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定義山(じょうぎさん)は、「平家の落人伝説」で知られる宮城県の人気観光地です。
「定義如来」または「定義さん」という愛称でも親しまれています。
平清盛の家臣・平貞能(たいらの さだよし)ゆかりの地で、約800年の歴史を持ちます。
東北には平家が落ち延びたと伝わる隠れ里がいくつかあり、定義山もその1つに数えられているそう。
そもそも「平家の落人」とは、具体的にいつの時代のどんな人々を指すのでしょうか。
歴史の教科書でなんとなく目にしたことのある出来事も、改めて振り返ってみると意外と面白いものですよ。
ここでは、定義山の魅力を分かりやすい歴史の解説を交えて紹介していきます。
定番のご当地グルメや観光をより楽しむためのアクティビティーも合わせてチェックしていきましょう。
定義山といえば、古くより「庶民信仰の場」として栄えたことで知られる有名なパワースポット。
主な見どころは、東北屈指の古刹霊場として親しまれる浄土宗の寺院「極楽山・西方寺」です。
この寺院は、中国の五台山を起源とする阿弥陀如来の掛け軸(秘仏)を御本尊としています。
これは、平安時代に平重盛公の祈願によって日本にもたらされたものなのだそう。
平家が源平合戦に敗れ、衰退した後も重臣・平貞能が源氏の追討から命からがら守り抜いたと伝えられています。
皆さんもご存知の通り、源平合戦における最後の戦いは壇ノ浦(現在の山口県下関市)で行われました。
平貞能は平家が滅亡したあと、この地に流れて身を隠し、ひっそりと生涯を過ごしたと言われています。
全国には、このように平家が落ち延びたとされる伝説が残る地域がいくつも点在しています。
西方寺は、平貞能の亡き後に秘仏をその墓上に祀ったのが始まりとされる、歴史上の出来事に深く関係する場所なのです。
つまり、源平合戦の勝敗が真逆だったとしたら西方寺は存在しませんでした。
そして、私たちが生きている未来も、全く異なる様相を帯びていたかもしれませんね。
また、西方寺は「一生に一度の願いであれば必ず叶う」と言われる大変ご利益のある寺院としてもお馴染みなのだそう。
縁結びや子宝、安産などにご利益があるとされ、現在でも年間約100万人を超える人々が参拝に訪れています。
県外からの観光客だけでなく、地元の人も足を運ぶことで知られ、新年の三が日には毎年約4万5000人もの参拝客が初詣に訪れます。
仙台市中心部から車で約1時間でアクセスできるので、日帰りで行くのに最適ですよ。
毎週土・日曜日には、僧侶の方が案内するガイドツアーも催行されています。
気になる参加料は、なんと無料なんです。
とても有り難いですよね。
13時30分に山門の前からスタートして、境内にある主要な見どころを約1時間30分かけて巡ります。
僧侶の方に寺院を案内してもらうという経験はなかなか無いので、ぜひお見逃しなく。
参拝を終えたら、門前町に寄り道して名物グルメを食べていきませんか?
定義周辺には、山門前に延びる参道沿いを中心に様々なお店が点在しています。
美味しいご当地グルメや縁起物などが販売されているので、食べ歩きやお土産を買うのにもおすすめですよ。
貞能堂のすぐ横にある 有路こけし店 では、伝統工芸品・定義こけしの製造・販売も行っています。
全国のこけしをコレクションしている方は必見です。
また、定義山を訪れるなら食べ歩きも欠かせません。
参道に立ち並ぶお店では、うどんや手打ち蕎麦、みそ田楽、玉こんにゃくなどが楽しめます。
中でも絶対に食べておきたいのが、名物「三角油揚げ」と「焼きめし」です。
揚げたての油揚げは1度食べたら忘れられない美味しさで知られ、県内外に多くのファンを持ちます。
県内からはこの油揚げを食べるためだけに、わざわざ定義山へと足を運ぶ者も存在するそう。
油揚げは多くの人にとって馴染み深い食材であり、1枚130円で価格もお手頃なので、ぜひ食べてみてください。
また、自家製の味噌をたっぷりと塗ったこだわりの焼きめし(味噌おにぎり)も有名なんですよ。
軽く焦げ目の付いた味噌の芳醇な香りが食欲をそそります。
少し味が濃そうな見た目なのですが、おにぎりそのものが大きめなので、食べてみるとちょうど良い塩気に感じると思います。
