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2. サンタ・ルチア展望台(Belvedere Santa Lucia)
3. サンタントニオ教会(Parrocchia Sant’Antonio di Alberobello)
4. トゥルッロ・シアメーゼ(Trullo Siamese)
5. トゥルッロ・ソヴラーノ(Trullo Sovrano)
6. サンティ・メディチ・コズマ・エ・ダミアーノ聖堂(Basilica Santuario dei Santi Cosma e Damiano)
1. トゥルッリホリディ(Trulli Holiday Albergo Diffuso)
2. チャーミング トルッリ ホテル(Charming Trulli)
3. ル アルコーヴェ ラグジュアリー ホテル ネイ トゥルーリ(Le Alcove-Luxury Hotel nei Trulli)
イタリア の形はよくブーツや長靴に例えられますが、それで表すとちょうどかかとの辺りに位置するのがプーリア州。
対岸はギリシャ、 クロアチア に続く海が広がり、歴史的にも古代ギリシャとの繋がりが深い地域です。
オリーブオイルの生産が盛んで、イタリア国内一の生産量を誇ります。
そんなプーリア州の州都バーリから、南東へ入ったところに位置するのが「アルベロベッロ」です。
人口1万1千人弱という小さな街に世界中から観光客が訪れる理由は、トゥルッリと呼ばれる円錐形の屋根を持つ白壁の家が建ち並ぶ、世界に類を見ない景色です。
「アルベロベッロのトゥルッリ」の名称で、1996年に世界遺産に登録されています。
トゥルッロ(Trullo)は単数形で、複数形がトゥルッリ(Trulli)で、語源はギリシャ語のクーポラ(丸天井の屋根)だと言われています。
石灰岩の切り石を丁寧に積み上げて仕上げたもので、西ヨーロッパでは先史時代から使われてきた工法です。
トゥルッリの白壁の中は二重になっていて、砂が入れられています。
雨が降ると砂を通ってろ過された雨水が地下に排水されるため、壁の隙間から雨水が浸み出てくることはありません。
円錐形の屋根には、白い漆喰でハートや鳥や魚などのマークが描かれ、てっぺんには飾りの石が置かれています。
単なる自分の家を識別するための印だという説と、魔よけ的な意味があるという説があり、定かではありません。
アルベロベッロでトゥルッリの住居が盛んに作られるようになったのは17世紀初頭のことでした。
当時の領主であったジャンジローラモ・アックアヴィーヴァ(ジャンジローラモ2世)が、アルベロベッロの地に、当時のナポリ王国の許可を得ずに街づくりを始めました。
住居や商店をたくさん作って住民が増えれば、その税金で自分も潤うというわけです。
ところが、当時は領主が住居の数に応じてナポリ王国に納税する義務があったので、税金逃れのために、簡単に解体できるトゥルッロの住居を義務化したのです。
税の取立人が来る前に解体して何食わぬ顔で税金を逃れる領主、その度に家を壊される住民はたまったものではありません。
18世紀に入り、住民の代表がナポリ王国に直訴したことにより、この暴政は幕を閉じました。
現在アルベロベッロのトゥルッリは白壁部分はしっかりと接着されていて、積み上げられているのは屋根のみになっています。
南イタリアは東西間のアクセスがあまり良くないので、結構時間がかかります。
一例としてローマからのアクセスをご紹介します。
ローマ~バーリ~アルベロベッロ
列車の場合も飛行機の場合も、最寄りの大きな町バーリまで行き、そこから列車でアルベロベッロに行くことになります。
【列車】トレニタリアで最短約4時間
運行時間や乗り継ぎの有無で料金や所要時間が変わるので、 公式サイト(日本語) でチェックしましょう。
オンライン購入も可能です。
【飛行機】約1時間
飛行機は高いイメージがあるかもしれませんが、イタリア国内線はライアンエアーなどのLCCを利用すれば列車より安い場合もあります。
時間帯と価格が合えば、大幅に時間短縮ができます。
バーリ中央駅からアルベロベッロへは 私鉄SUD-EST線 で、マルティーナ・フランカ(Martina Franca)行きの電車で1時間40分程度。
便数は1〜2時間に1本ですが、日曜日・祝日の運行がないので要注意です。(代行バスが運行しています)
