本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
「死ぬまでに行きたい世界の絶景」では、必ず名前が上がるペトラ遺跡。
ヨルダンの首都アンマンから、南へ車で3時間ほどの場所に位置しています。
年間80万人以上もの観光客が訪れるヨルダン屈指の観光スポットですが、日本ではヨルダンという国自体に行ったことがある人はまだ少なく、ペトラ遺跡も遠い秘境的なイメージがあるのではないでしょうか。
こちらは現在公開されているペトラ遺跡の地図。
一説には遺跡全体のまだ15%ほどしか発掘されておらず、一般公開されているのはその中でもわずかな部分だと言います。
一般的には地図右下のビジターセンターから、シクを通りエルハズネを見学、遺跡群を通り左上のエドディルまで行きますが、ご覧の通り遺跡もルートもたくさんあり、2〜3日と通ってペトラ遺跡を堪能する人もいるほどの人気スポットです。
ペトラには紀元前1200年頃の石器時代からエドム人が居住していたと言われていますが、エドム人についての詳細は分かっていません。
紀元前1世紀頃から、砂漠の遊牧民であったナバテア人が北から侵入し、エドム人を追いやり居住し始めます。
やがてメソポタミア、エジプト、ギリシャ、インダスの古代文明を結ぶ要衝の地となり、東のシルクロードと西のローマをも結び、様々な交易品が行き交うようになりました。
砂漠を移動するキャラバン隊の中継基地となり、安全を保障する事で収入を得るほか、商品にも関税をかけていたと言います。
この交易で得た富で、ナバテア人は驚くほどの技術で灌漑・貯水システムを作り上げ、切り立つ岩壁を削り様々な建物を作りました。
紀元前312年に誕生したナバテア王国の首都となったペトラ。
最盛期の人口は3万人を超えていたそうです。
紀元前63年、ローマ帝国はシリアとパレスチナを征服します。
当然ペトラにも勢力を伸ばしましたが、裕福だったナバテア王国は、ローマ帝国の支配下ながら税金を払うことで自治を認められました。
この頃から、ペトラにはローマ帝国による建築物が造営されるようになりました。
結局この自治は長くは続かず、106年にローマ帝国トライヤヌス帝によって、ローマのアラビア属州として完全に取り込まれ、ナバテア王国は幕を閉じました。
ローマ帝国時代には円形劇場、宮殿、官庁、ローマ帝国には不可欠な公共浴場も作られています。
379年にはローマ帝国の国教がキリスト教に定められ、ナバテアの人々はキリスト教へ改宗させられ、ペトラにも主教座が置かれました。
ただし、ナバテアの人々はナバテアの神々を完全に捨てることは出来なかったようで、後のパピルス書物にも神々の名前が記されています。
時が経ち、ペトラの重要性が低くなるに連れ、徐々に衰退していったペトラですが、749年この一帯を襲ったガリラヤ地震で甚大な被害を受けたことが決定打となり、ナバテア人はこの地を放棄したと言われています。
廃墟当然になったペトラには、砂漠の民ベドウィン族がひっそりと暮らすようになりました。
周辺の人にしか知られていなかったペトラが世に知られるようになったのは、1812年のこと。
スイス人の探検家ルートヴィヒ・ブルクハルト氏が古代都市ペトラを発見。
ヨーロッパに紹介したことにより、人々に知られるようになりました。
20世紀初頭にペトラ遺跡の発掘調査が開始され、現在に至ります。
日本からペトラ遺跡のあるヨルダン王国への直行便はありません。
エミレーツ航空のドバイ経由か、エティハド航空のアブダビ経由が最短で約15時間ほど。
トルコ航空のイスタンブール経由なら16時間程度です。
アンマンへのフライトは、窓側の席を選んで、国土の8割が岩と砂漠というヨルダンへのアプローチを楽しみましょう。
アンマンからペトラへはアンマン発着のツアーが便利ですが、個人で行くなら車をチャーターするか、小型の公共バスか、ジェットバスという私営の大型バスの利用となります。
小型バスは人が集まったら出発、経由地もあり、言葉が分からないと難易度が高い上に時間が読めないという難点があるので、ジェットバスがおすすめです。
ジェットバス は一日一便で、アンマンのアブダリのオフィスを朝6:30に出発。
