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地中海全体で見ると、ほぼ真ん中に位置するシチリア島。
イタリアを長靴に例えると、つま先でポンと蹴飛ばされたような位置で、イタリア本土との間にはメッシーナ海峡があり、一番狭い部分はわずか3kmしか離れていません。
シチリア島の大きさは、 四国 と 岡山県 を合わせたくらいで、地中海に浮かぶ島では最大です。
一般的にシチリア島というのは本島のことで、他にも大小合わせると約100もの島々がシチリア州に属しており、火山島のストロンボリ島や、イタリア最南端で透明度が高い海で知られるランペドゥーザ島も注目を集めています。
紀元前8世紀頃からギリシャ人が植民し、街づくりをはじめ、多くの建造物を残しています。
ギリシャ人に先行して地中海に乗り出していたフェニキア人による都市国家カルタゴによってギリシャが滅ぼされ、次にやってきたのはローマ帝国。
シチリア島の権益をめぐって何度も衝突を繰り返し、地中海一帯はローマ帝国の支配下となり、この時代は約600年ほど続きます。
西ローマ帝国が滅亡すると、ゲルマンの一族であるヴァンダル族、東ゴード族による占領時代になりましたが、ビザンチン帝国(東ローマ帝国)のユスティアヌス帝がイタリア半島と共にシチリアを奪回。
その後の300年間ほど、ビザンチン帝国による支配が続きました。
次にやってきたのは北アフリカのイスラム勢力でした。
925年にシラクーサが陥落した事によりシチリア全島がイスラム統治下となり、パレルモを首都として約200年イスラム時代が続きます。
そして、特にパレルモでよく耳にするノルマン人がやってきます。
フランスのノルマンディー地方からやってきたノルマン人の先祖はバイキングで、ドーバー海峡を渡りイギリスを征服、後に南イタリアとシチリア島を征服し、シチリア王国を建国しました。
この時代に建てられた建造物はアラブ・ノルマン様式と呼ばれ、自分たちノルマン人の文化(ゲルマン&ラテン)とイスラム文化、美術、そしてイスラム以前のビザンチンの文化と美術を融合させたもの。
他ではあまり見る事がない建築様式で、2015年に「パレルモのアラブ・ノルマン様式建築構造群およびモンレアーレ大聖堂・チェファルー大聖堂」の名で世界遺産に登録されています。
ノルマン朝断絶後、ドイツのシュタウフェン朝が継承し、パレルモは最盛期を迎えます。
13世紀になるとフランスのアンジュー家がシチリアに侵攻し支配を始めましたが、これを不満とした島民蜂起が勃発します。
援軍としてやってきたスペインのアラゴン王国の軍隊がそのままシチリアを支配し、14世紀にアラゴン家支配によるシチリア王国が成立。
15世紀になり、アラゴン王国とカスティーリャ王国が併合しスペイン王国が成立すると、シチリアも組み込まれ、この時代が約500年続きます。
ここからは一気に近代へ。
スペイン支配が続く中、ナポレオンの時代にはイギリスに占領されましたが、ナポレオン戦争後の1816年にナポリ王国とシチリア王国は併合されました。
やがてイタリア統一運動が起き、シチリア島は1861年に成立したイタリア王国に編入されます。
イタリア統一後の半世紀に渡る経済発展によって、イタリア北部は広く都市化が進み、工業も発展しましたが、シチリア島は経済の発展から取り残される形となり、現在でもシチリア州の経済は、中央政府の援助支援に大きく依存しているのが現状です。
これほど他民族、多文化の支配を受けてきたシチリア島。
文化も芸術も習慣も色々と混じり合っている、そんなシチリア島の旅が面白くないわけがないですよね!
シチリア島を旅していると、お土産屋さんをはじめ、あちこちで見かけるこの不思議なマーク。
シチリア州の旗にも描かれているシンボルで、トリナクリアと言います。
いわれには諸説ありますが、直角に曲げた3本の足には、シチリア島のメッシーナ、マルサーラ、パキーノの3つの岬をあらわし、真ん中の顔はギリシャ神話の女神メデューサだという説が一般的。
目を見た者を石に変えてしまうという女神メデューサの髪の毛は、本来は蛇で描かれますが、シチリア版は麦の穂で、シチリアの肥沃な大地をあらわす守護母神をあらわしています。
それでは、前置きが長くなりましたが、ここからシチリア島へのアクセスやおすすめの観光スポットをご紹介していきます!
