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「JR鶴見線」はJR京浜東北線の鶴見駅を起点として、横浜市(鶴見区)と川崎市内の京浜工業地帯を繋ぐ鉄道です。
全長9.7kmと短い路線ですが、途中で2つの支線に分かれるため、下記3つの終着駅が存在します。
全路線を合わせると13駅となり、起点となる鶴見駅以外はすべて無人駅となっています。
この鉄道の利用者は、沿線にある企業や工場に勤務する通勤客が大多数。
そのため、朝夕の通勤時間帯以外は、ほとんど利用する人がいません。
運航ダイヤも通勤時間帯に合わせて作られているので、日中は本数もまばら。
沿線に住宅地が少ないこともありますが、地元の人たちは鶴見線ではなく、交通網が充実している「川崎鶴見臨港バス」などのバス路線を利用するケースがほとんどです。
鶴見線の前身は、大正13年(1924年)に設立された浅野財閥系の「鶴見臨港鉄道」。
埋立地である現在の路線エリアで営業展開していましたが、戦争中の昭和18年(1943年)に国有化され、国鉄の鶴見線となりました。
JR傘下にありながら、今もなお独自の雰囲気を漂わせているのはこうした理由もあります。
また、駅名の由来も独特です。
鶴見線沿線にある会社の設立者や、この地域の発展に貢献した人に因んで命名されています。
一例を挙げると以下の通りです。
ほかにも昭和駅は昭和電工、新芝浦駅と海芝浦駅は東芝(前身は芝浦製作所)と、駅前にある企業の名前から命名されたものもあります。
変わりダネは「国道駅」。
駅の目の前に国道(国道15号線)が走っているからだそうです。
鶴見線のほとんどの駅周辺には、観光スポットは存在しません。
工場や倉庫群しかなく、周囲にコンビニや飲食店もない駅もたくさんあります。
沿線も殺風景な工場地帯や雑草が生い茂る荒地が続き、お世辞にも美しい車窓とはいえないかもしれません。
しかし、そんな鶴見線に惹かれる人が急増しているとのこと!
どこに魅力があるのでしょうか。
鶴見線の駅は、鶴見駅を除いてすべて無人駅。
駅舎そのものに、通常の駅のイメージを覆す素晴らしい魅力があります。
一見すると廃墟に等しい駅舎が多いですが、まるで時間が止まってしまったかのようなレトロで懐かしい空間が広がっています。
ひなびた山間の秘境駅にしか見えない駅舎もあり、ここが大都会のど真ん中にあるとは信じられないようなギャップがたまりません。
そして、非日常を体験できる駅が多いことも鶴見線の魅力のひとつ。
ホームを降りたらすぐ目の前が海だったり、タイムスリップしたかのような光景にめぐり合えたり、あるいは大勢のネコに囲まれたりします。
路線が短いので、一日ですべての見どころを制覇することだって可能です。
東京からも近いため、思い立ったら気軽に「ぶらり鉄道の旅」を楽しめるのも嬉しいですね。
気軽に楽しめる鶴見線の旅ですが、いくつか気を付けなければならない点があるため、事前に確認しておきましょう。
鶴見線の旅を楽しみたい人のほとんどは、週末や祝日、しかも日中の時間帯に訪れたいと思っているはず。
しかし、運航ダイヤは平日の通勤時間帯を中心に作られているため、乗りたいと思う時刻に電車が来ないことがよくあります。
例えば秘境感たっぷりの大川支線に至っては、日中の運航は全くなく、しかも土日祝日に至っては1日3往復しかありません。
やっとのことで電車に乗れたとしても、ここからまた問題が発生します。
鉄道旅行の醍醐味である「途中下車の旅」に困難を伴うのです。
一旦途中下車してしまうと、次の電車が到着するまで長時間ホームで待つことになってしまいます。
途中下車して観光を楽しむ場合は計画をたて、必ず運航ダイヤを確認しておきましょう。
鶴見線は扇町駅終点の本線のほか、2つの支線があります。
鶴見駅から電車に乗る場合、行ってみたい駅に停まる便なのか予め確認しておかねばなりません。
しかも電車の終点がとても複雑で、必ずしも「終着駅」まで運行するとは限らないのです。
