本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
トレビの泉は「ローマを訪れたことがある人なら、知らない人は居ない」と言っても過言ではありません。
大袈裟な表現に思えるかもしれませんが、それだけ著名な存在なのです。
ローマ中心部でも、ひときわ多くの人で賑わうこの場所。
その歴史は意外と古く、1762年にまで遡ります。
この年代は日本でいう江戸時代にあたるのですが、そんな時代にこの素晴らしい噴水が造られたと思うと、どこか感慨深いものがありますよね。
ちなみに、完成までに費やした歳月は30年あまりであると言われています。
トレビの泉の前は小さな広場になっています。
実はこの場所、よく見ると3本の街路が集まる場所に位置しているのです。
トレビ(Trevi)は、イタリア語で「3つの道」を意味するのだそう。
言われてみれば納得するような気もしますが、イタリア語の意味が分からない限り、案外気付かないものです。
トレビの泉は、白亜の群像とパステルブルーの泉がとても印象的。
先にも述べた通り、これはあくまで ”噴水" ですから、泉も人工で造られたものです。
そうとはいえ、数世紀にわたって人々を魅了し続けるのには理由があります。
多くの人はきっと、その芸術性に着目するのではないでしょうか。
ローマには、トレビの泉と同じくバロック様式を採用した建造物が多く存在します。
これはイタリアだけでなく、世界全体に言えることなのですが、建築様式を見るだけでおおよその年代を把握することが可能です。
ヨーロッパには「ロマネスク・ゴシック・ルネサンス」など様々な様式の建物が混在しています。
簡単に説明すると、ロマネスク・ゴシック建築は中世、ルネサンス・バロック建築は近世、そしてネオゴシックなど「ネオ」が付く一連の建築様式が近世となります。
ちなみに、バロック様式は16〜18世紀初頭にかけて発展したものです。
トレビの泉は、各地に点在するバロック建築のなかでも傑作とされ、同様式を採用した噴水としては世界最大規模を誇ります。
ローマ中心部にはトレビの泉の他にも、バロック様式を採用した噴水がいくつもあります。
その中でも特に有名なのが、ナヴォーナ広場です。
トレビの泉に比べると噴水の大きさそのものにはあまり驚きませんが、彫刻の美しさは甲乙つけ難いほど。
広場としては、恐らくローマで最も美しいのではないでしょうか。
ハリウッド映画のロケ地にも選ばれている場所なので、映画好きの方はなんとなく見覚えがあるかもしれません。
トレビの泉は、複数の彫刻で構成されています。
このようなアート作品が街の至るところで見られるのも、ローマならではの魅力。
まさに街全体が美術館といった印象です。
ここでは、トレビの泉に配置されている彫刻をそれぞれ紹介していきます。
中央にあるのは、「海の神」として知られるネプチューン。
ローマ神話に登場する一柱で、ギリシャ神話では「ポセイドン」と呼ばれています。
「水」との親和性が高く、ヨーロッパの噴水に非常によく用いられるモチーフです。
背後に位置するのは、ポーリ宮殿という17世紀の建物です。
ネプチューンの向かって左側に位置するのが、ケレス像。
こちらはローマ神話に登場する「豊穣の女神」です。
ギリシア神話では「デメーテル」と呼ばれ、地母神としての役割も持ちます。
足元には倒れた花瓶があります。
こちらは向かって右側に位置する、サルース像。
古代ローマでは健康を司る女神として親しまれました。
ギリシャ神話では医神・アスクレピオスの娘の健康の神格化であるヒュギエイアと同一視されているのだそう。
こちらは海神ネプチューンがトリトンに操られた海馬を駆って行く姿を描いたもの。
左手にある「ホラ貝」は、波を立てたり沈めたりするために用いられたのだとか。
ギリシャでは、大洪水に見舞われた際に、ホラ貝を吹いて水を引かせデウカリオーンとその妻を助けたという神話が受け継がれています。
よく見ると反対側にも同じような像があるので、ぜひ注目してみてください。
もう片方には、暴れる海馬とそれを鎮めようとするネプチューンが表現されています。
ホラ貝を吹くネプチューンの横に居た海馬はとても落ち着いた様子でしたが、それとは対照的な姿が見られます。
これらは一対で作品を成しており、海の相反する雰囲気を表しているといわれています。
水をモチーフにした彫刻から、本物の水が勢い良く泉に注ぐ様子は圧巻です。
ポーリ宮殿の上部に目を向けると、ご覧のような彫刻があるのに気がつくでしょう。
これまでにご紹介した像と比べるとサイズが小さいので、少し見にくいかもしれません。
これらは天から降り注ぐ雨によって地球にもたらされる自然の恵みを象徴したものです。
左から順に「豊富な果物」「肥沃な大地による作物」「秋の収穫」「豊かな草原や庭」というニュアンスの意味を持ちます。
2つの鍵を模ったシンボルはローマ教皇の紋章で、政治的権限を兼ね備えた宗教指導者の威厳を放ちます。
ローマ神話において、植物の存在は欠かせません。
旧約聖書の「天地創造」に描かれているストーリーにも、植物や樹木は私たち人間より先に登場します。
実は、トレビの泉にもおよそ30種類もの植物が刻まれているとされています。
滞在時間に余裕のある人は、ぜひ探してみてください。
トレビの泉の右端には、ご覧のような壺があります。
これは設計者のサルヴィが泉の製作途中に通っていた床屋の視界を遮る目的で造られたものなのだとか。
あくまでも逸話に過ぎないので真相は定かではありませんが、もし本当だとしたら面白いですよね。
事の発端は、泉の建築について色々と口出しをしてきた床屋の主人にあると言われています。
噂の床屋は残っておりませんが、「この辺りかな」と想像を巡らせてみるのも楽しいですよ。
トレビの泉で有名なのが、コイン投げのジンクス。
ローマでは古くより、噴水に向かってコインを投げることが神聖な行為とされていました。
日本でも神社やお寺などで池の中に小銭を投げ入れる人の姿がよく見られます。
コインの数だけ、訪れる人の願いが込められています。
ちなみに、トレビの泉では投げ入れるコインの枚数に応じてジンクスが異なるといわれています。
1枚なら「再びローマを訪れることができる」、2枚は「縁結び、愛する人との永遠を誓う」、そして3枚なら「恋人や妻などとの縁切り」を意味するのだそう。
賽銭気分でちょっと多めに入れてみるというのは、危ないかもしれません。
オレンジ色に照らされた彫刻群は幻想的な趣を放ちます。
訪れる時間帯にもよりますが、混雑を避けるなら早朝がおすすめです。
夜は日中と全く異なる雰囲気が楽しめるので、ぜひ見比べてみてくださいね。
イタリア語名 : Fontana di Trevi
住所 : Piazza di Trevi, 00187 Roma,Italy
マップ : Googleマップ
アクセス : 地下鉄A線Barberini駅下車、徒歩約15分
注意点 : 人前で財布を開けないように、コインはあらかじめ用意しておきましょう
ローマの観光名所「トレビの泉」の見どころをご紹介しました。
これまでに訪れたことがある人でも、細かやかな点に着目してみると、また違った良さが味わえるものです。
名所と呼ばれるのにふさわしい素敵なスポットなので、訪れる際はじっくりと見学をお楽しみください。
▼イタリア・ローマ観光の関連記事
最終更新日 : 2023/03/08
公開日 : 2023/03/08