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2. 春の桜に歴史を感じさせる建築「観音堂・五重塔・御室桜」
仁和寺は、平安時代初期の仁和2年、光孝天皇の勅願によって建設されたお寺です。
光孝天皇の後を引き継いだ宇多天皇によって完成されたお寺は、年号を取って仁和寺と名付けられました。
宇多天皇は出家した後、仁和寺の境内に御室と呼ばれる僧坊を建てて住んだため、別名「御室御所(おむろごしょ)」とも呼ばれます。
明治維新が行われるまでは、皇族の子弟が入る寺院されていたことから「旧御室御所」と言われています。
桜の名所としても知られる御室には、春になると多くの観光客が訪れます。
仁王門や五重塔といった歴史的に価値のある建築が並ぶ仁和寺は、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
宇多天皇以降、代々皇族が住職を務めてきた仁和寺は、平安〜鎌倉期には門跡寺院として最高の格式を保ちました。
室町時代に入ると徐々に衰退がはじまり、1467年に起こった応仁の乱の戦火によって境内のほとんどが焼失してしまいます。
ただ、本尊の阿弥陀三尊像や聖教は持ち出されたため無事だったそうです。
その後、150年以上の時が立った江戸時代に、徳川家3代将軍・徳川家光によって仁和寺の再興が承諾されます。
御所、金堂、御影堂といった現在にも残る建物が次々整備され、1646年にはほぼすべてが創設当時の姿に再建されました。
1867年には、純仁法親王が俗世に戻る「還俗」したことにより、皇室出身者が住職となる宮門跡の歴史は終わります。
昭和に入ると、仁和寺は真言宗御室派の総本山となりました。
2019年現在、境内に多数の重要文化財を抱え、ユネスコ世界遺産にも登録されている寺院として、多くの人が連日訪れる観光スポットとなっています。
仁和寺は、金閣寺や竜安寺など、世界遺産が連なる洛西と呼ばれる場所にあります。
観光の中心となる京都駅からは電車やバスを乗り継いで、30分から40分程でたどり着けます。
桜の名所である仁和寺は、春になると混雑が予想されるため、ピーク時はもちろん、普段の参拝から公共交通機関の利用がおすすめです。
電車とバス共に最寄駅からは近いため、どちらの手段を利用しても良いでしょう。
筆者が仁和寺を訪れた際は、行きは本数の多いバス、帰りは京都駅方面に向かうバスが少ないことから電車を利用しました。
仁和寺の東隣に「仁和寺駐車場」と呼ばれる参拝者専用の駐車場があります。
駐車料金は一律普通車500円、マイクロバス以上は2,000円となっています。
バイクや自転車で仁和寺を訪れた方は、仁王門前にある駐輪場を利用しましょう。
住所 : 京都府京都市右京区御室大内33
マップ: Googleマップ
電話番号 : 075-461-1155
定休日 : 年中無休
営業時間 : 【3月~11月】9:00~16:30 【12月~2月】9:00~16:00
料金 : 【御室御殿】大人500円、高校生500円、中学生300円、小学生300円(その他霊宝館等、期間限定展示に別途入場料あり)
公式URL : 仁和寺
世界遺産にも選ばれれている仁和寺は、一部の施設を除き無料で散策を楽しめます。
境内を巡る上でもメインとなる御室、期間限定で館内を鑑賞できる霊宝館等は有料エリアです。
筆者が足を運んだ際は、改修工事が終わった観音堂が期間限定の無料公開となっていました。
場内はぐるっと一周回ると30分以上かかるほどの広さです。
境内の名所をしっかり見て回りたい方は、歩きやすい靴を履くのが良いでしょう。
境内が広い仁和寺を効率よく周るために、見どころを厳選してご紹介します。
中には経堂や水掛不動尊といった見逃しがちなスポットもあります。
世界遺産にも選ばれている仁和寺の貴重な建築や美しい景色を見て、観光を楽しんでください。
仁和寺の御殿は、南庭、北庭、2つの庭に書院や宸殿(しんでん)といった建物を鑑賞できる観光のメインスポットです。
御殿を鑑賞する場合は、仁和寺に入ってすぐの場所にある受付でチケットを購入しましょう。
御殿入り口では靴を脱いで入場、雨の日は傘を入口に預けて手ぶらで観光を楽しみましょう。
御殿入り口から廊下を進むとたどり着くのが、宸殿南庭の西側に建立された「白書院」です。
書院の襖絵は、美術から絵画まで様々な分野に精通した福永晴帆によって描かれました。
襖絵に囲まれた畳の書院は、情緒と落ち着きを感じさせます。
白書院のすぐ隣にある御殿で最初に目にする庭園が「南庭」です。
御殿の中心的建築の宸殿から南側に位置するため、南庭と呼ばれています。