武蔵白石駅や浜川崎駅停まりなどの便も多数運行しています。
鶴見線の路線図を事前に頭に入れておかないと、目的地と全然違う方向に来てしまった…なんてことになりかねません。
乗ってきた電車が目的地の途中で終点となってしまったとか、乗るべき路線を間違えてしまったなんていうことはありますね。
通常の電車であれば、乗換えたり次の電車を待つなどスムーズに進みますが、そうはならないところが鶴見線。
とにかく乗換がとても面倒なんです。
一度改札を出ないと乗り換えられない駅があったり、踏切を渡らないと反対ホームに辿りつけなかったり…そんな駅が複数あります。
駅員がいない無人駅だから、確認することも難しいです。
しかも乗換の電車が到着するまで、長時間待たされることも覚悟しなければなりません。
そんな不自由極まりない鉄道ですが、そこがまた鶴見線の魅力でもあります。
ここからは、鶴見線主要駅のおすすめスポットと、周辺の見どころを紹介していきます。
鶴見線の起点・JR鶴見駅は、首都圏を代表する大きな駅のひとつ。
JR京浜東北線を利用すれば東京や横浜中心部方面へのアクセス抜群ということで、多くの人に利用される駅です。
また、駅周辺はとても賑やか。
東口方面には京急鶴見駅もあり、横浜市内でも有数の繁華街となっています。
鶴見は横浜市の副都心でありながら、横浜よりも隣接する川崎市に近いイメージの工業地帯として知られています。
その京浜工業地帯へのゲートウェイとして、鶴見線はこの駅から出発します。
鶴見駅から鶴見線に乗る場合、改札を2回通らなければなりません。
京浜東北線の改札を通って駅構内に入った後、もう一度鶴見線の改札を通る必要があるのです。
これは鶴見線の各駅が無人駅のため、無賃乗車を防ぐ目的があるからなのだそう。
アーチ型の屋根に覆われたホームは、昭和レトロな雰囲気たっぷりです。
仏教寺院の大本山といったら、人里離れた山の中や、京都・奈良のような古都にありそうな気がしますよね。
名刹「総持寺」は、工業の街・鶴見の中心部、しかも駅前の繁華街からも近い欲世たっぷりの場所に立地しています。
それにも関わらず、この一角は凛とした神聖な空気に満ちており、さすがに名刹の風格を実感します。
鎌倉時代の名僧・道元禅師が開いた曹洞宗は、禅宗の教えを組み、約15,000の末寺院と1,200万人の檀信徒を抱える大宗派です。
総持寺は福井県の永平寺とともに、曹洞宗の大本山として君臨しています。
総持寺は昔から鶴見にあったわけではなく、元々は石川県の輪島市にありました。
1321年に瑩山紹瑾によって建立され、やはり曹洞宗大本山として繁栄してきましたが、明治31年(1898年)に焼失してしまいました。
明治44年(1911年)になって現在の鶴見の地に移転、旧総持寺は「總持寺祖院」として奥能登・輪島に残っています。
総持寺の境内敷地は約15万坪と広大。
格式高い伽藍に囲まれた境内は、無料で参拝することができます。
緑豊かな境内は静寂に包まれ、大都会の駅前にいるとは思えないほどです。
一般人が参加できる「参禅会」も実施されているので、興味のある人はぜひ挑戦してみましょう。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-1
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見駅西口より徒歩5分
電話番号 : 045-581-6021
公式URL : 曹洞宗大本山總持寺
鶴見線沿線には、遥か昔に廃駅となった幻の駅があります。
鶴見駅を出発してすぐの高架上、総持寺の目の前に存在した「本山(ほんざん)駅」です。
鶴見線がまだ鶴見臨港鉄道だった昭和5年(1930年)に、総持寺の門前駅として開業しました。
参拝客で賑わった駅でしたが、戦争中の昭和17年(1943年)に廃止され、わずか12年の歴史に幕を閉じたのです。