日本からシチリア島の主空港であるパレルモやカターニャへの直行便はないので、一旦 ミラノ か ローマ に入ることになります。
日本からの直行便は、 アリタリア航空 と 全日空 のコードシェア便が、成田からローマまで毎日、ミラノまでは夏期は毎日、冬期は週5便運航しています。
ローマやミラノからは、パレルモ、カターニャともにアリタリア航空やLCCのライアンエアーなどの国内線が運航しています。
または、ヨーロッパ主要都市から、パレルモやカターニャ行きの国際線を利用することになります。
イタリア本土からシチリア島へのアクセスは、自家用車を省いて大まかに4通りあります。
四国よりも大きい島なので、どの街を訪れるかによって入り方、入る街も変わってきます。
予算と時間に合わせてアプローチ方法を選びましょう。
時間的に一番早いのは当然飛行機利用です。
シチリア島には、国際線が発着するパレルモ空港、カターニャ空港、そして主に国内線が発着するトラパニ空港とコミゾ空港と合計4つの空港があります。
シチリア島の西部を旅するのか、東部を旅するのかによって利用空港が決まりますが、シチリア島を周遊する場合は、パレルモ空港イン、カターニャ空港アウトかその逆。
西部だけならパレルモ空港、東部だけならカターニャ空港利用となるでしょう。
イタリア本土からシチリア島へ、どうやって列車で行くのか気になりますよね。
実は列車ごとフェリーに乗せられて、メッシーナ海峡を渡ります。
筆者は大好きなタオルミーナへの旅行の際、ローマからとナポリからの2度、寝台列車を利用したことがあります。
一等車利用でも、宿泊費と移動費を考えると安くつき、寝て起きたらタオルミーナという快適さ。
一等車は他の車両との行き来ができないように施錠されている上に、各コンパートメントも施錠ができるので安心です。
3両ずつくらいに切り離された車両が、レールの上を走ってフェリーのお腹の中に滑り込んでいきます。
フェリーの旅は30分ほどで、以前は列車の中に残る事ができましたが、2018年からは船内ロビーへの移動が義務付けられたようです。
タオルミーナ到着前には、車掌さんが小さなパンとコーヒー(エスプレッソかカプチーノかを前日に聞いてくれていました)を届けてくれるのも嬉しいサービス。
途中下車の場合も車掌さんが寝過ごさないように起こしてくれるので安心です。
イタリアの鉄道検索や予約はこちらから→ トレニタリア (Trenitalia)
イタリア主要都市とシチリア島の主要都市は長距離バスで結ばれています。
イタリアを南下し、ヴィッラ・サンジョバンニでフェリーに乗りこみ、メッシーナ海峡を渡ってメッシーナへ。
そこから各方面(カターニャ、パレルモ、シラクーサなど)へ向かいます。
所要時間の一例を挙げると、ローマからメッシーナは約8時間半、フィレンツェからは11時間半。
ほとんどが夜行バスなので宿泊費の節約にはなりますが、デラックスバスなどはないので、体力に自信がある方向けです。
長距離バスの検索や予約はこちらから→ SAIS Autolinee
かなり長時間にはなりますが、船好きならば海からのアプローチもあります。
イタリア本土(ジェノバ・ナポリ・ローマなど)から、パレルモ行きが一般的で、特にナポリからパレルモ行きは2社が毎日運航していて、合計週20便ほどが運航しています。
所要時間は、9時間15分~11時間ほど、個室付きのフェリーもあるので夜行を選べば宿泊費の節約にもなります。
ただし冬は不安定な天候が多く、欠航になったりかなり揺れることもあるため要注意です。
フェリーの検索や予約はこちらから→ Tirrenia ・ SNAV
シチリア島最大の都市パレルモは、シチリア州の州都でイタリアで5番目に人口が多く100万人を超えています。
パレルモの街はパレルモ湾に沿って扇形状に広がっていて、三方を山に囲まれています。
街の起源は、紀元前8世紀の古代フェニキア人の時代で、9世紀から11世紀にはイスラム帝国の首都として栄え、今の旧市街に見られる迷路のような街作りがされました。
次いで12世紀に北フランス系のノルマン人により、シチリア王国が設立され、その首都として当時は地中海最大の繁栄を誇っていたと言います。
この時代にアラブ・ノルマン様式と言われる華麗な建物が多く作られています。
16世紀にはスペイン王国の支配下に入り、19世紀にイタリア王国に統合され、戦後シチリア自治州の首都となり現在に至ります。