アンマンへは夕方の17:00出発で、所要時間は約3時間です。
国名:ヨルダン・ハシミテ王国
首都:アンマン
国土:8.9万平方キロメートル(日本の約4分の1)
人口:1,004万人(2022年時点)
民族:アラブ人97.4% その他2.6%
言語:アラビア語
宗教:イスラム教93% キリスト教等7%
時差:日本よりマイナス7時間 サマータイム時(3月下旬~10月下旬)はマイナス6時間
通貨:ヨルダンディナール(JD)1JD=約187.9円(2022年10月時点)
中東と聞くと年中暑いイメージがあるかもしれませんが、ヨルダンは夏は乾燥して暑く、冬は寒く雪が降ることもあります。
ペトラを含むヨルダンの観光は、3月~5月の春と、10月~11月の秋が過ごしやすくておすすめです。
冬の間は大雨が降ることもあり、2018年11月にはペトラ遺跡が大雨による鉄砲水に見舞われ観光客が避難したという出来事がありました。
また、イスラム教国であるヨルダンでは、毎年1ヶ月のラマダン月があります。
交通機関や各施設の営業時間が変わったり、ランチ営業がクローズされたりと、観光スケジュールに影響が出る可能性があるので、できれば避けた方が良いでしょう。
ラマダン月は毎年日程が変わるため、 こちら でスケジュールを確認しておいてください。
住所 : Petora, Jordan, Petra – Wadi Musa, Jordan
マップ : Googleマップ
電話番号 : +962 3 215 7093(ビジターセンター)
定休日 : 無休
営業時間 :
料金 : 【1日券】50JD【2日券】55JD【3日券】60JD ※12歳以下は無料
公式サイト : ペトラ遺跡
世界一高いと評判のチケットを購入したら、ビジターセンターで地図を貰っておきましょう。
在庫があれば日本語版もあり、目安の時間も書かれていて便利です。
できるだけ軽装で、足元はスニーカーかトレッキングシューズ、帽子、サングラス、ペットボトルのお水を持ったら、いよいよペトラ遺跡へ出発です!
筆者がペトラ遺跡を訪れたのは5月下旬で、既に夏の始まりを感じる気候でした。
チケット売り場からシクの入り口までは歩いて10分程度。
ヨルダンパス を所有している場合でも、チケット売り場でスマホ画面のバーコードをスキャンして紙のチケットを発行してもらう必要があります。
まっすぐエントランスへと向かうと、わざわざ戻る羽目になるので忘れないようにしましょう。
チケットには馬代も含まれているので、利用してみました。
馬の手綱を引いてくれる人へのチップは3ドルが暗黙の了解の金額です。
こちらがシク。
シクとは自然が作った岩の裂け目で、高さが60mから80mもあり、エルハズネまで約1.5キロ続いています。
シクの区間は二人乗りの馬車(往復25JD)があり、シクの入り口から少し入ったところに馬車が待機しています。
片道でも往復でも料金は同じで、数が少ないので待つ場合もあります。
帰りの時間は御者と打ち合わせしておきますが、遅れると数分しか待ってくれないので注意が必要です。
シクの景観は素晴らしく、途中にナバテア人が作った水路が見えたりするため、元気な方は歩いていきましょう。
馬車に乗ると写真ストップなどはしてくれず、さっと通り抜けることになります。
そして、シクの隙間から見えてきたのが「エルハズネ」です!
このシクからのアプローチは絶好の写真ポイント。
写真からも、シクの岩壁の巨大さが良くわかりますよね。
映画「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」で、聖杯が隠された遺跡として登場するペトラ遺跡。
訪れる前に、ぜひ映画を観て行きましょう。
シクを歩いている間ずっと「チャーチャチャラー、チャーララー♪」というインディージョーンズのテーマ曲の脳内再生が止まらない可能性大です。
こちらが広いペトラ遺跡の中で最も美しいと言われる「エルハズネ」です。
高さ43m、幅30mという巨大なエルハズネは、上から下へノミとハンマーだけを使って岩を掘りながら作られたというから驚かされますよね。
一体何のためにこのような壮麗な建物が作られたのか?