現在駅舎は撤去されて跡形もありませんが、プラットホーム跡が高架上に残されています。
かつて駅構内だった高架下はバス会社の営業所などに再利用され、当時の面影はありません。
鶴見線の遺跡・「本山駅跡」は、鶴見線の車窓から見学できるほか、総持寺前に設置された跨線人道橋の上からも確認することができます。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区豊岡町1付近
マップ: Googleマップ
アクセス : 総持寺正門目の前
鶴見駅を出発した電車が、最初に停まる駅が「国道駅」。
駅の目の前を走る道路は国道15号線(第一京浜)。
横浜と東京を結ぶ大動脈で、非常に交通量が多い道路です。
国道沿いにあることから命名された国道駅は、周囲の喧騒から完全に隔離されたかのような、レトロで不思議な空間が広がります。
昼間でも薄暗い駅構内では、ここだけ昭和の昔から取り残されたような、ノスタルジックな光景を目にします。
数十年も前の店構えを保った不動産屋や一杯飲み屋、そして表札を掲げた民家らしきもの、あまりにも衝撃的です。
駅構内の意匠は昭和5年の駅開業以来ほとんど変わっていないらしく、戦前にはこの場所に「臨港デパート」という商業施設があったともいわれています。
国道駅はそのレトロな魅力から、『男女7人夏物語』や『華麗なる一族』など、多くのドラマや映画のロケ地にも使用されてきました。
鶴見線沿線の中でも高い人気を誇る駅です。
こちらの焼き鳥さんは、店を構えて40年以上の老舗!
常連で賑わう人気店です。
国道駅の裏手、ガード下をくぐった反対側にある通りが「生麦魚河岸通り」です。
こちらは知る人ぞ知る「ハマのアメ横」、約400mに渡って約20軒の鮮魚店や海鮮飲食店が立ち並びます。
新鮮な旬の魚介類をリーズナブルな価格で購入できるとあって、プロの料理人御用達の市場となっています。
そうといってもプロだけでなく、一般人も買い物を楽しめるのが生麦魚河岸の魅力。
魚の捌き方も懇切丁寧に教えてもらえますよ。
生麦魚河岸の歴史は古く、横浜がまだ一漁村だった江戸時代の頃に遡ります。
幕府に献上する良質な魚介類が水揚げされ、旧東海道の区間でもあったことから大いに栄えたといわれています。
生麦魚河岸では原則として日曜・祝日、市場休みの水曜日以外に、朝市が開催されます。
早朝の時間帯が一番活気があり、午前中の早い時間に終わってしまうので、なるべく9時前に訪問することをおすすめします。
また、新鮮な海鮮絶品グルメを提供しているお店もあるので、こちらもぜひ堪能してみましょう。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区生麦5-18-25
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見線・国道駅下車すぐ
定休日 :
日・祝日 市場休の水曜日
年末年始・お盆
営業時間 : 朝市は10:00位まで
国道駅も住所は生麦ですが、駅を降りて国道15号線を横浜方向に進むと「生麦」の中心部に到着します。
京浜急行の生麦駅がある辺りで、駅前には小さいけれども賑やかな商店街があります。
この生麦という地名、日本史でお馴染みの大事件があったことでも有名ですね。
生麦事件は、江戸幕末の文久2年(1862年)、薩摩藩・島津久光の大名行列を横切ったイギリス商人の一行を、薩摩藩士が「無礼打ち」として殺傷した事件です。
大きな国際問題となり、薩英戦争を経てその後の日本に大きな影響を与えました。
事件の被害者・リチャードソンが落馬して殺された現場には、碑が建てられています。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区生麦1-16
マップ: Googleマップ
アクセス :
JR鶴見線・国道駅より徒歩20分
京浜急行・生麦駅より徒歩10分
営業時間 :年中無休
キリンビール横浜工場は、無料で工場見学と試飲が楽しめるステキなスポットです。