私鉄SUD-EST線のホームはちょっと分かりにくい場所にあるので、駅員さんに確認してください。
アルベロベッロの観光は、入場見学するというよりは、ぶらぶらと散策しながら街並みを楽しむのが醍醐味です。
アルベロベッロの街は、大きく分けるとホテルやお土産屋さん、カフェ、レストランなどが並ぶ、「リオーネ・モンティ(Rione Monti)
」と、地元の人たちが普通に生活している「アイア・ピッコラ(Rione Aia Piccola)」のある旧市街と、それ以外の新市街に分かれています。
トゥルッリの街並みを楽しめるのは、主に旧市街。
なだらかな丘に広がるリオーネ・モンティには約1,000ものトゥルッリが残され、可愛らしいお店が立ち並びます。
お土産屋さんでは、トゥルッリの置物や可愛い雑貨類がおすすめ。
日本人経営のお土産屋さんもあり、屋根の部分にあがらせてくれ、景色を楽しめますが、その後のお買い物は自己責任で。
気になる方は口コミ情報をチェックしておきましょう。
オリーブオイルやワインなどプーリア州の特産品を買いたければ、観光エリアのお土産屋さんよりも、新市街のスーパーや食料品店の方が安くて種類も豊富です。
アイア・ピッコラ地区では、洗濯物が干されていたり、路地で子供が遊ぶ様子が見られ、この街が作りものではなく本当にトゥルッリと共に暮らしているというのが良く分かります。
観光地化されていないので、写真好きな方に人気がありますが、あくまでも普通の住宅地。
敷地内に勝手に入り込んだり、夜遅くや早朝にウロウロしたり、騒々しい音を立てるという行為は慎みましょう。
18世紀に入り、住民の暴動によってジャンジローラモ・アックアヴィーヴァ(ジャンジローラモ2世)の暴政が幕を閉じたアルベロベッロ。
その勝利を記念して、それまで禁止されていた石灰とモルタルを使ったトゥルッリではない最初の建物を、アックアヴィーヴァ家の宮殿の目の前に建てたのです。
暴動にも参加した町長のフランシスコ・ダモーレの名をとって、ダモーレの家と名付けました。
アルベロベッロの住民にとって歴史的に重要な建物であり、現在は国の重要文化財に指定されています。
イタリア語でBelvedereとは、美しい見晴らしという意味。
その名の通り、アルベロベッロで一番見晴らしの良い場所が、こちらのサンタルチア展望台です。
眼下に広がるモンティ地区の街並みは、改めて見ると本当に不思議な世界で、たくさん写真を撮りたくなるスポット。
おすすめは観光客が少ない朝方と、白壁が徐々に夕暮れに染まる時間帯です。
アルベロベッロで唯一のトゥルッリで出来た「サンタントニオ教会」は、1926年に建てられました。
大きな円錐形の屋根が2つと、鐘楼にも小さな可愛らしい屋根がつけられています。
トゥルッリの屋根の下は一体どうなっているのか?
ぜひ中に入って上を見上げてみてください。
内部はとてもシンプルな造りですが、必見は中央の祭壇画。
磔刑されたキリストの周りに諸聖人が描かれており、右下にはアルベロベッロの守護聖人である、聖コズマと聖ダミアーノの姿も見えます。
住所 : Via Cadore, 9
マップ : Googleマップ
定休日 : 無休
電話番号 : (+39) 080-4324416
営業時間 : 8:00~13:00 16:00~19:00(事務所)
料金 : 無料
公式サイト : サンタントニオ教会
一見普通の小さなお土産屋さんですが、よく見ると他のトゥルッリと違う所があります。
本来、トゥルッリは1つの家に1つの屋根なのですが、このトゥルッリ・シアメーゼは、1つの家に屋根が2つ付いています。
この家には逸話があり、同じ女性に恋をしてしまった兄弟がおり、兄と結婚することが約束されていたにもかかわらず、弟の方と愛し合い結婚してしまったのだそう。
同じ家に住むのはいたたまれないと、兄は弟夫婦に家を出るように要求したところ拒否。
それならばと家の中に壁を作り、顔を合わせることが無いようにと玄関も二つ作ったため、この珍しいトゥルッリが誕生したのです。
ここからは新市街と呼ばれるエリアに入ります。
目印は次にご紹介するコズマ・エ・ダミアーノ聖堂の鐘楼。
アルベロベッロ最大のトゥルッロである、トゥルッロ・ソヴラーノ。
ソヴラーノとは、イタリア語で君主・元首という意味で、その名の通り歴代の権力者が所有してきました。
