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岡山駅から電車で約1時間、琴平駅に到着しました。
琴平駅は洋風な雰囲気の外装ですが、屋根は瓦屋根という独特の佇まいの駅舎です。
琴平駅を出たら、そのまままっすぐ進めば、参道に向かうことができます。
取材日はあいにくの雨模様でした。
金刀比羅宮は海上安全の信仰のために、古くから大切にされてきた神社です。
江戸時代中期以降は大名から一般庶民にまで信仰が広がり「金毘羅詣り」は全盛を極め、全国的に有名になりました。
こんぴらさんは、四国屈指の観光スポットなのです。
駅から門前町に向かって一直線に歩いていると、右手に大きな灯篭が見えてきました。
灯篭の前は広場になっていて、鳥居もあり、神社のようになっています。
高灯篭は1865年に完成した木造灯篭で、国の重要有形民俗文化財です。
高さは 約27メートル あり、木造灯篭としては 日本で最大の高さ を誇ります。
この灯篭から発せられた光は丸亀沖まで届いたと言われ、 海上の船人が金刀比羅宮を拝む目印にした のだそうです。
近くで見ると迫力があり、長年の信仰の歴史を感じさせてくれます。
住所:香川県仲多度郡琴平町361
マップ: Googleマップ
高灯篭のそばにあるのが、琴電の琴平駅です。
琴電の琴平駅は1927年に開業した駅で、瓦屋根の特徴ある駅舎となっています。
その側にあるのが、金刀比羅宮の門前町鳥居です。
この大きな鳥居をくぐり、まっすぐ進むとこんぴらさんの参道への案内石碑が見えてきます。
大きな指が指し示している通りに左へ曲がり、参道口に進んでいきましょう。
すると、様々な商店が立ち並ぶ通りが見えてきます。
お土産屋やうどんなどのお店が多く見受けられました。
筆者は途中の「こんぴらうどん」で昼食をとりました。
雨が降って寒かったので、醤油うどんではなく、あたたかいきつねうどんをいただきました。
うどんで腹ごしらえをして、さらに先へと進んでいきます。
金刀比羅宮の表参道まで行くと、だんだん人通りが増えてきました。
この日は平日のお昼だったのですが、雨なのに観光客が多いのが印象的でした。
中には海外の観光客も多く見られました。
表参道にはうどん屋やお土産店がずらりと並んでおり、表参道のお店を散策しても楽しめるかと思います。
こんぴらさん名物の石段に挑戦しましょう。
店先などいたるところで、金刀比羅宮の石段を登るための棒がレンタルされていました。
棒をレンタルすることで店に立ち寄り、買い物をしてもらうという狙いもあるのだと思います。
それにしても、この棒の多さがこれからの石段の過酷さを予感させますね…
ここから石段のスタートです。
10段くらい登ってはフラットな道が続きます。
参道の両サイドにはお土産店や喫茶店が立ち並んでおり、どのお店も味があって魅力的です。
老舗っぽい店が立ち並ぶ中、このようなオシャレな小物屋さんがあったり…
お箸の専門店もありました。
お土産に良いですね。
しかし、筆者はただただ上を目指していきます。
正直なところ、先に見える階段を見ると、なかなか店に立ち寄ろうという余裕はほとんど出てきません。
結構階段の角度も急なので、自分の息がハァハァと聞こえてきます。
結構登ったと思ったのですが、 まだ100段 でした。
御本宮までは約785段ということなので、まだ半分の半分にも達していません。
目の前に鳥居が見えてきました。
こちらが一の坂鳥居です。
一の坂鳥居の両サイドに見える大きな狛犬は重要有形民俗文化財の「備前焼狛犬」です。
そこを越えると参道は「一の坂」に突入し、より角度は急になります。
一段一段の負担が重く膝にのしかかります。
この壁のような階段をただひたすら登っていくのです。
頑張って登ってきたなあ、と思うと案内表示がありました。
なんと御本宮までは半分も行っていないとのこと。
普通はこういう案内を見てモチベーションアップになると思うのですが、 心を折らせにくるスタイル です 。
「そもそも登ろうと思ったのが間違いだったのか…」
そんなことを思ったところで、前方に大きな門が見えてきました。
あれは…?
