彩られ、細かい彫刻が施された豪華絢爛な様式が特徴です。
屋根部分に鎮座している龍の飾りと、吊るされた赤い提灯が異国情緒を醸し出しています。
境内に入ってすぐ左手にある、中国風の塔。
「金紙」とよばれるお賽銭の紙を焚きあげる炉です。
この紙を一旦祭壇にお供えし、願い事を祈りながら焚きあげるとご利益があるといわれます。
手順としては、まず数枚を丸めて火をつけ、炉内に投入します。
残った金紙を炉の入口に供えておくと、アラ不思議!1枚1枚吸い込まれるように炉の中に入っていきます。
まるで神様が紙の枚数を数えているみたいですね。
この塔は、台湾の職人によって2014年に造られました。
周囲には中国古典の名場面などが描かれ、こちらも必見です。
日本でもお馴染みの狛犬ですが、こちらはとってもユーモラス!
おどけた表情(?)で、しかもカラフルです。
おまけに子どもの狛犬まで抱えています。
この狛犬は台湾原産の石を用いて、鎌倉の職人が完成させたもの。
1986年の火災を生き抜いた、奇跡の狛犬です。
本殿の階段下に佇む燭台です。
左右に植えられた竹が情緒を誘います。
100円で蝋燭を購入し、燭台に供える形になっています。
蝋燭は足元を照らし、正しい道に導く象徴であり、こちらでお供えすれば、商売繁盛や金運上昇のご利益が得られるそうです。
いよいよ豪華絢爛な本殿に到着します。
細部にまで意匠を凝らした建築様式は、中国や台湾からの資材を用い、最高水準の建築技術によって完成しました。
まず注目したいのは、本殿を支える4本の柱。
台湾で造られ、運びこまれたものです。
柱に彫られた精密な彫刻には、『三国志』の名シーンが再現されています。
オレンジ色に輝く屋根は、中国の建築様式には欠かせない「瑠璃(るり)瓦」。
粘土瓦に特殊な釉薬を塗ったもので、カラフルな色彩を表現できるメリットがあります。
こちらの瑠璃瓦は、北京の名門工房に特別発注したものです。
屋根には極彩色に彩られた龍が安置され、中央には地球儀が置かれています。
龍の屋根飾りは台湾で発注されたもの。
骨組みをセメントで固め、表面は瑠璃ガラスで細工されています。
ほかにも聖獣や魚などの細工が設置され、その精密な美しさは圧巻です。
本殿の階段を昇ると、線香の香炉が設置されています。
具体的なお参りの方法は後述しますが、境内には5つの香炉があり、ゾウを象ったデザインなど見た目もユニーク!
日本の線香とはスケールが違う、花火のように大きな線香も必見です。
そして本殿の内部。
入場するには、入口の受付所で線香を購入する必要があります。
お供えの線香(5本:500円)に入場券が付いてきます。
正面には主神である「関聖帝君(関羽)」と関平・周蒼の両将軍、ほかに地母娘娘など3神が鎮座しています。
ここで中国独自の参拝方法で、御祈りを捧げましょう。
本殿内の煌びやかさは、外観以上です。
柱や燭台、欄干に至るまで、ぎっしりと細かい装飾が施され、黄金に輝く様子はこの世のものとは思えないほどの眩さ!
特に天空を表現した天井の装飾は圧巻で、思わずため息が漏れるほど。
『三国志』の名シーンを現した装飾が所々に再現され、ファンにはたまりません。
せっかく横浜関帝廟を訪れたのなら、見学だけでなく実際に参拝体験もしてみましょう。
馴染みがない異国の神様なので、お参りの方法は日本とは異なりますが、これも楽しい異体験!
関羽様たちが貴方の願いを叶えてくれるかもしれません。
日本の神社・仏閣についてもいえることですが、正しい参拝方法には細かいしきたりがあります。
関帝廟は中国の伝統宗派・道教に基づく宗教施設なので、参拝方法も日本の寺社とは異なります。
似ている点もありますが、全く馴染みのない点の方が圧倒的!