様々な文化が混じり合ってきたパレルモは、独特な雰囲気を持っています。
シチリア島、パレルモというとイタリアンマフィアの巣窟というイメージがあるかもしれませんが、観光客との接点はないので心配は無用です。
2015年、「パレルモのアラブ・ノルマン様式建築構造群およびモンレアーレ大聖堂・チェファルー大聖堂」の名で世界遺産に登録されました。
その中で、パレルモのアラブ・ノルマン様式建築構造群とは以下の7つです。
パレルモ大聖堂、ノルマン王宮のパラティーナ礼拝堂、マラトーナ教会、サン・カタルド教会、サン・ジョバンニ・デッリ・エレミティ教会、海軍提督の橋、ジーザ宮殿。
世界遺産が好きな方は、制覇してみるのも良いですね。
もともと教会があった場所で、イスラム統治時代にはモスクとして使用されていました。
ノルマン人統治となり再び教会に戻されましたが、1169年の大地震によって倒壊し、現在見られるのは1184年に再建された物です。
のちの改修の度に、ゴシック様式、バロック様式、新古典様式など建築様式が違っていたので、ぐるりと見渡すとややアンバランスな感じもしますが、それが大聖堂の特徴であり独特の雰囲気を醸し出しています。
正面からだけではなく、ぐるりと後陣部分に周るとイスラム時代の様式が残されており、独特の幾何学模様の様式を見ることができます。
パレルモ大聖堂は、「パレルモのアラブ・ノルマン様式建築物郡」の1つとして世界遺産に登録されています。
内部は入場は無料、霊廟や宝物殿、地下室などは別途料金がかかります。
おすすめは、大聖堂の屋根に上ること。
鐘楼や丸屋根部分のみに上れる教会はいくつかありますが、屋根部分全体を歩くことができるのはミラノの大聖堂が有名ですが、他にはあまり無いので貴重な経験になります。
イタリア語名 :Cattedrale di Palermo
住所 :C.so Vittorio Emanuele, Palermo
マップ: Googleマップ
アクセス :クアットロ・カンティ(Quattro Canti)から徒歩10分
電話番号 :(091)334373
定休日 :無休
営業時間 :月~土7:00~19:00 日曜日8:00~13:00 16:00~19:00
料金 :入場は無料、屋根+国王墓石+宝物館+クリプタで8ユーロ
公式URL : パレルモ大聖堂
1897年に完成したマッシモ劇場は、1400の観客席を有し、客席以上に舞台が大きいのが特徴です。
パレルモが経済的に豊かだった時代に作られたため、外観は新古典様式、内部はアールヌーヴォースタイルでとても美しい劇場です。
マッシモ劇場は1974年から実に23年間も閉鎖状態でしたが、劇場オープン100周年にあたる1997年に再オープンし現在に至ります。
内部の見学は、ガイド付きツアーのみ可能で、30分~50分毎に催行されています。
基本的にはイタリア語、英語、ドイツ語、フランス語で行われますが、人数が集まらない場合は希望の言語以外のツアーになることもあります。
見学ツアーは約25分間で、ロイヤルシートやVIPラウンジも見ることができます。
もともと歴史のある劇場ですが、より有名にしているのは、映画ゴッドファーザー3でしょう。
映画の後半ではマッシモ劇場が舞台となるので、観ていない方はぜひ映画を観てから訪れてください。
映画の大事なラストシーンに登場する大階段で写真を撮るのもお忘れなく。
イタリア語名 :Teatro Massimo
住所 :Piazza Giuseppe Verdi, 90138 Palermo
マップ: Googleマップ
アクセス :パレルモ中央駅から、101, 102, 104, 107のバス
電話番号 :(091)6053267
定休日 :月曜日
営業時間 :9:30~17:00
料金 :大人8ユーロ、子供5ユーロ
公式URL : マッシモ劇場(日本語)
紀元前8世紀頃にフェニキア人が築いた砦は、古代ローマ時代、ビザンチン時代を経て、イスラム統治時代の10世紀頃に城塞になりました。
12世紀に入り、初代ノルマン王ルッジェーロ2世の時代に、城塞から王宮へと改装され、住居や礼拝堂、塔などが建てられます。
当時流行していた建築様式、アラブ・ノルマン様式で建てられた王宮は、ビザンチン様式のモザイクあり、イスラム職人による装飾ありと、まるで歴史博物館のよう。
16世紀のスペイン統治時代に入り、スペイン・ブルボン家のフェルディナンド王がナポリから王宮をパレルモに移した際に大改造が行われ、建物同士が連結されて現在のような大きな建物になりました。