工場見学のコースは3コース用意されており、最も人気があるのが「キリン一番搾りツアー」。
キリンの看板製品・「一番搾り」の製造工程を80分で体験できます。
一番搾り麦汁と二番搾り麦汁の飲み比べや、麦芽の試食、ホップの香りを体験し、最後はテイスティングとして3種類の一番搾りを味わえる大満足なコース。
他にも敷地庭園やビオトープをめぐるコースや、クイズをしながら家族で楽しむファミリーコースもあり、どのコースも内容が充実しています。
併設されているレストランも魅力たっぷりです。
作りたてのビールや工場限定のクラフトビールが楽しめたり、BBQや食べ放題&飲み放題のコースも用意されています。
事前予約が必要な施設ですが、「ノミモノ・ラボ」など予約なしで楽しめるコーナーもありますよ。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区生麦1-17-1 キリンビール(株)横浜工場内
マップ: Googleマップ
アクセス :
JR鶴見線・国道駅より徒歩20分
京浜急行・生麦駅より徒歩10分
電話番号 : 045-503-8250
定休日 :月曜日 年末年始 ※臨時休館あり
営業時間 : 10:00~17:00
料金 : 見学無料(要予約)
公式URL : キリンビール横浜工場
鶴見小野駅周辺は、鶴見線沿線には珍しく住宅地エリアとなっています。
高校あり大型マンションあり、商店街やスーパーマーケットもありと、ごく一般的な住宅街そのもの。
残念ながら途中下車して楽しめるようなスポットはほとんどありません。
無人駅である鶴見小野駅は、住宅街にあるとは思えないようなレトロな駅舎。
上り線と下り線にそれぞれ駅舎が設置されて、相互の移動はできないという不思議な造りになっています。
旅行者には通過されてしまう駅ですが、時間があれば途中下車して、近くを流れる鶴見川沿いを散策してみるのも楽しいかもしれませんね。
鶴見小野駅を出発した電車は、「鶴見産業道路」を越えて、いよいよ京浜工業地帯の中心部に入ります。
鶴見線にある13駅のうち10駅が鶴見産業道路の海側にあり、最初に出迎えてくれる駅が「弁天橋駅」です。
弁天橋の名前は七福神の「弁財天」から命名されています。
京浜工業地帯の埋立地には、七福神から名付けられた地名が他にもあり、恵美須町(神奈川区)や大黒町・大黒ふ頭(鶴見区)も存在します。
弁天橋駅は、木造の門が特徴的な黒壁のモダンな駅舎。
平成30年に改築したばかりの新しい建物です。
JFEエンジニアリング本社が駅に隣接し、周囲に工場が多く存在するなど、京浜工業地帯に入ったことを実感します。
鶴見は移民の人が多いエリアです。
京浜工業地帯の発展に伴い、沖縄県からも多くの人が鶴見に移り住み、産業の発展に貢献してきました。
「仲通商店街」は、そんな沖縄移民の人が多く住む街で、首都圏最大級の「沖縄タウン」として知られています。
商店街にはたくさんの沖縄料理店や物産店が立ち並び、まるで那覇市など沖縄県の街に滞在しているかのような錯覚を覚えます。
現地以外ではなかなか手に入らない沖縄物産を購入したり、本土では珍しい郷土料理・酒を楽しめるなど魅力たっぷりの商店街です。
この周辺に住んでいる沖縄の人々の生活の糧・憩いの場としての意味合いが強いので、観光客目的ではないアットホームな雰囲気が素敵です。
沖縄だけでなく、ブラジルやペルー・ボリビアなど南米のレストランや物産店も多く見かけます。
南米からの移住者も多かったためで、この一角はエキゾチック体験をたっぷり満喫できるスポットになっています。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区仲通
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見線・弁天橋駅より10分
鶴見線が本線と支線に分岐する最初の駅です。