現在までの調査によると、1世紀初頭頃ナバテア人により、王の墳墓として作られたと言われていますが、霊廟、寺院と諸説ありはっきりとはしていません。
エルハズネをたっぷり堪能したら、先へ進んでいきましょう。
エルハズネに差し込む太陽光の加減が一番良いのは、時期にもよりますが、朝の9時~11時頃と言われています。
時間がない、またはエルハズネだけ見たら十分という方は、ここでまたシークから引き返すこともできます。
エルハズネを出たら、この先の数々の遺跡を見学しつつ、ペトラ遺跡内のレストランでランチ、もしくは休憩をしてから引き返すか、その先にあるエドディルまで行くのが一般的なコースです。
また、このエルハズネに戻ることになるので、光の加減も変わり、また違った色合いの写真が撮れるのも楽しみですね。
こちらはエルハズネを上から眺めることが出来るビューポイント。
一般的なツアーでは行きませんが、エルハズネから少し歩いた王家の墓の裏手にトレッキングルートがあり、ぐるっと回りこんでこのポイントまで行くことができます。
高さから見てもわかるようになかなかハードなので、時間と体力に余裕がある方はどうぞ。
エルハズネから休憩やランチにおススメのベイズンレストランまでは、約2.5キロの道のり。
エルハズネを出てしばらくすると、ロバ、ラクダ、馬を引いた人が「ドンキー、キャメル、ハウマッチ?コンニチワ~」などと誘ってきます。
区間は貴族の墓を過ぎたあたりから、列柱通りまで。
もし乗ってみたい方は、行きは写真を撮りながらゆっくり歩くとして、疲れている帰路に利用すると良いでしょう。
値段は交渉ですが、目安は10~15USドル程度です。
ちょっと迷ってるような素振りを見せると、結構しつこくついてくるので断るときはきっぱりと。
エルハズネを出て通称王の道を歩いていくと、周辺の岩壁にはいくつもの墳墓が見られ、その数は大小合わせて何と500以上だそう。
もちろん中は空っぽですが、近くまで行けたり、中に入ることが出来る場所もあるので、見学しながら進みましょう。
ローマ帝国の支配下に入り、それまでナバテア人が作っていた劇場や通りもローマ風に作り替えられました。
列柱通りには、石畳の跡が残され、立派な円柱が続きます。
ゴロンと円柱パーツが転がっている場所もあり、小さな円柱を重ねて高い柱を作っていたことが良く分かります。
レストランに着いたら一休み。
その後、体力があればぜひ行っていただきたいのが「エドディル」です。
約850段の階段がつけられた山道を歩いて、往復約1時間半~2時間の道のり。
レストランのそばでは、ロバのタクシー(という営業トーク)の勧誘がありますが、山道をロバで登るのはやや危険なのでおすすめはできません。
筆者はロバには乗らず、途中で写真を撮ったり休憩しながらのんびりと登りました。
こちらが修道院と呼ばれている「エドディル」です。
エルハズネより一回り大きなサイズで、彫刻はありませんが、とてもバランスが良く、威厳さえ感じる立派な建物ですよね。
周辺には修道僧が住んでいたと思われる洞窟住居の穴がたくさん見られます。
標高約1,000m地点に建つエドディルを堪能したらもうひと頑張り、パノラマポイントを目指しましょう。
エドディルを背にして上を見上げると頂上が見え、多くの人が登っていくのですぐ分かります。
帰りはまた同じ道を戻るのですが、その前に頂上にある休憩所で熱い紅茶をいただきましょう。
紅茶はアラビア語で「シャーイ」と言います。
普段は紅茶に砂糖は入れないという方も、濃くて甘くて熱いシャーイは疲れた身体に浸みてエネルギーチャージできるのでおすすめです。
ペトラ遺跡内のお土産屋さんで売っているサンドボトル。
アンマンのダウンタウンや死海、ジェラシュなど、ヨルダンの観光地ならどこでも見かける定番のお土産品です。
天然の砂か、着色した砂か、ボトルの大きさ、リクエストした文字(名前など)を入れるタイプかで値段はまちまち。
特にペトラ遺跡の中は高めの設定なので、頑張って交渉してみてください。
ペトラ遺跡では夜のライトアップイベントを週に3回開催しています。
20:30からゲートが開き、真っ暗な中をろうそくの灯に沿って進みます。
シクを歩く時は星空を見上げることを忘れないでくださいね。
エルハズネの前には無数のキャンドルが灯され、雰囲気は抜群です。
用意された席に座るとミントティーが配られ、21:00に民族衣装を着たベドウィン族の男性たちによる演奏が始まります。
その後、エルハズネが美しくライトアップされ、22:00に終了です。
