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ほったらかし温泉とは、 山梨県 の中央部の山の上、標高670mにある日帰り温泉施設です。
源泉かけ流しの天然温泉の露天風呂とともに、写真のように露天風呂に浸かりながら富士山や甲府盆地の絶景を堪能できるスポットとして、大変な人気となっています。
しかも、特別な宣伝もしないのに、全国から個人や観光バスの団体で年間に40万人も訪れるといわれる注目のスポットです。
ただし、普通にある温泉施設と違って建物などは掘っ立て小屋のようなイメージで、洗練された施設とはいえない野趣に溢れた温泉施設であることはご理解のうえお出掛けください。
この記事では施設の内容や魅力、営業時間、アクセス、宿泊の裏技などをご説明します。
ほったらかし温泉は地図でもお分かりのように、甲府市からは十数キロ東の山梨市にあり、JR中央線や中央自動車道から見れば北側の山の上となります。
「ほったらかし」という語感からかなりの秘境にあるように思われるかもしれませんが、次のように比較的簡単に行くことができる施設なんですね。
アクセスとしては、JRの場合は山梨市駅からタクシーとなりますが、10分ほどで到着でき、意外と近い所にあります。
タクシー料金が片道約2400円かかりますが、JRで山梨市駅まで行かれる方も結構いるようです。
なお、新宿からですと山梨市駅までは特急で1時間半ほどです。
車の場合は、中央自動車道の勝沼ICあるいは一宮・御坂ICから約25分で行くことができます。
ほったらかし温泉の歴史は比較的新しく、温泉としての営業は1999年からですが、それまでのいきさつは次のようなことです。
それは、創業した家族三代にかかわるお話ですが、単に温泉事業を創業したというものではなく、ユニークな運営方針やネーミングにつながりますので、簡単にご紹介します。
株式会社ほったらかし温泉の現在の代表は常岡太郎氏ですが、祖父の常岡一郎氏は、参議院議員を務めた人です。
同氏は自身の療養経験などから「中心会」という修養団体を主宰し、第2次大戦の戦災孤児や年寄りを世話をするなどの社会福祉活動を行ったことも知られています。
また、後年は天理教大学の副学長も務めていました。
そして祖父の意を受けた父・通氏は福祉関係の施設を建設するために、現ほったらかし温泉の一帯の土地を取得しました。
常岡一郎氏は亡くなりますが、父の通氏と祖父が設立した「中心会」がこの土地で大規模な高齢者施設を建設しようとしていて、1995年に温泉を掘り当てたのです。
これがほったらかし温泉の前身となります。
余談ですが、福祉の一環としてゴルフ場を作ることも検討されました。。
ところが当時はバブルの崩壊期で高齢者施設の建設は頓挫してしまいました。
掘り当てた温泉をどうするかという問題ですが、特別な施設などは作らないで湧き出す温泉はそのままにしよう、つまり「ほったらかし」にしようとしたことから、後にほったらかし温泉と呼ばれることになったといわれています。
そして、ほったらかしにされた温泉は自然な露天風呂として、地元の人などに無料で利用されるようになりました。
この無料で利用できる温泉は、口伝えに評判を呼び、次第に利用者が増加していきました。
そして利用者が増えると監督当局から温泉の衛生管理も問題にされるようになってしまいました。
その結果、施設なども整備したうえで、1999年から有料の日帰り温泉として営業を開始することになりました。
営業するにあたっては、脱衣場などの施設も必要になりますが、最小限のものを数人のスタッフで手作りし、いわば掘っ立て小屋のようなものでしのぐことにしたわけです。
そのようなスタイルになったのは、資金関係が苦しかったこともありますが、自然の摂理を重視する修養団体の精神からも、できるだけシンプルにし、ほったらかしに近い環境で温泉そのものを楽しんで貰おうと考えたからのようです。