1947年以降は、シチリア自治州の州議会堂として使用されています。
そのため、議会開催中は、パラティーノ礼拝堂以外の王宮内は見学できないので気を付けて下さい。
ノルマン王宮の中にあるパラティーノ礼拝堂は、「パレルモのアラブ・ノルマン様式建築物郡」の1つとして、世界遺産に登録されています。
長さ32m、幅12.4mの小さな礼拝堂ですが、壁一面が金箔モザイクによるキリストの生涯や創世記などが描かれていて煌びやか。
2007年に大きな修復工事を終えて、かつて見られなかったような輝きを取り戻しています。
また、床の幾何学模様のモザイクや、イスラム美術の鍾乳石飾りが見事な天井も見逃せません。
イタリア語名 :Palazzo dei Normanni
住所 :Piazza Indipendenza, 1, 90129 Palermo
マップ: Googleマップ
アクセス :クアットロ・カンティ(Quattro Canti)から徒歩10分
電話番号 :(091)6262833
定休日 :イースター、1/1、12/25
営業時間 :
月曜日~土曜日8:15~17:45 日曜日・祭日8:15~13:00
※但しパラティーナ礼拝堂は9:45~11:15までミサのため入場不可
料金 :
火曜日~木曜日
礼拝堂10ユーロ 礼拝堂&庭園12ユーロ
金曜日~月曜日、祝日
礼拝堂&王の間12ユーロ
礼拝堂&王の間&ルッジェーロの間とピサーナ塔15ユーロ
礼拝堂&王の間&ルッジェーロの間とピサーナ塔&庭園17ユーロ
公式URL : ノルマン王宮
パレルモから南西に約8km、標高310mの山の中腹にある街、モンレアーレ。
モンレアーレとは王の山という意味で、もともとはノルマン王たちの狩猟地でしたが、ノルマン王のグリエルモ2世が12世紀に大聖堂と修道院を築いてから、町が形成されていきました。
宗教権と世俗権がせめぎあっており、ローマ教皇は皇帝や王をも支配下に置こうとしていた時代。
パレルモの大聖堂にはローマ教皇派の司教がおり、それを不服に思っていたグリエルモ2世は、わずか8kmしか離れていないこの地に大聖堂を作らせたのです。
パレルモからはバスで約40分かかり、決して便利な場所とは言えませんが、パレルモを訪れた観光客が必ずと言って良いほど足を運ぶ理由は、豪華な金箔モザイクの装飾。
現存する教会の中で世界一モザイクの装飾面積が大きく、アダムとイブやノアの箱舟などの聖書の場面や、中央の丸天井には巨大なキリストの上半身像と聖母子座像がモザイクで描かれており圧巻です。
モンレアーレ大聖堂は、「パレルモのアラブ・ノルマン様式建築構造群およびモンレアーレ大聖堂・チェファルー大聖堂」の構成施設として、2015年に世界遺産登録されています。
イタリア語名 :Duomo di Monreale
住所 :Piazza Duomo, Monreale
マップ: Googleマップ
アクセス :
パレルモ大聖堂の西側にある広場(Piazza indipendenza)から市内バス389番で30~45分。
1時間に1本程度の運行なので注意。
定休日 :無休
営業時間 :8:30~12:45 14:30~17:00
料金 :入場は無料、付属のベネディクト派修道院回廊は大人6ユーロ
公式URL : モンレアーレ大聖堂
パレルモ県とアグリジェント県の県境の山の上、標高696m地点にある小さな村パラッツォ・アドリアーノを訪れる観光客の姿。
1989年に公開されて以来、今なお根強いファンが多い名作「ニューシネマパラダイス」の撮影が行われた場所として知られています。
「ニューシネマパラダイス」の主役のトト少年を演じたサルヴァトーレ・カシオはパラッツォ・アドリアーノの出身です。
この映画のヒット後、ジュゼッペ・トルナトーレ監督は「海の上のピアニスト」や「マレーナ」など、世界的に評価の高い作品を生み出しています。
撮影時には、村の中心にあるウンベルト一世広場に、映画館パラダイス座のセットが組まれていました。
もちろんそのセットは今はありませんが、街を歩けば噴水や小道など、ファンなら見覚えがある場所が出くわすことでしょう。
ウンベルト一世広場の役場には、小さな映画博物館があり、役所で見たい旨を伝えると鍵を開けて見せてくれます。
アルフレッドとトト少年がのった自転車や、撮影時の写真などがある1部屋だけの記念館ですが、ぜひ見ておきたい場所ですね。