前に見えてきたのは
大門
です。
大門は神域の総門となっており、ここを境にこれまで参道に続いていたお土産屋はなくなります。
真下から見上げると、かなり大きくて迫力があります。
この大門は水戸光国の兄である松平頼重候から寄進されたものです。
大門で初めて後ろを振り返ってみたところ、あまりの高さにびっくりしてしまいました。
大門からは讃岐平野を一望できるのです。
自力でこんなに登ってきていたのですね。
ちなみに、大門の手前のすぐ右手には 金刀比羅本教総本部 が建っています。
1877年に建築された建物です。
金刀比羅教総本部の向かいには鼓楼があります。
鼓楼とは太鼓を設置するための建物のことです。
朝夕の時刻を知らせるために利用されていたとのことで、1710年に建てられました。
このような古い貴重な建物にも注目しながらこんぴらさんを登ると、より一層楽しめるはずです。
大門を過ぎると大きな白い傘が5本並んでいました。
「五人百姓」 と言って、特別に宮域での商いを許された方々です。
その傘の中で 「加美代飴」 と呼ばれるべっこう飴を販売しています。
試食を行っており、どなたでも加美代飴を食べてみることができるのです。
いただいてみたところ、甘さの中にゆずの風味があってとてもおいしい!
石段上りで疲れていたのでよりおいしく感じられます。
せっかくなので買ってしまいました。
あんなにたくさんある参道には目もくれなかったのに、五人百姓からは買うという…
購入した加美代飴ですが、けっこう面白い飴だったので、ご紹介させてください。
このような黄色いパッケージに入っており、価格は500円(税込)。
中にはべっこう飴が5枚入っています。
袋に入ったべっこう飴と一緒に入っているのは、この 黄色い小づち 。
これは何に使うと思いますか?
黄色い小づちは中に入っているべっこう飴を割るために使うのです!
「金」のマークのど真ん中を叩けばキレイに割れます。
小さな飴を割るために、わざわざ小さな小づちを使うなんて、なんだかかわいいですよね。
実はこの「小槌で飴を割る」というイベントには、狙いがあると言われています。
こうやってお土産の飴をシェアしてもらうようにすることで、こんぴらさん名物の飴を食べながら、こんぴらさんの思い出を話してもらう。
「私もこんぴらさんに行ってみたいなあ」と思う人を増やそうとしていたというのです、面白いですね。
五人百姓を通過してからは石畳の道が続きます。
両サイドには桜が植えられているので、桜馬場と呼ばれています。
両サイドには寄付額と氏名が書かれた石碑が延々と並んでいます。
大きな石碑が延々と続いていく様子も圧巻です。
この道を過ぎると「寶物館」が見えてきます。
※寶物館は館内補修のため当面の間休館中
こちらは1905年にできた建物で、金刀比羅宮の宝物が展示されています。
重要文化財の「十一面観音立像」は特に人気の展示物です。
門の脇には琴陵光重の歌碑があります。
開館時間:8:30〜17:00
入館料:一般800円、高・大生400円、中学生以下無料
フラットな桜馬場を進んでいくと、青銅でできた鳥居が見えてくるので、それをくぐります。
すると、また階段が見えてきます。
どの階段も角度が急なので、登る前に大きく深呼吸をして、覚悟を決めてから登っていきます。
この階段を登りきると、
桜馬場西詰銅鳥居
が見えてきました。
元は高燈籠の東側にあったものを1912年に移設したと言われています。
この桜馬場西詰銅鳥居に向かって左側には広場があり、そこには御厩があって神馬が飼育されていました。
さらに桜馬場西詰銅鳥居をくぐって登っていきます。
階段を登ると、右側に社務所門が見えます。
社務所門の中には書院という建物があり、円山応挙の襖絵が公開中です。
開館時間:9:00〜17:00
入館料:一般800円、高・大生400円、中学生以下無料
社務所門は、この書院の勝手口の役割を果たす門です。
しかし、以前はこの書院に社務所があった名残で、今でも社務所門と呼ばれています。
社務所門を右手に見ながら左へ直角に曲がり、参道は続きます。
寄進の石碑はまだ続きます。
この辺りは角度がゆるやかなので、登るのが比較的楽です。
この階段を登りきると、玉垣と石畳のある広場に着きます。
そこには「神椿」というカフェがあり、一休みすることが可能です。
神椿は内装のオシャレなカフェで 「神椿パフェ」1,320円(税込) をはじめ人気メニューに舌鼓。
ここで休憩した後でまた登るのは少し辛いので、帰路で立ち寄ることをおすすめします。
神椿からさらに石段を登っていきます。
この石段からはまた角度が急になりますので、無理せずにゆっくりと登っていきましょう。