海芝浦方面に行くためには、この駅で「海芝浦支線」に乗換える必要があります。
駅のすぐ近くに大きな公園があるせいか、周辺で家族連れや子供たちの姿を見かけます。
乗換駅のため3つのホームが設置されており、構内は意外と広くて開放的な印象を受ける駅です。
殺風景な工業地帯の中にあって、オアシス的な存在の公園です。
浅野駅から徒歩1~2分の場所に位置しています。
野球場とテニスコートを完備した広大な公園で、自然も豊かです。
園内では四季折々の植生が楽しめて、広々とした芝生にはヤギまで暮らしているため気持ちが安らぎます。
昆虫観察や工芸教室など、年間を通してイベントも多く開催されており、世代を問わず楽しむことができます。
途中下車してぜひ立ち寄りたい穴場スポットです。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区弁天町3-1
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見線・浅野駅より徒歩1~2分
電話番号 : 045-501-2343
浅野駅と海芝浦駅を結ぶ「海芝浦支線」は、全長1.7km、所要時間4分たらずの短い路線です。
設置してある駅は2駅のみ、工場エリアにある私道を進んでいくことになります。
浅野駅から延びる私道は、東芝京浜事業所の敷地内に繋がっています。
ここから先は関係者以外立入禁止で、車やバイク、自転車で駅に到着することはできません。
目指す駅までは、鶴見線に乗るしかないのです。
写真撮影も禁止されています。
さっそく浅野駅から海芝浦支線に乗って、海芝浦駅を目指します。
日中の電車内はほとんど乗客がいません。
載っている乗客のほぼ全員が、海芝浦駅の眺望を楽しむ予定の人です。
東芝京浜事業所の入口ゲート直前にある駅です。
こちらの駅もホームから海を眺めることができます。
しかし、海といっても細い運河(旭運河)のため、雄大な海原の眺望は期待できませんが、臨海の工場地帯独特の景観は見応えがあります。
途中下車は可能ですが、完全な工場エリアに立地しているので、特別に見るべきものはありません。
「ホームから海が一望できる絶景駅」、そして「出られない駅」として紹介され、鶴見線観光で一番の人気を誇る「海芝浦駅」。
駅そのものが東芝京浜事業所の敷地内にあり、本来は東芝の従業員だけが利用する目的で造られた駅です。
改札は1か所で、そのまま東芝の工場に繋がっています。
そのため、許可のない一般人は、改札の外に出ることが出来ないのです。
この駅は、一か所しかないホームが直接海に面して造られているという珍しい構造。
駅のホームに降立つと、目の前には東京湾の大海原が広がっています。
ホームの幅が狭い分、より海の広さをダイナミックに感じるのかもしれません。
また、ロケーションも抜群で、横浜ベイブリッジや鶴見つばさ橋、京浜工業地帯の工場群を一望できる位置にあります。
日中の眺望も素晴らしいですが、夕景や夜景の名所としても人気です。
終着駅のため、到着した電車はそのまま鶴見駅に向けての折り返し運行となります。
駅に電車が滞在する時間は15分程度。
ほとんどの人はその時間内で、海芝浦駅の絶景を楽しむことになります。
次の到着電車を待って滞在もできるのですが、さすが鶴見線だけあってかなりの時間を待たなければなりません。
「出られない駅」である海芝浦駅ですが、駅のホームからは降りることができます。
ホームを降りるとICカード専用の自動改札が設置してあり、一般乗客はこちらから「出場」することは可能です。
行先はただひとつ、「海芝公園」への入口となります。
駅に隣接する公園で、一般人が唯一駅外に出られる場所です。
東芝側の好意により敷地の一部を一般開放・公園として整備したもので、無料で利用することができます。
植林された小さな遊歩道とベンチがあるのみですが、とても快適な空間です。
公園の入口に自動販売機があり、ほっと一息入れながら眺める絶景は格別!