イタリア語名 :Museo nuovo cinema paradiso
住所 :Piazza Umberto I, 46, 90030 Palazzo Adriano
マップ: Googleマップ
アクセス :
パレルモの中央駅からAST社のバスで約3時間
1日3、4本程度なので日帰りは注意、日曜祝日は運休
定休日 :無休
営業時間 :9:00~19:00
料金 :1ユーロ
シチリア南部に位置するアグリジェント県の県庁所在地アグリジェント。
ギリシャのクレタ島とロードス島から植民したギリシャ人によって、紀元前581年に築かれた街です。
紀元前5世紀にシラクーサと組んでカルタゴを破り、戦利金で築いた数々の神殿が現在のアグリジェントの見どころになっています。
アグリジェント周辺ではシチリアの名産品の1つであるアーモンドが栽培、生産されており、2月になると桜に似た可愛らしい花が咲き誇ります。
毎年2月下旬から3月上旬に1週間開催されるアーモンドの花祭り(Sagra del Mandorlo in Fiore)では、同時に国際フォークダンスフェスティバルも開催され、世界中から民族舞踏団が参加し、多くの見物客がアグリジェントを訪れます。
シチリア島観光のハイライトともいえる、アグリジェントの神殿の谷。
この地域一帯が、「アグリジェントの考古学地域」の名称で、1997年に世界遺産登録されています。
広大な敷地に紀元前8世紀頃のギリシャ人支配時代に造られた多くの神殿が保存状態良く残されています。
神殿の谷は5つの神殿からなり、東側の丘の上に建つメインの、ヘラ神殿、コンコルディア神殿、ヘラクレス神殿と、連絡橋を渡った西側の、ゼウス神殿、ディオスクリ神殿の2地域に分かれます。
現在のアグリジェントの街の中心からは、神殿東側にあるヘラ神殿入口まで約2.8km、神殿西側の出入り口までは約3.8km離れています。
丘の中央に位置するコンコルディア神殿は、最もオリジナルに近く圧巻。
ローマ神話の女神、コンコルディアに捧げられたと言われ、紀元前440年頃の建設だと考えられています。
ビザンチン時代には教会に改築され、イスラム時代にはモスクに転用され、ノルマン時代に再び教会へと使用されてきました。
教会に改装した時に、柱と柱の間に壁を作ったため、おのずと補強されることとなり、幾多の地震の際にも崩壊しませんでした。
神殿の前に横たわっているイカロスの像は、ポーランドの芸術家イゴール・ミトライが寄贈したもので賛否両論。
ギリシャ、ローマ時代には大きな街があった場所だけに、敷地は広大で見どころが点在しているため、かなり歩くことになります。
アグリジェントの観光をメインに考えている場合は、陽射しが強く暑い真夏は避けた方が賢明でしょう。
また、パレルモからの日帰りではゆっくり見学する事ができないので、アグリジェントに宿泊して、ぜひライトアップまで楽しんでください。
イタリア語名 :Valle dei Templi
住所 : Via Empedocle 73, Agrigento
マップ: Googleマップ
アクセス :
中央駅前広場からバス(1番~3番)ヘラ神殿行き、ヘラクレス神殿行き、PORTA V行きがあるので確認。
一番便利なのはヘラ神殿行きで約1時間に1
電話番号 :(0922)621657
定休日 :無休
営業時間 :08:30~19:00(最終入場 18:00)毎月第一日曜日は無料
料金 :大人10ユーロ、州立考古学博物館との共通チケット13.5ユーロ
公式URL : 神殿の谷
神殿の谷や、周辺から出土された発掘品が20部屋に渡り展示されている博物館。
先史時代からギリシャ、古代ローマ時代後期までの約5,700点が展示されています。
考古学博物館は、市街地と神殿の谷のほぼ中間地点に位置しており、約1kmずつ離れています。
坂道なので、楽なのは先に考古学博物館を見てから神殿の谷という順番。
博物館はさっと見るなら1時間、興味がある方は2時間程度の見学時間です。
展示の目玉は、ジョーヴェ・オリンピコ神殿を飾っていた7.75mの巨大な人像柱テラモーネです。
神殿の谷のジョーヴェ・オリンピコ神殿跡に横たわっているテラモーネはコピーで、本物はこちら。
保存状態がとても良く、迫力満点。
また、ギリシャ時代の陶器類も素晴らしく必見です。
イタリア語名 :Museo Archeologico Regionale