一番古い部分は17世紀初頭のもので、18世紀前半に現在のような12のトゥルッリを持つ大きな建物になりました。
現在はスメラーノ家に買い取られ、内部が一般公開されています。
最大の見所は、アルベロベッロで唯一の2階建て部分。
石灰岩を積み重ねるという建築様式で2階を作るのは当時の技術としては難しく、その観点から1930年に国の重要文化財に指定されています。
当時の生活様式が良くわかる実際に使われていた内装や家具類が展示されているので、ぜひご覧ください。
住所 : Piazza Sacramento, 10
マップ : Googleマップ
電話番号 : (+39) 080-4326030
営業時間 : 10:00〜13:15/15:30〜18:30(~19:00 10月~4月)
料金 : 2ユーロ
公式サイト : トゥルッロ・ソヴラーノ
サンティ・メディチ・コズマ・エ・ダミアーノ聖堂は、アルベロベッロの主要教会で、左右対称にそびえる鐘楼が目印。
奇跡を起こす医者として知られた、アラブ生まれのコズマとダミアーノの兄弟は後に聖人に列せられ、アルベルベッロの守護聖人として奉られています。
18世紀から教会内に置かれている二人の彫像は、宗教行事の際には信者によって担がれて街の中を練り歩きます。
前述のトゥルッロ・ソヴラーノからすぐ。
ミサの時間以外は自由に見学できるので、散策がてらちょっと覗いてみてはいかがでしょうか。
住所 : Piazza Curri
マップ : Googleマップ
電話番号 : +39 0804321021
定休日 : 無休
営業時間 : 6:30~12:30/16:00~20:00
料金 : 無料
公式サイト : コズマ・エ・ダミアーノ聖堂
バーリから日帰りで訪れることもできますが、時間が許せばアルベロベッロで1泊だけでもしてみませんか?
昼間はツーリストで溢れる街中も、日が暮れるとのんびりとした田舎町の姿に戻ります。
トゥルッリを改装したプチホテルやアパートメントホテルは、意外にリーズナブル。
逆に、イタリアの大都市と変わらないような価格帯の高級ホテルもあり、選択肢は意外にもたくさんあります。
ホテルによっては、いくつか離れた場所のトゥルッリを所有していて、チェックイン後に車で送迎してくれる場合もあります。
アルベロベッロの鉄道駅から徒歩約2分。
「ホテルトゥルッリホリディ」は可愛い内装、清潔な室内、親切なスタッフなど、旅行口コミサイトでも高評価を得ているホテルです。
Albergo Diffusoとは、イタリアの歴史的地区に多い、分散型と呼ばれるスタイル。
フロントでチェックインした後、別の場所に分散している客室に案内されます。
バスルームはシンプルな造りですが、清潔に保たれていて、お部屋は冷房もWifiも完備。
キッチン付きのお部屋や、暖炉があるお部屋など、それぞれデザインが違うので、ホテル予約サイトからチェックしてみてください。
何よりも街の中心地に位置するので、思う存分散策を楽しめるのが嬉しいですね。
住所 : Piazza XXVII Maggio, 38 Alberobello
マップ : Googleマップ
電話番号 : (+39) 0809996170
公式サイト : トゥルッリホリディ
予約サイト : Expedia Booking.com Hotels.com
こちらも典型的な分散型のトゥルッリホテル「チャーミング・トゥルッリ」は、全部で6つのトゥルッリがあり、歴史地区の中心地と、少し離れた田園地区に散らばっています。
トゥルッリによっては、庭やプールがあり、まるでアルベロベッロの街に住んでいるかのような気分が味わえます。
カジュアルな雰囲気でリーズナブルな料金、フレンドリーで親切なスタッフなどが高評価を得ている主なポイント。
ホテル受付は、観光スポットでご紹介した「トゥルッロ・ソヴラーノ」のすぐ目の前にあります。
客室には暖かみのある素朴な雰囲気で、リビングがあったり、屋根裏部屋風であったりと様々。
全客室に簡易型のキッチンが付いているので、アルベロベッロ駅の近くにあるスーパーで食材を買い込んで自炊することもできます。
また、バスタブ付きとそうでない部屋があるため、予約時に確認してくださいね。
観光シーズンにはすぐに予約でいっぱいになってしまうので、早めの予約を入れましょう。
住所 : Piazza Sacramento, 17, 70011 Alberobello