右近の桜、左近の橘が植えられ、その前方にはさざ波状の白砂が敷かれているのが特徴です。
大正2年に造られた勅使門を正面に、松の木や杉があえてまばらに配置されています。
シンプルゆえに洗練されたデザインの庭園は、趣ある景色を一年を通して鑑賞できるスポットです。
宸殿の北側にある北庭は、南庭とは異なり、年間を通して優美な景色を楽しめます。
池泉式とも呼ばれる池を中心とした庭園からは、境内にある五重塔や飛濤亭といった名所を鑑賞することができます。
作庭されら詳しい年月は不明なものの、1690年には加来道意、明治〜大正期には作庭の名人・七代目小川治兵衛によって整備され、現在にその姿を残しています。
儀式や式典に利用される、御殿の中の中心的な建物が「宸殿」です。
現在の宸殿は、19914年に建てられたもの。
宸殿内は3室に分かれていて、それぞれの部屋には、四季の風物をはじめ牡丹や雁が描かれた襖絵があります。
宸殿の西側にある黒書院は、京都・花園にあった旧安井門跡の寝殿を移して改築したものです。
部屋には、京都市生まれの日本画家・堂本印象が1937年に描いた襖絵が飾られています。
6室ある書院の部屋には、印象の描いた絵画と同じ名前が名付けられているそうです。
北庭の北東に見える木々に囲まれたお堂が「霊明殿」です。
仁和寺の院家だった喜多(北)院の本尊、薬師如来坐像が安置されています。
秋には紅葉、春には花が咲き誇る周辺の美しい景色も見どころの一つです。
1644年、徳川三代将軍家光の寄進によって建てられた五重塔は、国の重要文化財に指定されています。
江戸時代から現代まで残る貴重な建築は、古くから御室の街を見下ろすその見た目から「御室の塔」と呼ばれ親しまれています。
京都の東寺にある五重塔と同じく、上層から下層にかけて各層の幅に、あまり差が出ないように作られています。
通常非公開の塔内部には、大日如来、無量寿如来などの四方仏が安置されています。
内部の壁面や柱には、言八祖や仏、菊花文様が描かれています。
五重塔の屋根をよく見ると、四隅の柱を小さな鬼のような生き物が一生懸命支えています。
四天王の眷属でもある夜叉を屋根の四隅に配置することで、四方の邪を遠ざける効果があるのだそう。
境内の中央付近にある、東アジアの伝統的な入母屋造、本瓦葺の建物が「観音堂」です。
通常観音堂の内部は非公開ですが、2019年7月15日まで修繕記念の特別拝観が行われていました。
堂内は撮影禁止となっているため、再び公開した際に内部を覗いてみましょう。
現在の観音堂は、五重塔と同じく江戸時代に建てられたものです。
重要文化財も選ばれているお堂の中には、千手観音菩薩や不動明王が祀られています。
仁和寺の正面に立ち、訪れた人を出迎えてくれるのが「仁王門」です。
重層、入母屋造の大きな門は高さ18,7mにも及びます。
仁王門は、2019年6月時点で、表側が改修工事中です。
工事中の門を裏手から写真に収めましたが、それでも仁和寺の正面門らしい迫力や荘厳さを感じられました。
南禅寺や知恩院にある禅宗様の三門とは異なり、平安時代の伝統を引く和様で統一されている門です。
「金堂」は、境内正面から見て中央奥にあるお堂です。
仁和寺の本尊、阿弥陀三尊が祀られていて、その貴重さから国宝にも選ばれています。
天皇の元服にも使われた現存する最古の紫宸殿である金堂は、当時の宮殿建築を現代にも伝えている建築です。
仁和寺を守る社である「九所明神」は、五重塔そばにひっそりと佇んでいます。
本殿・左殿・右殿の三棟が並んで建てられている九所明神では、八幡三神をはじめ、合わせて九座の明神が祀られているそうです。
現在の建物は寛永年間に再建されたものですが、その歴史は古く1212年から境内にあったことが確認されています。
寛永〜正保年間に建てられた宝形造、本瓦葺の建築です。
内部に釈迦如来・文殊菩薩が安置されたお堂は、重要文化財にも選ばれています。
境内の北東、九所明神の更に奥にあるため、意外と見逃しがちなスポットです。
金堂の隣にあり、朱塗りの外観から参拝客の目を引くのが「鐘楼」です。
2階建て作りの建物に使われる「楼」と呼ばれるだけに、袴腰式と呼ばれる袴のような板張りの覆いが特徴的な下部、朱塗りの上部に分かれています。
上部に釣られた鐘が外から見えるものが多い中、仁和寺の鐘楼は鐘が板に覆われ隠れているのが特徴です。
季節によっては鐘楼周辺時は桜が咲き誇り、朱塗りの鐘楼とピンク色の桜が織りなす美しい景色を鑑賞できます。
境内の北西にあり、観光客が見逃しがちな穴場が水掛不動尊です。