さらに石段を登っていくと、旭社が見えてきます。
旭社 の社殿は高さ約18メートルと大きく、1837年に完成した建物で、重要文化財に指定されています。
建物の中では、4月1日に例祭、毎月1日に月次祭が行なわれており、金刀比羅宮において重要な場所です。
旭社を通過し、 黄銅鳥居 を通過します。
黄銅鳥居は1867年に伊豫松山松齢講より献納されたものです。
黄銅鳥居をくぐった後の石段も登っていきます。
登っていくと
賢木門(さかきもん)
という門があります。
長曽我部元親が寄進したという門なのですが、焦って作りすぎて一本の柱を逆さまにつけてしまったのです。
一本の柱が逆さまについていたことから、この門は「逆木」と言われるようになりました。
その後、「逆」という字を避けて、現在の表記になったのだそうです。
賢木門をくぐって遙拝所を通過し、花崗石神明造の鳥居があるゾーンを
闇峠
と言います。
この辺りは森の中にあって厳かな空気感があるので、御本宮が近づいていることを感じさせてくれるでしょう。
ちなみに、ここで段が一段下がる場所があります。
御本宮までの道のりで唯一の下がる段です。
金刀比羅宮の御本宮までの上る石段は 786段 あるのですが、この語呂合わせが 「なやむ」 となってしまうことから、一段下げたのではないかと言われています。
一段下げることで785段にして、縁起の悪い語呂合わせを避けたということですね。
そうとはいえ、語呂合わせを避ける意味なのだとしたら、一段増やす方がかなり楽な気もします。
実際、この説は仮説で定かではないそうです。
さて、いよいよ御本宮まで最後の階段です。
これを登り切れば御本宮に到着します。
最後も100段以上あるので、気合を入れて登らなければなりません。
石段は4段階に分かれており、 御前四段坂 と呼ばれています。
それぞれに踊り場があるので、休憩しながら無理せずゆっくり上りましょう。
なんとか785段を登り終え、 御本宮に到着 しました。
上から見ると、いかに角度が急なのかがわかりました。
達成感があります!
それではさっそく、御本宮を参拝しましょう。
雨なのに観光客がたくさんいます。
御本宮には階段があり、賽銭箱のあるところまで上る必要があります。
この階段もすこし急で、 ちょっと足がプルプル しました。
普段ならなんてことないんですけど、785段登ってきた後ですからね。
こけないように気を付けてください。
筆者の体力がないだけかもしれませんが…
無事に参拝を終えたので、御本宮からの景色を見に行こうと思います。
本宮の北東側は、展望台になっているのです。
でも、
さすがに今日は真っ白
でした…。
ちなみに天気が良いと以下のような風景を拝むことができます。
天気が良ければ、讃岐平野や讃岐富士(飯野山)といった香川県を代表する風景を一望できるのです。
これを見ただけで、785段を登ってきた疲れも癒されます。
神札授与所にも立ち寄ってみました。
神札授与所はたくさんの人がお守りの購入を目当てに集まってきていました。
特に「幸福の黄色いお守り(800円:税込)」は人気があるそうです。
さらに 583段を登る余力 がある人は、奥社まで参拝に行ってみましょう。
御本宮の北透垣に沿って進み、鳥居をくぐって直進すれば、奥社へと繋がります。
山道ですし距離は1キロほどありますので、30~40分ほどかかることは覚悟しましょう。
また、帰り道も階段を歩かなければならないことは忘れないように…
奥社は海抜421メートルの高さの場所にあります。
正式な名称は 「厳魂神社(いづたまじんじゃ)」 といい、金刀比羅本教の教祖・厳魂彦命が祀られている場所です。
奥社からは御本宮の時よりもさらに素晴らしい絶景が一望できます。
この景色目当てに奥社を目指すのも良いでしょう。
金刀比羅宮は混雑の恐れもありますので、基本的には電車と徒歩で向かうことをおすすめします。
駐車場は「タイムズ琴平こんぴら前」という121台収容の有料駐車場があります。
住所:香川県仲多度郡琴平町892
マップ: Googleマップ
今回は大雨の中で必死に登ったため、大変な参拝になってしまいました。
観光スポットとしては非常に楽しい場所でしたので、今度はぜひ天気が良い日に再チャレンジしてみたいです。
ただ、日ごろ運動不足の人にとって階段の石段がキツいのは事実なので、必ず動きやすい服装で行くようにしてくださいね。
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最終更新日 : 2024/12/11
公開日 : 2019/08/12