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縮景園(しゅっけいえん)は、広島市内の中心部に位置する回遊式庭園です。
兼六園や旧古河庭園などと共に「日本の歴史公園100選」に指定され、広島市内の定番観光スポットの1つとして親しまれています。
元和6年(1620)に藩主の別邸として築かれたのが始まりとされ、約400年以上の歴史があるそう。
広大な敷地内には大小の島々が浮かぶ池をはじめ、山や渓谷、茶室などが設けられており、訪れる人々の心を癒します。
園内では季節ごとに様々な植物が見頃を迎えるため、自然を楽しみに足を運んでみるのも良いでしょう。
春は桜や梅が庭園を彩り、初夏はアジサイ、秋にはカエデやイチョウの紅葉など、四季折々の景観が楽しめます。
主要な見どころは約20〜40分ほどで回れるので、広島市内を観光するついでに訪れるのにおすすめですよ。
縮景園は、広島浅野藩・初代藩主である浅野長晟(ながあきら)の命によって造られた大名庭園です。
作庭者は家老であり、千利休の系譜を引く茶人でもある上田宗箇(そうこ)で、元和6年(1620)に着工されました。
築成から今日に至るまで幾度にもわたって改修が施され、完成まで長い年月を要したといわれています。
宝暦8年(1758)に発生した宝暦の大火、および天明3年(1783)から天明5年(1788)にかけて行われた大改修を経て、昭和15年(1940)に県の名勝として指定されました。
創建当初は現在のような植え込みは少なく、限りなく眺望が開けた庭園だったのだそう。
これは敵の侵入をすぐに確認するために施された工夫であり、戦国時代ならではの造りであると言えるでしょう。
現在見られるのは、戦後にあたる昭和24年(1949)から約30年もの歳月を費やして復旧されたものです。
園内には、原爆による被爆を生き延びた樹木や建物も現存しているので合わせて訪れてみてください。
縮景園では、季節の移ろいが感じられるイベントを定期的に開催しています。
その季節ならではの美しい花々を楽しむ茶会をはじめ、茶摘み、田植え、お月見など、バラエティー豊かなイベントが楽しめますよ。
公式ホームページ では、これらの年間行事のほか、季節ごとの開花状況や見どころを公開しています。
以下で紹介する見どころを事前に確認してから行くと、観光をより楽しめるでしょう。
縮景園には、緑色のベストを着用したボランティアガイドさんがほぼ毎日常駐しています。
園内の植物や歴史的な見どころを無料で案内してくださるので、ぜひ話を伺ってみてください。
縮景園には広島県立美術館が隣接しており、共通の入場券で訪れることができます。
美術館のみを利用する場合、一般の入場料は510円ですが、縮景園とセットで訪れるなら+100円となるため、通常よりもお得に観光を楽しめますよ。
広島県立美術館は、明治100年記念事業として1968年に開館した施設。
サルバドール・ダリの『ヴィーナスの夢』や児玉希望の『新水墨十二題』、平山郁夫の『広島生変図』などが主な見どころです。
広島県出身の作家を中心に多種多様なジャンルの美術作品を収蔵・展示しているので、縮景園を訪れる際はぜひ足を運んでみてくださいね。
住所:広島県広島市中区上幟町2-11
マップ: Googleマップ
電話番号:082-221-3620
定休日:毎週月曜・12月29日~31日
営業時間:9:00〜18:00(9月16日〜3月15日は9:00〜17:00)
注意:最終入園は閉園の30分前まで
公式URL: 縮景園
縮景園へは、JR西日本が運行する列車・路面電車・バスなどの公共交通機関を利用してアクセスできます。
また、入口の向かい側には有料の駐車場も完備しているので、お車でお越しの際はご利用ください。
JR広島駅南口から城北通り(県道37号)経由で所要約15分
ひろしま観光ループバス「ひろしまめいぷる~ぷ」
JR広島駅新幹線口(オレンジルート)乗車 → 「県立美術館前(縮景園前)」下車
<運賃>
大人(12歳以上) 200円
小児(6歳以上) 100円
詳しい運賃や時刻表は こちら をご覧ください。
広島バス
JR広島駅南口から広島バス26系統 比治山橋・旭町方面乗車(21番バス停) → 「縮景園入口」下車
<運賃>
大人(中学生以上) 180円
小児(6歳以上12歳未満) 90円
運行路線や時刻表などの詳しい情報は こちら をご覧ください。
広島電鉄
JR広島駅南口1・2・6号線 乗車 → 八丁堀で9号線に乗り換え「縮景園前」下車
<運賃>
大人(中学生以上) 190円
小児(6歳以上12歳未満) 100円
路面電車の路線や乗車方法は こちら をご覧ください。
レンタカー
吹田山口線/山陽自動車道 経由で所要約45分(最寄りの料金所:府中IC)