ホームとは違った感覚で楽しむことができます。
元旦も開放しており、初日の出を楽しむ人で賑わいます。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区末広町2
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見線・海芝浦駅直結
開放時間 : 9:00~20:30
この駅名は付近の埋立造営に貢献した旧安田財閥の創設者・安田善次郎から名付けられました。
安田善次郎を略して「安善」。
ニックネームのような名前ですが、こちらの駅がある地名も鶴見区安善町です。
鶴見線のもうひとつの支線である「大川支線」は、この駅から分岐しており、当駅で乗換することになります。
駅周辺には古くからの住宅地も存在しますが、中小規模の工場などが多数を占めます。
また、駅の海側には廃駅となった「浜安善駅」の線路が残っており、こちらも必見スポットです。
かつて鶴見線には本山駅のほかに、もう一つの駅が存在していました。
安善駅から分岐し、海側に1kmほど進んだ場所にあった「浜安善駅」です。
鶴見臨港鉄道時代に「石油駅」として開業、当初は旅客も扱っていましたが、やがて貨物専用駅として利用されることになりました。
しかし、昭和61年(1986年)に当駅まで開通していた「鶴見線石油貨物支線」が廃止されたことにより、浜安善駅も廃駅となってしまったのです。
駅舎は平成21年(2009年)まで残っていましたが、今は解体されて残っていません。
線路の終点に車輪止めが設置されて、わずかに痕跡を留めているのみです。
安善駅から延々と廃線が続いていますが、実はこの線路、完全に廃線となっているわけではありません。
線路は旧浜安善駅近くで分離しており、一方はフェンスで閉鎖されている在日米軍基地内まで続いているのです。
こちらの線路は今も現役で、米軍基地(鶴見貯油施設)から横田基地まで戦闘機の燃料を輸送しているそうです。
安善駅から旧浜安善駅までは、歩いて10分程度の道程となります。
昔の繁栄を偲びながら廃線を辿るお散歩は、きっと楽しい思い出になることでしょう。
住所 : 神奈川県横浜市鶴見区安善町2丁目
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見線・安善町より徒歩10分
安善駅と大川駅を結ぶ「大川支線」は、全長1.6km、所要時間4分の短い路線です。
停車する駅は終点の大川駅しかなく、途中の武蔵白石駅は通過するのみとなっています。
この支線が秘境線とよばれる所以は、あまりにも少ない運行ダイヤによります。
平日は朝夕の通勤時間帯のみ、土日祝日に至っては1日に3本しか運航されていません。
これでは乗ることはもちろん、運行している姿を目撃することすら少ないことでしょう。
運よく乗車できたとしても、戻りの電車がないか、駅周辺で1日を費やしてしまうことになりかねません。
そんなわけで終点の大川駅は、首都圏で最も「辿りつけない駅」とも称されています。
一番近い武蔵白石駅までは歩くこともできますが、20分近い時間を要することになります。
秘境線といわれる鶴見線の中でも、さらに秘境の支線として人気急上昇です。
鶴見線を乗り継いで、やっとの思いで辿りついた待望の大川駅。
周囲が工場地帯であることを忘れたら、山奥の辺境にある「秘境駅」そのものです。
廃墟のようなオンボロの駅舎に、雑草に覆われた線路、単式の狭いホームは、うら寂しさすら感じます。
駅周辺は見どころがない工場地帯・倉庫街なので、この駅自体が目的地であり、「観光スポット」であるといっても過言ではありません。
そうといっても海芝浦駅にように見学客で賑わっていることはなく、日中はひっそりと静まり返っています。
こちらは駅の時刻表。
電車の本数は極端に少ないです。
さすが「辿りつけない駅」の貫禄充分ですね。
終着駅らしく、この付近で線路が終わっています。
雑草が生い茂るなか、この場にそぐわない白百合の花が哀愁を助長します。
こんな景観が間近で見られるのも、大川駅の魅力のひとつです。
この駅から鶴見線は川崎市に入ります。
改装されたばかりのモダンな黒壁が特徴の駅です。
駅周辺の景観は、歩いても5分とかからない安善駅とほぼ同じ。
物流センターが多い印象を受けます。
朝のラッシュ時には多くの利用者で溢れますが、日中は利用者が激減し、寂しい無人駅となります。
途中下車して楽しめるようなスポットはほとんどありません。
JR東日本では大川支線の始発駅と謳っていますが、現在は通過するのみです。
川崎駅周辺の道路標識でも見かける「浜川崎駅」。
名前のイメージからどんな素敵な駅かと期待すれば、古い駅舎に雑草が伸びている無人駅!