近畿三十六不動霊場の第十四番札所に選ばれているこの場所には、石造りの不動明王が安置されています。
石造りのお不動様に水を掛けてお参りすることから、水掛不動尊の名が付けられたそうです。
参拝の際は、お隣にある重要文化財の御影堂と合わせて立ち寄ってみましょう。
仁和寺周辺は、きぬかけの道と呼ばれる小路沿いに、金閣寺や竜安寺といった世界遺産があります。
JR京都駅から市バスに乗り替え30分、「金閣寺前」から徒歩すぐのお寺が「金閣寺」です。
正式名称を「鹿苑寺」という金閣寺は、室町時代の華やかな北山文化を象徴する建築として知られています。
金色に輝く舎利殿は、1950年の放火事件後、1955年に再建されたものです。
1994年には「古都京都の文化財」の構成遺産として、先に紹介した仁和寺などと合わせてユネスコ世界遺産に登録されています。
北山文化を象徴する金色の建物と周辺の庭園を中心とした景色は、極楽浄土をこの世に表したものです。
晴れた日には、鏡湖池に金閣と周囲の木々が映る「逆さ金閣」を眺められることもあります。
住所 : 京都府京都市北区金閣寺町1
マップ: Googleマップ
アクセス : JR「京都駅」から市バスに乗車、12・59号系統「金閣寺前」下車、もしくは急行101・急行102・204・205「金閣寺道」下車から徒歩すぐ
電話番号 : 075-461-0013
定休日 : 年中無休
営業時間 : 9:00〜17:00(特別拝観時は時間に前後あり)
料金 : 大人400円、小中学生300円
公式URL : 金閣寺
室町幕府の有力者だった細川勝元が僧のは義天玄承を迎え、1450年に創建した禅寺です。
お寺の代名詞にもなっている石庭は、1499年に方丈が建てられたのと同じ時期に作庭されたと言われます。
1975年にイギリスのエリザベス女王が公式訪問した際に、石庭を絶賛したことで、国内外から人気の観光スポットとなっています。
1994年には、周辺の仁和寺、金閣寺と合わせ「古都京都の文化財」として世界遺産にも登録されました。
特別名勝に指定されている石庭は、正式名称「方丈庭園」です。
幅25m、奥行き10mの庭園には、一面に真っ白な白砂が敷き詰められています。
右手から五・二・三・二・三の順番に石が並べられた枯山水の庭園は、禅の美を感じられるのが魅力です。
石庭のある方丈に至るまでの道のりも、緑溢れる美しい景色を鑑賞できます。
「鏡容池」と呼ばれる大きな池の周辺を、ぐるっと回るように参道を歩いて行きましょう。
住所 : 京都府京都市右京区龍安寺御陵下町13
マップ: Googleマップ
電話番号 : 075-463-2216
休観日 : 年中無休
拝観時間 :
3〜11月 8:00〜17:30(受付は17:00まで)
12〜2月 8:30〜17:00(受付は16:30まで)
料金 :大人(中学校卒業以上)500円 、小中学生300円、未就学児は無料
公式URL : 龍安寺
JR嵯峨野線「花園駅」から徒歩5分、市バス「妙心寺前」から徒歩5分の場所にある日本でも最大級の禅寺です。
禅寺の中でも、京都にある大徳寺と共に厳しい修行を課せられることが特色の「林派」の代表的寺院と言われます。
ひとつの場所、ひとつの思いにこだわることのない仏のような心「禅定」や禅の精神に、写経や座禅の体験を通して触れることもできます。
境内は24時間基本的に参拝自由ですが、座禅や写経などの体験に参加する方は、前もって予約をしておきましょう。
境内の中心付近にある仏殿は、江戸時代建立された歴史のある国の重要文化財です。
お堂の中には本尊であるお釈迦様が祀られています。
住所 : 京都府京都市右京区花園妙心寺町1
マップ: Googleマップ
アクセス : JR嵯峨野線「花園駅」から徒歩5分、阪急「西院駅」から市バス91系統に乗車「妙心寺前」から徒歩5分
電話番号 : 075-466-5381
定休日 : 年中無休
営業時間 : 【境内】24時間参拝自由 【法堂】9:00~16:40(16時台の案内は3月から10月のみ)
料金 : 【法堂】大人700円、小中学生400円
公式URL : 妙心寺
仁和寺はユネスコ世界遺産に登録され、境内には重要文化財や国宝など、多数の見どころがある観光スポットです。
同じく世界遺産に登録されている金閣寺や竜安寺も近く、お寺巡りをしたい方にもぴったり。
宮殿建築を現代にも伝えている国宝の「金堂」、江戸時代に造られた「五重塔」など、歴史を感じさせる建築や優美な庭園を鑑賞してください。
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公開日 : 2019/08/02