住所 :Contrada San Nicola 12, Agrigento
マップ: Googleマップ
アクセス :アグリジェント中央駅よりバスで10分、徒歩30分
電話番号 :(0922)401565
定休日 :無休
営業時間 :9:00~19:00 日祝~13:30
料金 :大人8ユーロ、神殿の谷との共通チケット13.5ユーロ
公式URL : 州立考古学博物館
シチリア島のほぼ中央にあるエンナ県の県庁所在地エンナより、南に約40kmに位置するピアッツァアルメリーナ。
街の中心は標高700mの山の上にあり、そびえたつ大聖堂がシンボルとなっています。
この街を訪れる人のお目当ては、ここから5kmほど山あいに入った場所にある、カザーレ別荘です。
パレルモからバスで2時間半、カターニャからは1時間40分ですが、便数は多くなく日帰りとなると、見学時間に調整が必要です。
カザーレ別荘以外に、ピアッツァアルメリーナの街自体に目立った観光スポットはありませんが、時間に余裕があればB&Bやオステルなどに泊って、のんびりと街歩きや地元の人が行くようなトラットリアで食事をしたりするのも楽しそうでしょう。
古代ローマ時代の3世紀から4世紀のはじめにかけて建てられたと推測される別荘です。
大邸宅の床に残されたモザイクは、総面積が3500平方メートル以上あり、その規模と材質、技術は古代ローマ時代最大級なため、所有者はローマ皇帝マクシミアヌス帝だったと言われています。
2000年以上も前のモザイクが、これほど良い状態で見ることができるのには訳があります。
中世の時代に後ろの山で土砂崩れが起き、19世紀に最初の柱が発掘されるまで、何世紀もの間、土の中に埋もれていたのです。
そのため、破壊されることも、盗まれることも、風化することもなく保存されていました。
1950年から本格的な発掘調査が始まり、約60部屋の修復を終えたのちに一部の部屋が公開されており、現在も発掘は続けられています。
カザーレ別荘で一番人気があるのがこちらのモザイク画。
古代ローマ時代のビキニのお姉さんと言われていますが、実際は体操着だそうで、鉄アレイやボールを使って競技をしています。
モザイク画のテーマは、ギリシャ神話に因んだ物や、古代ローマ時代の出来事や人々の暮らしぶりなどで、当時の様子がうかがえる貴重なものばかり。
質の良い大理石の総数は約1億個と言われ、37色を使い分けて様々なモザイク画が描かれています。
わざわざここを訪れる方は、古代ローマの遺跡やモザイクに興味がある方なはずなので、じっくり見ると2時間はかかるでしょう。
バスの本数が少ないので、タクシーを利用し、同じタクシーに帰りの予約をして迎えに来てもらうようにするのが安心です。
イタリア語名 :Villa Romana del Casale
住所 :Strade Provinciale 15, Piazza Armerina, Enna
マップ: Googleマップ
アクセス :マレスカルキ広場Piazza Marescalchiよりバスまたはタクシー
電話番号 :(0935)680036
定休日 :無休
営業時間 :10:00~17:00
料金 :大人10ユーロ、毎月最初の日曜日は入場無料
公式URL : カザーレ別荘
イタリア人にとっても、ヨーロッパの人々にとっても人気の高いシチリア島のリゾート地であるタオルミーナ。
シチリア島の中では抜群に治安が良く、2017年5月にG7サミットが行われた事で名前を知ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
有名になりすぎて観光地化が進み過ぎた感はありますが、それでも美しい海、美しい景色、美味しいシーフードは訪れた人を虜にするだけの魅力があります。
リュックベンソン監督の、イタリア、フランス合作映画「グランブルー」のロケ地としても知られ、ジャンレノ演じるエンツォがシーフードスパゲティを食べたレストランも実在しています。
タオルミーナでいただく、ウニのパスタやかじきまぐろのグリルは絶品。
ヨーロッパの人たちのように最低でも1週間は滞在して、のんびりとバカンスを楽しんで欲しい筆者一押しの街です。
タオルミーナのシンボル的な存在、ギリシャ劇場。
紀元前3世紀にギリシャ人によって、タオルミーナで一番見晴らしの良い丘の岩場の斜面からすり鉢状に石灰石を切り出して作られました。