こちらの浜川崎駅、鶴見線のほかにも南武線(浜川崎支線)が停車します。
そうといっても駅舎は道を隔てて独立しており、それぞれの往来は一度外に出ないとできない仕組みになっています。
浜川崎駅には貨物専用の路線も走っています。
この一角に3路線の線路が集中していることから、非常に複雑になった線路を見学することができます。
また、たくさんの貨物列車が集結している様子を楽しめるのも、この駅の楽しみのひとつ。
多くの貨物列車愛好家で賑わいます。
浜川崎駅周辺については、産業道路の駅側は住宅地となっていますが、駅のある道路の反対側は工場地帯となっています。
特に駅裏手はJFE工場の敷地で、工場に勤務する社員専用の出入口が設置されているほど。
鶴見線の本線では、こちらの駅が終点となっている電車が多数運行しています。
川崎駅と立川駅を結ぶ南武線。
南北に細長い川崎市内を縦断し、東京の多摩エリアまで繋ぐ通勤・通学の重要な足となっています。
この南武線、あまり知られていない支線があるのをご存じでしょうか。
川崎駅のひとつ先の尻手(しって)駅と浜川崎駅を繋いでいる「浜川崎支線(南武部支線)」です。
南武支線・浜川崎駅は、南武線のイメージとはがらりと異なる無人駅。
鶴見線の浜川崎駅よりも寂れた印象を受けるかもしれません。
道路を隔てて存在する鶴見線・浜川崎駅とは別駅舎となっており、相互間の移動には一度改札を出る必要があります。
その際に自動改札機をタッチしないこと。
改札はスルーで通過しなければ乗換はできません。
こんな貴重な体験ができるのも浜川崎駅ならでは。
乗換の途中で、複雑な浜川崎の線路をぜひ間近で見学してみましょう。
住所 :神奈川県川崎市川崎区南渡田1-2
マップ: Googleマップ
アクセス :鶴見線・浜川崎駅目の前
紙製の乗車券が主流だった昭和の時代、この駅が俄然注目を浴びたことがありました。
語呂合わせが良い日付(昭和55年5月5日や昭和54年3月21日など)の記念乗車券を求めて、全国の愛好家が当駅に集まったのだそう。
今はそんな喧騒も遠い昔、普段の日中はひっそりと静まり返った無人駅です。
駅名の由来は元号からではなく、「昭和電工」の工場敷地に隣接していることから名付けられました。
今でも周囲は昭和電工やJFEスチールなどの工場に囲まれており、民家はほとんどありません。
鶴見産業道路からも離れているので、通常は駅周辺の企業に関連する人以外利用しない駅です。
京浜工業地帯の煌びやかな工場夜景鑑賞が密かなブームとなっています。
鶴見線沿線にも絶景スポットが多数ありますが、多くは工場敷地内となっており、一般人の立入が禁止されている現状です。
今回ご紹介する「扇橋」は、昭和駅から歩いてすぐの場所にある橋。
この橋の上から眺める、ライトアップした工場の絶景は絶対おすすめです。
橋の両側に運河(浅野運河・南渡田運河)が流れる扇橋は、昭和駅から鶴見産業道路方面に歩いて2分くらいの場所に位置しています。
橋の向かって左手に流れる南渡田運河岸には、昭和電工のプラント工場をはじめ多くの工場群があり、抜群の眺望です。
日中の眺望も素晴らしいのですが、ライトアップする夜景の眺望は格別!