上記を踏まえ、父・通氏の発案で施設の名称を「ほったらかし温泉」と決めたそうです。
その考えは現在まで踏襲され、他の温泉施設とは違い、シンプルな施設、宣伝はしないなどの運営方針が実行されています。
例えば、温泉に至る道路も近年は舗装されましたが、長く砂利道でしたし、食事処は土間のままなどで、現地で実感されるところです。
なお、衛生管理を徹底するために後で温泉の循環装置を導入しています。
ほったらかし温泉には二つの源泉(こっちの湯・あっちの湯)がありますが、まず「こっちの湯」からご紹介します。
「こっちの湯」は、前記のようにほったらかし温泉の初めに掘った温泉で、入り口付近は特に当時の風情を残しています。
呼び名は、「もとの湯」とも呼ばれ、初期には「中心の湯…中心会の湯のこと」とも呼ばれました。
温泉は露天風呂と内湯があり、男女別になっており、露天風呂はまず木造りの風呂があり、それが熱い湯とぬるい湯に分かれています。
その下に岩造りの風呂があります。
どちらも湯に浸かりながら正面に富士山、眼下に甲府盆地の絶景を望み至福のひとときを味わえます。
もう一つの「あっちの湯」との比較では、浴槽はあっちの湯の方が大きいですが、こっちの湯の方が落ち着くと常連客には好まれています。
泉質はアルカリ単純泉で、pHは9.68であり、ほとんど無色澄明、無味無臭、肌がすべすべし、高齢者にも優しい泉質といわれています。
なお、源泉の温度は32℃ですので加温して使用しており、お湯は毎日入れ替えますが、利用者が多いときは循環式も併用して常に縁から湯が溢れるかけ流し状態となっています。
また、適応症については神経痛、筋肉痛、疲労回復、冷え性など一般的なものです。
「こっちの湯」で営業を開始してから4年後の2003年に、2番めの源泉を掘り「あっちの湯」としてオープンしました。
「こっちの湯」の少し先、上の写真の入リ口から下がった所にあり、ここも男女別に内湯と露天風呂があります。
露天風呂はまず木造りの風呂があり、このお湯はやや熱めです。
その下に岩造りの風呂があり、その半分は浅くなっており、子供にも適していますのでご利用ください。
また、浴槽は「こっちの湯」より2倍近く広くなっていますので、のんびりと楽しめます。
肝心の眺望については「あっちの湯」からも絶景となっており、右手に富士山、左手に大菩薩嶺、眼下に甲府盆地を望むことができます。
泉質は「こっちの湯」と同じアルカリ単純泉ですが、pHは10.1と「こっちの湯」より高く、ぬるぬる・すべすべの美人の湯となっています。
色は淡黄褐色澄明で、黄金の湯ともいわれており、無臭ですが、微かに苦味があります。
なお、源泉の温度は41.4℃で、「こっちの湯」よりも高くなっており、お湯は毎日総入れ替えしますが、利用者が多いときは循環式と併用して、かけ流しとなっています。
また、適応症についてはは神経痛、筋肉痛、疲労回復、冷え性など一般的なものです。
温泉に入るには、券売機で入浴券を購入する必要があり、料金は「こっちの湯」と「あっちの湯」とも一風呂大人800円です。
「こっちの湯」と「あっちの湯」は別棟となっていますが、ここで注意することは、一風呂800円とあるようにそれぞれ別料金ですので、両方に入る場合は2回入浴券を買う必要があります。
脱衣所には脱衣カゴと100円ロッカーがありますが、100円はもどりませんので、ご注意ください。
また、備品関係については、シャワー、シャンプー、リンス、ボディーソープなどが一通り揃っていますが、タオルは別売りとなっています。
「こっちの湯」と「あっちの湯」の間に軽食などを食べる処や、売店があります。
「桃太郎」という軽食スタンドでは、名物の湯玉あげ(下の写真)、白桃ソフト、ぶどう酢などが人気で、他に、うどん、そば、らーめんなどもあります。
また、近くの素朴な休憩スペースで食べたり、休むことができます。
さらに、「きまぐれ屋」という朝食専門のお店があり、温泉で日の出を眺めてから、ここで朝食を摂る人が列を作る処です。