そんな横浜関帝廟の正式な参拝方法をご紹介します。
日本の寺社と同じように、本殿前に設置してある賽銭箱に投銭し、願い事を祈願することもできます。
しかし、せっかくなら中国式の参拝を体験してみるのも楽しいです。
まず境内の向かって右側にある受付の券売機にて、お供え用の線香(500円)を購入します。
日本の線香より遥かに大きな線香が5本と、関羽人形のイラストが描かれている入場券が渡されます。
初めての参拝であれば、参拝の方法を教えてもらえるので聞き逃さないようにしましょう。
線香は火をつけた状態で渡され、お供えの準備ができました。
※日本の場合と同じように、線香の炎を息で吹き消すことはNGです。手であおいで消しましょう。
順路に従って、線香を香炉にお供えします。
香炉は祀られている神様の数と同じように5個設置され、それぞれに1つずつお供えすることになります。
香炉前で3回お辞儀をし、お供えをした後合掌して、お願いごとを告げる手順です。
まず最初にお供えするのは、本殿から向かって正面に設置されている「玉皇上帝」の香炉。
中国神話上の最高神であり、一番尊い神様です。
こちらでは願いは大きく「国泰平安」をお祈りします。
次に主神である「関聖帝君」の香炉にお供えします。
こちらでは商売繁盛・家内安全・学業成就・入試合格など、一身に関わるお願いごとを祈願しましょう。
3番目は「地母娘娘」の香炉。
大地を支配する女神です。
健康維持・増進と災難除けを祈願します。
4番目にお供えする香炉は「観音菩薩」。
日本でもお馴染み、仏教の観音さまです。
健康増進や厄除のほか、縁談や安産にもご利益があるといわれています。
最後にお供えする5番目の香炉は「福徳正神」。
日本人には馴染みのない、古代中国の自然神です。
豊穣をもたらす神様とされるので、金運上昇や財産保全をお願いしましょう。
自分の得意分野に特化したご利益を授けるのが、中国の神様の特徴。
横浜関帝廟では、いろいろな神様に多くのお願いをすることができますね。
それではお供えした人へのご褒美。
本殿内での参拝に進みます。
本殿内に入るには、線香と一緒にいただいた入場券が必要です。
入場券を入口の係員に掲示してから入場する順番になります。
参拝方法は少し複雑です。
不明な点があったら係りの人に説明してもらいましょう。
まず最初に最高神「玉皇上帝」に参拝します。
この神様は天空に住んでいるので、本殿内に御神体は存在しません。
本殿から南の正門に向けて合掌し、お願い事を告げます。
次に本殿内正面に鎮座している「関聖帝君」に参拝します。
ここからの手順は他の神様に参拝する時も同じです。
という手順になります。
香炉の場合と同じように、礼拝する順番の看板が設置されています。
「玉皇上帝」の御神体はないので、看板は4番目までしかありません。
従って2番目は、大地の女神「地母娘娘」となります。
「関聖帝君」から向かって左側に位置しています。
3番目は「観音菩薩」。
こちらは「関聖帝君」の右側に鎮座しています。
最後は自然神「福徳正神」。
観音菩薩の前側、関聖帝君の斜め右側にあります。
4つの御神体すべての礼拝が終わったら、横浜関帝廟の参拝は終了です。
ところで、本殿内参拝に使用した入場券。
ちょっとしたお土産になりますよ。
裏面は護符となっており、「交通安全」や「学業成就」などのお守りとして利用できます。
名刺サイズなので、財布や定期入れに入れるのにもピッタリです。
受付では本格的なお守りも販売していますので、興味のある方は購入してみてくださいね。
横浜関帝廟では、おみくじも楽しめます。
ただ、日本のおみくじとは違い、1枚の紙で健康運や金運、恋愛運などすべての項目が占えるわけではありません。
願いごとは1つだけなので、あらかじめ何を占いたいのか絞っておく必要があります。
おみくじをする場所は、線香やお守りを販売している境内の受付所ではありません。
本殿入口にある入場受付です。
「おみくじ」の案内も貼ってないので、初めての人にはわからないかもしれませんね。
この受付で「おみくじ」したい旨を告げます。
すると金運や健康運など、何を占いたいのか聞かれる(占える項目は柱に貼り紙があります)ので、自分が占ってもらいたい項目を選択します。
今回「金運」を占うことにします。
受付の人から、「福徳正神」の御神体前に行くようにいわれ、おみくじの方法を記した紙を渡されます。
※商売・受験に関することは「関聖帝君」、恋愛運に関することは「観音菩薩」など、願う内容によって違ってきます。
「福徳正神」の御神体前まで来ました。
上の画像にある茶色い筒(聖簽)を持ち、自分の氏名・住所・生年月日の報告とお願い事を心のなかで祈願します。
その後、聖簽からおみくじ棒を1本取り出します。
中国式のおみくじは、棒を引いたらおしまいではありません。
その後にもワンステップ作業が残っています。
神筈(しんばえ)とよばれる三日月状の神具(上の画像で看板前にあるもの)を床に落として、最終的な占いを決定します。
落とした2枚の神筈が、表と裏だったら成功ですが、仮に表=表だったり、裏=裏だった場合は、おみくじ棒を引くところからやり直しです。
チャレンジは3回まで。
3回やっても成功しなければ、本日はご縁がなかったとしてあきらめましょう(泣)。
引いたおみくじ棒が神筈でご神託を得たら、その棒を受付に渡して結果の紙を貰います。
おみくじ棒には番号が書いてあり、その番号に該当する紙を貰う仕組みです。
今回の結果は8番!