訪れる人もほとんどいない、知る人ぞ知る穴場的な夜景観光スポットです。
住所 : 神奈川県川崎市川崎区浅野
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見線・昭和駅より徒歩2分
浜町交差点近くにある「桜本」地区は、在日コリアンの多い街。
戦前から暮らす在日コリアンが独自の文化を育んでいるエリアです。
産業道路に面した通称「セメント通り」は、「川崎コリアタウン」として、焼肉店や朝鮮半島の食材店が軒を連ねるエキゾチックな商店街となっています。
民族衣装の人形が設置された門や、壁一面に描かれた朝鮮風の絵画など、異国情緒たっぷり。
「西の屋」や「東天閣」など、安くて美味い評判の焼き肉店で舌鼓を打ったり、キムチやモツなどの本場食材をショッピングしたりと、本場さながらのコリアンムードを楽しめます。
川崎コリアタウンを訪れるには、川崎駅からバスに乗り換える方法が一般的ですが、昭和駅からも徒歩でのアクセスが可能です。
数十年までと比べれば寂れてしまった感は否定できませんが、「仲通商店街」同様、このような個性的な商店街を散策できることも鶴見線の魅力です。
住所 : 神奈川県川崎市川崎区浜町・桜本
マップ: Googleマップ
アクセス : JR鶴見線・昭和駅より徒歩17分
いよいよ鶴見線は終着駅・扇町駅に到着します。
鶴見駅から出発して、直通電車であれば17分の所要時間です。
始発駅から乗ったとしても、終着駅行きの便が少ないところが鶴見線の特徴。
本線も浜川崎や武蔵白石停まりがあり、朝夕の通勤時間帯でも1時間に3本程度、日中は1時間に1本しかないか全く運行していないので注意が必要です。
扇町駅は、駅正面に花壇と植物用のアーチを設置していますが、四季折々の花を楽しめるような植生はさせていません。
老朽化したレンガ積の駅舎、雑草が茂った線路、ポツンと設置された単式ホームが一層寂れた印象を抱かせます。
扇町駅周辺は工業地帯のど真ん中。
殺風景な景観が広がり、民家はおろかコンビニすらありません。
利用者は昭和駅と同様に周辺企業の従業員がほとんどで、通常一般の人はほとんど利用することのない駅です。
途中下車しても周囲に楽しめるスポットが全くない扇町駅ですが、この駅の「ある魅力」に惹かれてわざわざ訪ねてくる人が少なくありません。
その魅力とは、ネコがたくさん暮らしている駅ということです。
SNSを通じて、「扇町駅のネコたち」は愛猫家の間で評判となっています。
この駅で暮らしているネコは、ざっと数えただけでも相当の数になります。
駅の入口やホームのベンチ、挙句の果てには自動改札口の上など、至るところに出没しているのです。
しかも人間にとても懐いており、寄っていっても逃げるどころが近寄ってくる子もいるほどです。
たくさんの人懐っこいネコと戯れることができるなんで、ネコ好きの人には天国のような駅。
しかし、真夏の日中など条件が悪いと、せっかく訪ねてもネコがいない場合があります。
そんな時は日没後の涼しい時間帯に訪れるようにしましょう。
会えるチャンスが格段に増えますよ。
普段はこのような感じです。
東京都心からも気軽に楽しめる鶴見線の旅。
筆者も通勤で利用していた時期もありますが、当時はその楽しさを意識したことがありませんでした。
今回改めて鶴見線の全駅を訪ね、そのユニークな魅力に惹かれてしまいました。
国道駅、海芝浦駅、大川駅に扇町駅…駅そのものが「観光スポット」という場所も少なくありません。
沿線の見どころも合わせて取り上げましたが、興味深いスポットが多いことも知っていただけたと思います。
ぜひ本記事を参考にして、あなたにぴったりの鶴見線の旅を見つけてください。
公開日 : 2020/08/27