<駐車場>
台数:29台
料金:最初の1時間まで 360円(以降30分毎 180円)
リムジンバス
リムジンバスを利用して広島駅新幹線口に移動し、徒歩・バス・路面電車で所要約10〜15分
<空港バス>
運賃:1,370円
所要時間:45〜50分
空港バスの乗り場・運行状況・時刻表は こちら をご確認ください。
縮景園の入園チケットは、敷地の東側にある表門付近で購入できます。
広島県立美術館を訪れる場合は、縮景園との共通券を購入するとお得に観光できますよ。
また、美術館の休館日は毎週月曜日なので共通券をお求めの際は注意が必要です。
一般:260円 (610円)
高・大学生:150円 (350円)
小・中学生:100円
※ ( )内は縮景園と広島県立美術館の共通券料金
※ 65歳以上は無料
縮景園は、濯纓池(たくえいち)と呼ばれる池を中心に造られた池泉廻遊式庭園です。
敷地内に築かれたいくつかの山は、宗箇山・二葉山・弥山などの借景とされています。
中国にある景勝地として名高い「西湖」を模して造られたといわれ、1つの庭園の中に多様な風景と趣が見られるのが特徴。
「縮景園」という名は、各地の景勝を聚め縮めて表したことに由来するそうです。
園内には、少なくとも4,826本の樹木があるといわれています。
3本の被爆樹木をはじめ、9種類110本の桜、薬草園、茶畑など、自然豊かな見どころが充実しているため年間を通じて楽しむことができますよ。
梅や椿の名所であるのはもちろん、約5品種490株のツツジも植えられており、特に春先はひときわ鮮やかな景観を見せます。
また、縮景園はサギやカワセミをはじめとする多くの野鳥が訪れる「野鳥の宝庫」としてもお馴染み。
美しい庭園を歩きながら四季折々の自然を眺めていると、心がとても安らぎますよ。
ここでは、園内にある主な見どころを紹介します。
敷地の約20%を占めるとされる広大な汽水池です。
水深は約1mほどで、大小10余の島が浮かんでいます。
ボランティアガイドの方いわく、これらの島々は鶴や亀といった縁起の良い動物を象っているのだそう。
島の多くは、亀の甲羅のような見た目をしています。
一方、鶴のような石組は池の中央部に架かる橋を挟んで左右に1つずつしか存在しないため、気をつけて観察しないと見逃してしまうかもしれません。
見つけられない場合は、お近くのボランティアガイドさんに聞くと丁寧に教えてくれますよ。
入場券売場を起点として、基本順路である「じっくりコース(40分)」を反時計回りに歩くと見られるスポット。
榻(とう)とは「腰掛け」を意味するそうで、かつては藩主がこの場所に座って周囲の景観を眺めるために使用していたそうです。
座席はロクロ式に作られているため、360度回転可能です。
藩主が座ったままでも様々な方向が見られるように施された工夫といえるでしょう。
現在でこそ、周辺に多くの高層建築物が立ち並んでいますが、古くは遠く広島湾に浮かぶ島々まで望めたのだそう。
現在見られるのは戦後に復元されたものですが、実際に腰を掛けてみることもできるので、ぜひお試しください。
看花榻のすぐ下には、樹高21m・幹周3.50mを誇るイチョウの巨木があります。
第2次世界大戦中の被爆を生き延びたことで知られる、貴重な樹木なんですよ。
原爆投下により発生した強烈な爆風によって傾いたそうです。
終戦から76年経つ今でもしっかりと生育を続けており、毎年11月中旬から12月初旬には見事な紅葉を見せます。
その他、大銀杏から慰霊碑に向かう途中には樹高25m・幹周2.4mのクロマツもあります。
クロマツは針葉樹林のため被爆に弱いとされていますが、この木は被爆により幹の3分の1をケロイド状にしながらも、生き残っています。
現地での滞在時間に余裕のある方はぜひ立ち寄ってみてくださいね。
迎暉峰は、園内の東側に築かれた標高約10mの小山です。
園内最大の築山として親しまれ、富士山を縮景として表現したとされています。
かつては、この場所から広島の城下町をはじめ、はるか宮島まで望むことができたといわれています。
頂上からは、ご覧のように縮景園を一望することができますよ。
大名庭園において、築山は天守閣としての役目も果たしていたそうです。
基本順路からは外れますが、周辺にはいくつかの見どころが点在しているので、以下に紹介していきます。
迎暉峰の向こう側に広がる竹林を抜けると、薬草園が見えてきます。
この場所では、かつて藩主が使用する薬用植物が栽培されていました。
その歴史は寛文3年(1663)までさかのぼるそうで、「園の東方に薬草園があり、救急に備えている」という記録が残されています。
現在見られるのは、東京小石川薬草園の協力のもと昭和40年(1965)頃から復元されたものです。