日本のおみくじと同じように、文語調の本文に注訳の説明書きがあります。
裏面は中国語版。
おみくじをお供えする場所はないので、記念に持ち帰りましょう。
金紙は、神様への金銭献上と、願い事が叶った時のお礼として奉納します。
関帝廟のロゴが印刷された黄色い紙の束で、お金の代わりとなります。
金紙奉納を行うには、お供え線香代(500円)のほか、別途金紙代(1,000円)が必要です。
まず最初に本殿の供物台に金紙をお供えし、参拝した後に金亭の炉でお焚き上げします。
1,500円とやや高額ですが、興味のある人はぜひ試してみてくださいね。
横浜関帝廟では、年間を通じて各種イベントが開催されています。
特に正月、春節(旧正月)、そして「関帝誕」は盛大で、横浜中華街全体がお祭りムードに包まれます。
中でも毎年夏に開催される「関帝誕」は必見。
ぜひ訪れておきたいものです。
主神である関羽の誕生日を祝うお祭りで、毎年旧暦の6月24日に開催されます。
旧暦なので開催される日時は毎年変動し、令和2年(2020年)は8月13日でした。
午前中は廟内で拝神の儀式が行われ、午後からは横浜中華街全体での賑やかなお祭りとなります。
奉納の獅子舞・龍舞など伝統芸能が鑑賞できるほか、夕方から開催される壮大なお神輿、パレードは圧巻!
各飲食店でも「関帝誕」を祝うイベントが行われるなど、真夏の横浜中華街は最高潮に達します。
開催日 : 毎年旧暦6月24日(開催日時は毎年変動)
開催内容 :
拝神儀式 11:00~12:00(関帝廟内)
神輿巡行 17:00~20:00(横浜中華街全体)
※年によって変動あり
横浜中華街には、関帝廟のほかにもう一つのパワースポットが存在します。
創建は比較的新しく、知名度は今ひとつですが、横浜中華街で暮らす華僑の人々に深く信仰されている廟です。
媽祖廟~特に中国大陸南部の海岸域や台湾で、篤く崇敬されている女神を祀っています。
横浜媽祖廟は、横浜中華街の関帝廟通りと交差する「南門シルクロード」沿いに位置しています。
創建は平成18年(2006年)と新しく、横浜開港150周年を記念して台湾の「天后宮」から分霊して開廟しました。
御神体は「媽祖」~北宋時代(10-11世紀)に実在したとされる女性・林黙娘を祀っています。
媽祖は福建省の官吏・林氏の娘、生まれてから一か月もの間泣き声をあげなかったため「林黙娘」と名付けられたとされています。
幼少の頃より利発で神通力があったとされ、病気の人を治したり、災難から人を助けたりの奇跡を起こしたため、「通賢霊女」と崇められるようになりました。
しかしながら28歳になった時、海難事故で行方不明になった父親を探しに海に出たまま再び戻ることはなかったそうです。
海で死亡したと思われる黙娘は、やがて仙人に誘われて神になったと伝承され、航海の安全を守る神・「媽祖神」が誕生しました。
横浜媽祖廟では、「天上聖母」と尊号された媽祖をはじめ、最高神「玉皇大帝」、縁結びの神「月下老人」、子宝の神「註生娘娘」など、9つの神様を祀っています。
線香を香炉にお供えし、本殿内で参拝する方法は関帝廟と同じです。
交通安全や商売繁盛のほか、良縁や安産・子宝にご利益があるなど、女神らしく女性に優しい廟となっています。
こちらも正月や春節(旧正月)のほか、「媽祖誕(旧暦3月23日)」には、賑やかなイベントが開催されるので、ぜひとも参加してみましょう。
住所 : 神奈川県横浜市中区山下町136
マップ: Googleマップ
アクセス : みなとみらい線・元町中華街駅より徒歩3分
電話番号 : 045-681-0909
営業時間 :
9:00~19:00
※年末年始・春節・イベント開催日は変動あり
公式URL : 横浜媽祖廟
『三国志』が再びブームとなっています。
古代中国を舞台に、魅力あふれる英雄たちが大活躍する物語は、時空を越えて多くの人を感動させますね。
この物語でお馴染みの関羽を祀る「関帝廟」は、三国志ファンにはたまらないスポットです。
また、異国情緒たっぷりの雰囲気で、外国の神様に気軽にお参りを楽しめます。
パワースポットである「横浜関帝廟」。
今まで訪れる機会がなかった人も、横浜中華街に来たらぜひ立ち寄ってみてくださいね。
最終更新日 : 2021/10/21
公開日 : 2020/12/28