舞台の正面には円柱が並び、その間からイオニア海とエトナ山が望め、とても美しく、1787年にこの地を訪れた文豪ゲーテは、この景色に感動し「世界のどんな劇場の観客もこれほどの舞台後部の景色を目にする事はできないだろう」と、「イタリア紀行」に書き記しています。
名前はギリシャ劇場ですが、実際は後の古代ローマ時代に、円形闘技場に改造されています。
この絶景の中で、剣闘士と剣闘士、剣闘士と猛獣などの戦いが行われ、大勢の市民が階段席に座って声をあげて応援していた姿をちょっと想像してみましょう。
ギリシャ劇場では、毎年6月中旬から9月上旬にかけて、コンサートやバレエなど様々な野外イベントが行われています。
ライトアップされた劇場に美しい夜景と雰囲気抜群なので、タイミングが合えばぜひ参加してみてください。
イタリア語名 :Il Teatro Greco
住所 :Via del Treatro Greco 40
マップ: Googleマップ
定休日 :無休
営業時間 :9:00~19:00(夏期)シーズンにより異なる
料金 :10ユーロ、毎月第一日曜日は無料
イタリア語で美しい島という意味の、イゾラベッラ。
タオルミーナの街の中心は高台に位置しており、海岸までは距離があるので、メッシーナ門のそばにあるロープウェイを使って行き来します。
ロープウェイを降りてすぐがマッツァーロ湾で、海に向かって左側に少し歩くとイゾラベッラ湾があります。
イゾラベッラは、1988年よりシチリア州の自然保護地区に指定され、1990年にシチリア州が私有地だったものを買い上げ、2011年から自然博物館として有料で公開されるようになっています。
海岸からは浅瀬で繋がっているので歩いて渡ることができますが、潮の関係で水の中を歩くことになる場合もあります。
もともとはブルボン王朝からタオルミーナ市に与えられた島でしたが、その後売却され、イギリス人貴族、その夫と所有者が変わり、最後の所有者になったのは柑橘類の濃縮果汁を扱うビジネスを手掛ける実業家の兄弟でした。
この時期はミリオネラの海運王オナシスや、女優やセレブが集う隠れ家的な社交場になっていました。
その後、会社の倒産により競売にかけられ、1990年にシチリア州が買い取りました。
島内は外から中の建物が見えないように工夫されていたり、石の扉があったり、絶景を楽しむテラスがあったりと華やかな頃がしのばれる作りになっています。
イタリア語名 :Museo Naturalistico di Isolabella
住所 :Isola bella
マップ: Googleマップ
定休日 :月曜日
営業時間 :5月1日~8月31日 9:00~19:00 冬期~16:00
料金 :4ユーロ
タオルミーナの街の背後に位置する、標高528mの小さな街カルテルモーラ。
タオルミーナに滞在している人たちが、景色を楽しみに出かける人気スポットです。
タオルミーナからは、バスで行くのが一般的ですが、健脚ならばカターニア門からの専用道路を歩いて1時間弱といったところ。
ぐるりと散歩しても30分で元に戻ってしまうほどの小さな街ですが、バール、トラットリア、ピッツェリアなどもあるため、食事やお茶を楽しむこともできます。
街の中心にある広場にあるバール「Bar Turrisi」は、大人向けの強烈なインテリアで有名ですが、くれぐれも子供連れでは入らなように。
紀元前8世紀頃にギリシャからの入植者によって築かれた街シラクーサは、シチリア島南東部に位置するシラクーサ県の県庁所在地です。
数学者アルキメデスを輩出し、太宰治の「走れメロスの」舞台となった地、というのは日本ではあまり知られていないかもしれません。
ニューシネマパラダイスのジュゼッペ・トルナトーレ監督作品「マレーナ」のロケ地にもなっています。
ギリシャ時代の権力、街の規模の大きさは残された遺跡群を見れば良く分かります。
シラクーサは以前から考古学公園は世界中の考古学ファンを集めて賑わっていましたが、街には一部荒廃した雰囲気を持つ場所もありました。
2005年に「シラクサとパンターリカの岩壁墓地遺跡」が世界遺産に登録されてからは街の整備が進み、特に橋で繋がったオルティージャ島の開発によってリゾートの雰囲気も加わり、シラクーサの街は格段と明るく治安も良い雰囲気になりました。
シラクーサ最大の見どころと言えるのが、ネアポリス考古学公園です。
ギリシャ時代、ローマ時代の都市の遺跡群が残されており、石切り場、ギリシャ劇場、ローマ劇場などを巡る考古学散歩が楽しめます。