真っ暗な中、キャンドルを頼りにのシクを歩く、シクから星空を見上げる、ライトアップされたエルハズネを見るというのはこのチャンスしかないので、日程が合えばぜひ行ってみてください。
料金:17JD、10歳以下は無料(月・水・木のみ開催)。
2日間、3日間チケットを持っていても、ペトラバイナイトは別料金です。
2019年4月、ペトラ遺跡のゲートのすぐ前に、ペトラ博物館がオープンしました。
実はこの博物館、日本が建設費用の全額7億8380万円を無償援助して建てた物なのです。
現在も発掘が続くペトラ遺跡ですが、その貴重な遺物を保存、管理する体制が十分ではなかったため、金銭的な支援だけではなく、技術協力も行っています。
ペトラ遺跡から出土した考古資料約300点が展示され、古代都市ペトラの全盛期の様子をCGや3D映像で体験することができます。
入場料は当面無料で、営業時間は8:30~19:30です。
ペトラ遺跡が閉まった後でも開いているので、帰りに総仕上げとして訪れてください。
アンマンからの日帰りも可能ですが、かなり慌ただしくなる上に、往復6時間の移動は体力的にもハード。
やはりペトラで最低でも1泊して、のんびりと過ごすのが良いでしょう。
ペトラのおすすめホテルを、現地アンマンの旅行会社に勤める友人に尋ねてみました。
ペトラには、格安ホテルやバックパッカーご用達宿もありますが、今回ご紹介するのは4つ星&5つ星ホテルです。
筆者が実際に宿泊したのがムーベンピックリゾートペトラです。
ペトラ遺跡の入り口に近く、朝1番に観光をスタートさせるのにベストポジション。
また、アンマンへのジェットバスの乗り場もすぐなので移動も楽です。
ヨルダンらしい内装、フレンドリーなスタッフ、お土産屋さん、種類豊富なバイキング料理のレストランなど、観光客の求める物を満たしてくれます。
お部屋はやや年季が入った感じはありますが、そこを差し引いても便利でおすすめのホテルです。
住所 : Tourism St Petra Wadi Musa, Jordan
マップ : Googleマップ
アクセス : ペトラ・ビジターセンターより徒歩3分
電話番号 : +962 3 215 7111
営業時間 : 【チェックイン】15:00〜24:00【チェックアウト】 〜12:00
公式サイト : Movenpick Resort Petra
予約サイト : Expedia Booking,com Hotels.com
ムーベンピックリゾートペトラのすぐ隣に位置する、ペトラ遺跡の入り口に一番近いホテル。
ムーベンピックリゾートペトラや、次にご紹介するペトラマリオットホテルは5つ星ですが、ペトラゲストハウスは4つ星なので、少しリーズナブルに泊まりたい方におすすめです。
建物の一部に岩壁があったり、墳墓を利用したバーがあったりと、ペトラ遺跡感たっぷりです。
住所 : Main tourist street, Wadi Mousa, Jordan
マップ : Googleマップ
アクセス : ペトラ・ビジターセンターより徒歩すぐ
電話番号 : +962 3 215 6266
営業時間 : 【チェックイン】14:00〜【チェックアウト】 〜12:00
公式サイト : ペトラゲストハウス
予約サイト : Expedia Booking.com Hotels.com
ペトラ遺跡の入り口までは少し離れていますが、ホテルのシャトル送迎(3月末〜10月末頃まで運行)があるため安心です。
高台に位置しているので、周囲には何もありませんが、美しい夕日と渓谷の素晴らしい景色を眺めることができます。
ペトラ遺跡観光で疲れた身体を静かな環境の中で癒したい方におすすめです。
住所 : Queen Rania Al Abdallah Street Wadi Mousa, Jordan
マップ : Googleマップ
アクセス : ペトラ・ビジターセンターより車で5〜6分
電話番号 : +962 3 215 6407
営業時間 : 【チェックイン】15:00〜24:00【チェックアウト】 〜12:00
公式サイト : ペトラマリオットホテル
予約サイト : Expedia Booking.com Hotels.com
ペトラ遺跡の壮大さや何とも言えない不思議な雰囲気は、写真と文章ではとても伝えきれません。
実際に目で見て歩いて五感で感じて頂きたい、そんな魅力的な場所です。
良い季節を狙ってぜひ訪れてみてくださいね。
最終更新日 : 2022/08/17
公開日 : 2019/10/28