そこの朝食セットは、ごはん、味噌汁、生たまご、納豆で500円ですので、お試しください。
売店ではオリジナルのお土産や地元の野菜なども買うことができます。
上記の簡易休憩スペースとは別に、ログハウスの休憩室があります。
フローリングでテーブルが置いてあり、寝転んだり、自由に過ごせますので、カップルの入浴後の待ち合わせにも便利ですね。
余談ですが、この施設は他の施設とくらべると立派(?)であり、「ほったらかしと違うかも」という声もあるほどです。
前にもご紹介しましたが、ほったらかし温泉の魅力は良質の天然温泉とともに、山上の露天風呂から絶景が眺められることです。
絶景は昼間でも眺められますが、朝と晩はまた格別です。
まず、朝の営業時間はは日の出1時間前から(これは「あっちの湯」だけです)という、ユニークなものです。
朝湯に浸かりながら日の出を拝むという至福のときを体験してください。
季節ごとの開場時刻の目安は、12月~2月=6時頃、3月=5時30分頃、4月=4時30分頃、5~7月=4時頃、8~9月=4時30分頃、10月=5時頃、11月=5時30分頃となっていますので参考にしてください。
なお、日の出入浴は人気のため連休などには相当混雑し、特に初日の出ともなれば、なおさらで、山に向かう道路が車で渋滞するほどです。
というのも、駐車場は無料で利用できますが、駐車場も温泉の営業時間に合わせていますので、早く行っても駐車場には入れないため渋滞する事情もあるようです。
次に夕景・夜景です。
営業終了時刻は22時で、受付は21時30分までですが、そ楽しみたい時間帯を目がけてお出掛けください。
多くの人が絶賛する富士山の夕景と、甲府盆地の夜景、そして満天の星空を思いっきり堪能することができます。
ただし、天気を味方にする必要がありますね。
なお、富士山は「こっちの湯」の方が、よく見えるかもしれません。
ほったらかし温泉は日帰り施設ですので、残念ながら宿泊することはできません。
しかし、温泉から徒歩3~4分の所に、同じグループが運営する「ほったらかしキャンプ場」がありますので、ほったらかし温泉で宿泊する場合の裏技ともいえ、アウトドア志向の方にはおすすめです。
キャンプ場利用のメリットとしては、朝の渋滞から開放され悠々と日の出の湯を楽しめることが挙げられますし、もちろん、夜景や星空も堪能できます。
テントサイトの他に、小屋(寝具付き)もありますから、テントはどうもという方にはおすすめです。
「ほったらかしキャンプ場」は2016年6月にオープンしました。
普通のサイトの利用料金は、サイト使用料が1500円~3500円で、それに大人1人あたり平日1500円、休前日2000円が加わります。
なお、料金には駐車料金が込みとなっています。
小屋付きサイトは、トイレ・シャワー・4名分の寝具などが付いて、休日前が25000円、平日は3~4名で20000円、1~2名で10000円となっています。
また、テントやキャンプ用品はレンタルでき、食材も購入することができます。
詳細は「ほったらかしキャンプ場」へお尋ねください。
・電話番号=080-9677-1010
名称:ほったらかし温泉
英名:HOTTARAKASHI ONSEN
住所:山梨県山梨市矢坪1669-18
マップ: Googleマップ
電話番号:0553-23-1526
定休日:年中無休
営業時間:日の出1時間前~22時(詳細は前記ご参照)
料金:一風呂大人800円、小人400円 (詳細は前記ご参照)
「ほったらかし温泉」の魅力や利用法などをご紹介しました。
素朴な日帰り温泉で「こっちの湯」と「あっちの湯」が源泉かけ流しで楽しめますね。
そのうえ、標高670mから富士山から大菩薩嶺までの山並み、甲府盆地などを望めます。
特に日の出や夜景を露天風呂に浸かりながら堪能できる一押しの日帰り温泉ですね。
シーズンにはかなり混雑しますが、スケジュールを調整し、お楽しみください。
良いお天気となるようお祈りします。