シラクーサはシチリア島の中でも南に位置し、真夏は陽射しも強く気温が40度になる事もあるので、7月〜8月は避けた方が賢明です。
考古学公園には、神殿や住居用に石を切り出していた石切り場が何か所も残されています。
中でもギリシャ劇場のすぐそばには草木が生い茂った石切り場があり、1608年にこの地を訪れた画家カラヴァッジョにより、天国の石切り場(Latomia del paradiso)と名付けられました。
大きな石が切り出された跡が偶然にも大きな耳の形のような洞窟になっており、その高さは23m、奥行きは65mもあります。
伝説によると僭主ディオニシオス一世が敵陣の囚人をこの洞窟に閉じ込め、エコーを利用して囚人たちの話を盗み聞いていたのだそう。
実際に中に入ってみると、本当に声が良く響くのが分かります。
ここをディオニソスの耳と名付けたのは、天国の石切り場を名付けたのと同じ、画家カラヴァッジョだと言われています。
シチリアで一番大きく、直径が138mもあるギリシャ劇場。
紀元前5世紀初期に造られ、紀元前3世紀頃に拡大、改築されています。
収容人員15,000人とも言われるこの劇場は、何と岩盤を掘って作られた物だというから驚きです。
ギリシャ時代には、アテネに次ぐ演劇が盛んな場所で、市民にとっては大切な娯楽の場でした。
現在でも、毎年5月上旬から約2か月間、ギリシャ悲劇、喜劇の上演が行われており、人気を集めています。
イタリア語名 :Parco Archeologico Della Neapoli
住所 :Via del Teatro Greco, 96100 Siracusa
マップ: Googleマップ
アクセス :シラクーサ駅より徒歩15分
電話番号 :(0931)66206
定休日 :無休
営業時間 :8:30~日没1時間前(夏期は〜19:45)
料金 :
大人10ユーロ、考古学博物館との共通チケット13.5ユーロ
毎月第一日曜日は入場無料
シラクーサ本土と大きな橋で繋がっているオルティージャ島。
シラクーサの旧市街にあたり、その中心は大聖堂があるドゥオーモ広場です。
広場には、市庁舎、聖ルチア教会、大司教館など重要な建物が並び、バールやレストランもありいつも多くの人で賑わっています。
映画「マレーナ」の撮影も行われています。
シラクーサの大聖堂は紀元前5世紀に建設されたアテナ神殿を改装して7世紀に作られたもので、中に入ると神殿の柱を塗りこめて壁にした様子が良く分かります。
立派なバロック様式の正面部分は、18世紀に造られました。
シチリア島の大聖堂にしては珍しく有料で混んでいないため、ゆっくりと内部の装飾などを見学することができます。
イタリア語名 :Duomo di SIRACUSA
住所 :Piazza Duomo, 16, 96100 Siracusa
マップ: Googleマップ
アクセス :シラクーサ駅より徒歩30分
定休日 :無休
営業時間 :夏期 9:00~19:00 冬期 9:00~18:30
料金 :入場2ユーロ、オーディオガイド3ユーロ
公式URL : シラクーサ大聖堂
シラクーサから西に50km、渓谷に囲まれたパンターリカには紀元前13世紀から紀元前7世紀にかけて作られた墓穴が、約12kmに渡り点在しています。
集団埋葬するために掘ったもので、その総数は5000以上と言われています。
2005年、「シラクーサとパンターリカの岩壁墓地遺跡」の名称で世界遺産に登録されました。
シラクーサからパンターリカまでは、未舗装の場所もあるような僻地なので、シラクーサ発のガイド付きツアーに参加するか、ドライバーをチャーターして行きましょう。
イタリア語名 : necropoli rupestre di Pantalica
住所 :Pantalica, 96010 Sortino
マップ: Googleマップ
アクセス :シラクーサより50km
営業時間 :7:00〜19:00
料金 :施設により異なる
公式URL : パンターリカ
今回は日本からのツアーでも訪れるような王道スポットをメインにご紹介しました。
経済的に豊かではなくても、自然が豊か、遺跡や観光スポットが豊か、そして人も素朴で太陽の恵みを受けた食べ物が豊かなシチリア島。
本記事をご覧いただいて、何とも言えない魅力を持つシチリア島に興味を持っていただけたら嬉しいです。
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