薬草園にはシャクヤクやセンキュウ、ウツボグサなど、様々な植物が植えられているので観察しに訪れてみるのも良いでしょう。
江戸時代に藩主が田植えをして、五穀豊穣を祈ったとされる4枚の小水田。
よく見ると、水田として使用されていた部分が窪んでいるのが確認できます。
迎暉峰の北側に広がる緑豊かな茶畑です。
江戸時代には藩内の有名品種が栽培されていたそう。
現在見られる茶畑は1958年に復元されたもので、毎年5月に催される茶摘茶会に使用されています。
別名「十王堂」として親しまれるお堂で、看花榻のすぐ西側に位置しています。
約200余年前の天明年間に神田川が氾濫した際、園内に漂着した3体の像のうちの1体を安置する目的で建造されました。
これらの仏像は平安時代後期頃に作られたとされる寄木造りの十王像です。
残念ながら、2体は原爆で消失したとされていますが、現存する1体は縮景園に隣接する広島県立美術館にて見学できます。
園の中央北側に位置する標高約5.8mの小山。
5代藩主・浅野吉長(よしなが)が、正徳3年(1713)に稲荷神社(泉邸稲荷)を築いた場所で、広島藩内の平穏無事と子孫繁栄を祈願したと伝えられています。
頂上には稲荷神社の社殿がありましたが、第2次世界大戦中に焼失してしまいました。
現在は、川を挟んで反対岸にある饒津(にぎつ)神社内に復元されています。
縮景園から徒歩約10分ほどでアクセスできるので、お時間に余裕のある方はぜひ足を運んでみてくださいね。
濯纓池の中央に架かる石造りの太鼓橋で、縮景園のシンボル的な存在として親しまれています。
地上と天上を結ぶ虹のように構築されており、橋が大きく反っているのが特徴。
堅固な造りをしていて、原爆による爆風にも耐えました。
この橋は、7代藩主・浅野重晟(あさの しげあきら)が天明の大改修の際に清水七郎右衛門に造らせたものです。
藩主が完成後の出来栄えに満足しなかったことから、1度築いたものを取り取り壊して再度造り直したと伝えられています。
積翠巌は、跨虹橋を挟んで濯纓池の西側に浮かぶ島です。
この石組は蓬莱式鶴石組と呼ばれ、園の基幹を成す存在として親しまれています。
積翠とは「積み重なった翠、すなわち松」、そして巌は大岩を表すのだそう。
積翠巌の近くを流れる3段の滝です。
江戸時代には牛田山の清水谷より水を引いていたそうですが、現在は井戸水を使用して景観を維持しているそう。
月を鑑賞する場所であることから「明月亭」と名付けられた、数寄屋造りの茶室です。
屋根は芽葺き、ひさしは柿葺きで一部書院造りの様式を持ちます。
現在見られるのは昭和49年(1974)に復元されたものです。
内部には茶室のほか、控之間・水屋之間・玄関之間が設けられています。
観瀾および洗心の両橋で結ばれている、園内最大の島です。
中央に木造平屋建ての寄棟造・茅葺の四阿(あづまや)があります。
周辺の模様は作庭者である上田宗箇(うえだそうこ)の代表作とされ、天明の大改修が行われた際もこの場所には手を加えなかったそう。
明月亭を西側に進むと、樹高11m・幹周2.0mのムクノキに辿り着きます。
この木は、園内に3本あるとされる被爆樹木のうちの1本です。
敷地の角に位置しており若干探しにくいので、訪れる方はスタッフの方に詳しい場所をあらかじめお伺いしておくと良いでしょう。
江戸時代に使用されていた調馬場跡地です。
現在は19種類・114本の梅が立ち並ぶ梅林として親しまれています。
例年2月中旬から3月上旬にかけて見頃を迎えるので、この時期に訪れる際はお見逃しなく。
縮景園を代表する建物として親しまれる数寄屋造りの茶室です。
園内のほぼ中央部に位置しており、周辺に点在するその他の建物は、清風館を基準に配置が決められたと考えられています。
代々の藩主が愛好した名亭であるほか、日露戦争にあたって大本営が広島に移された際は明治天皇の居所としても利用されました。
現在見られるのは昭和39年(1964)に復元されたもので、お茶会などのイベント時のみ中に入れます。
広島藩主が築いた美しい大名庭園「縮景園」の見どころを紹介しました。
広島市といえば、広島平和記念資料館や原爆ドームなど、なんとなく戦争の歴史を学ぶ施設が多い印象を抱きがちですが、実は自然豊かな見どころもあるんですよ。
縮景園はJR広島駅をはじめ、市内にある主要な観光施設からのアクセスが便利な人気の観光スポット。
今年で築成から400周年を迎える庭園には、都会の中心部とは思えないほど豊かな自然が広がっています。
桜や梅、そして紅葉の名所としても有名なので、優美な景観に癒されにぜひ訪れてみてください。
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最終更新日 : 2022/08/15
公開日 : 2021/05/20