マップ : Googleマップ
電話番号 : (+39)0804323829
公式サイト : チャーミング トルッリ ホテル
予約サイト : Booking.com
「ル アルコーヴェ ラグジュアリーホテルネイ トゥルーリ」は、上品かつロマンチックな雰囲気から、ハネムーナーに人気が高い5つ星ホテル。
カジュアル系のホテルが多い、トゥルッリホテルの中では、ちょっと異色な存在です。
駅でのお迎えサービス(無料)、無料Wi-Fi、朝食ビュッフェ付き、エキスプレスチェックイン、フェラガモのアメニティ、ミニバー無料など、さすが5つ星ホテルという嬉しいサービスがいっぱい。
何よりもスタッフのホスピタリティ溢れるおもてなしが素晴らしいと、ホテル予約サイトでも高評価を得ています。
すべての客室は異なるデザインで、どの部屋もおしゃれで可愛く女性好み。
冬場は石造りのトゥルッリは冷えるのですが、床暖房が完備しているので安心です。
バスタブが付いている部屋とそうでない部屋があるので、予約時にしっかり確認してくださいね。
アルベロベッロ駅から徒歩約6分、中心地までは徒歩5分と便利なロケーションも魅力です。
住所 : 7, P.zza Ferdinando IV, Alberobello
マップ : Googleマップ
電話番号 : (+39)0804323754
公式サイト : ル アルコーヴェ ラグジュアリー ホテル ネイ トゥルーリ
予約サイト : Expedia Booking.com Hotels.com
イタリアをブーツに例えたら、ちょうど土踏まずあたりに位置するマテーラの街。
アルベロベッロはプーリア州でしたが、マテーラはバジリカータ州(州都ポテンツァ)に属しています。
この地では、先史時代から天然の洞窟に人々が住み始め、8世紀には石灰岩をくり抜いて作られた洞窟住居に、ギリシャ正教の隠修士が住み着くようになりました。
イスラム勢力やギリシャ正教者内での争いごとから居場所を無くし逃れてやってきた彼らは、厳しい環境の中で自給自足生活を始めます。
やがて隠修士の数も減った頃、11世紀になると農民たちが洞窟住居に住み着くようになり、さらに新たな洞窟住居を拡大していきます。
19世紀に入り、貧富の差が激しくなると、多くの人々は新市街に住むようになりましたが、貧しい人々は洞窟住居に取り残される形になりました。
この洞窟住居が多い地区はサッシと呼ばれています。
20世紀になり、人口増加に伴い洞窟の住環境は悪化、衛生状態も治安も悪くなりスラム化していったのです。
政府はこの状況を改善すべく、1950年代に住民を強制的に移動させたため、洞窟住居は廃墟と化しました。
ゴーストタウンになっていたサッシですが、歴史的に価値のある洞窟住居や岩窟教会が見直されるようになり、街を再生・保存する動きが生まれ、1993年には「マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園」の名称で世界遺産に登録されました。
南イタリア初の世界遺産は、世界的にも注目を集めるところとなり、現在ではちょっと物憂げな独特の雰囲気を持った街に惹かれて多くの観光客が訪れるようになりました。
まだまだ日本では知名度が低いマテーラですが、せっかくアルベロベッロまでやってきたならば、ぜひ足を伸ばして頂きたい魅力的な街です。
ただし、マテーラとアルベロベッロは地図上で見ると近いのですが、公共交通機関がないので、一旦バーリまで戻って、バーリからアップロ・ルカーネ線に乗っていかなければなりません。
両方の路線とも本数が少ないため、時間に余裕を持って計画しましょう。
時間の節約をしたい方は、アルベロベッロのホテルのシャトルサービスやミニトリップを利用するのがおすすめで、1時間ちょっとで行くことができます。
イタリア好きの方におすすめしたい南イタリア。
ローマやナポリからスタートして、カプリ島、アマルフィ海岸、そして東側のバーリ、アルベロベッロ、マテーラなどを巡ってみませんか?
記事内でも取り上げましたが、アルベロベッロではぜひ宿泊してゆっくりと街歩きを楽しんでください。
観光シーズンになると、人気のトゥルッリに泊まるホテルは予約でいっぱいになってしまうこともあるので、早めに予約するようにしてくださいね。
最終更新日 : 2022/09/13
公開日 : 2019/10/06