2つ合わせてもワンコインでお釣りが返ってくるので、コスパも最高ですよね。
どちらもテイクアウト可能なので、その場でなくても食べられるのがさらに嬉しいポイントです。
日帰りの旅行であれば、手土産として購入しても喜ばれることでしょう。
住所 : 宮城県仙台市青葉区大倉上下
マップ : Googleマップ
電話番号 : 022-393-2240(定義観光協会)
開門時間 :
料金 : 見学無料
注意 : 西方寺の祈祷受付 8:00~15:30(日・祝 7:30 ~15:30)
公式サイト : 定義観光協会
定義山は、宮城県仙台市の奥深い渓谷地帯に位置しています。
山形との県境に近いため、宮城県および山形県の両方からアクセス可能です。
また、 JR仙台駅 からは路線バスも運行しているので、公共交通機関でアクセスする方はこちらをご利用ください。
関東より西からお越しの場合は、各種交通機関でお越しのうえ、仙台市を観光拠点にすると便利でしょう。
【宮城県/東北自動車道経由】 仙台宮城ICから国道55号経由で約40分
【山形県/東北中央自動車道経由】 天童ICから国道48号経由で約1時間10分
周辺には公共駐車場が4ヵ所あり、全て無料で利用できます。
悪天候などにより寺院からなるべく近い場所に駐車したい場合は、大本堂のすぐ目の前にある駐車場を利用するのがおすすめです。
仙台市営バスが運行する路線バスを利用してアクセスすることも可能です。
仙台駅西口バスターミナルの10番乗り場から乗車、「定義交流センター」下車。
停留所は地図右上の駐車場横、本堂から徒歩約5分の場所にあります。
路線バスは1時間に1本のペースで運行していますが、お帰りの際はなるべく時間に余裕を持って向かうようにしましょう。
また、バスの接近情報は こちら でご覧いただけます。
ご利用の路線の位置情報がリアルタイムで把握できる他、車内の混雑状況も事前に確認できるので便利ですよ。
【845・S845系統 定義行】
所要時間:約1時間30分
運行本数:1日 12本(週末は10〜11本の運行)
乗車料金:大人 片道1,160円
お問い合わせ:022-222-2256(仙台市交通局)
ここでは、定義山の代表的な見どころをまとめてご紹介します。
一つひとつの場所に込められた意味や歴史背景を理解すれば、寺院での参拝がいつもより楽しくなるでしょう。
観光にかかる所要時間は、約40〜60分が目安です。
写経体験や御祈祷、お抹茶処での休憩などを含むとさらに時間がかかるので、なるべく余裕を持って行動することをおすすめします。
参拝に訪れる人々を最初に出迎える楼門形式の門です。
これは昭和6年に建造されたもので、設計から完成に至るまでに複数の職人が携わりました。
入り口の左右に立つ一対の金剛力士像は、伽藍守護の役目をしています。
これらをよく観察すると、口が開いている方と閉じているのがあるのがお分かりいただけるでしょう。
向かって右側に立つ像は「阿形」と呼ばれ、口を開いているのが特徴です。
「阿」は梵字(ぼんじ)で口を開いて発する最初の音なので、仏教では「物事の始まり」を表すと考えられています。
反対に、口を閉じている像は「吽形(うんぎょう)」と呼ばれ、「物事の終わり」を表すそうです。
これらは神社の境内にある狛犬やキツネなどにも見られる特徴なんですよ。
仏教では「この世に生まれ悟りを求め、煩悩や執着を取り払って永遠の平和や安楽の世界に辿り着く」という意味を持ちます。
それでは、門の裏側へと回ってみましょう。
こちらには、世親(せしん)および無著(むじゃく)菩薩の像がそれぞれ安置されています。
これらの人物は兄弟で、4世紀頃のインドに実在したことで知られています。
仏教に深く関係するとされ、奈良の興福寺では木造の立像が国宝に指定されているそうです。
門をくぐると正面に香炉、左に手水舎、右に鐘楼堂および延命地蔵が見えてきます。
鐘楼堂に吊るされている鐘は、京都でつくられたもので重さが320kgもあるそう。
参拝者は誰でも自由に鐘を鳴らすことができるので、興味のある方はぜひお試しください。
衆生の寿命を延ばし、福利を与えるとされる地蔵尊です。
左手に薬が入った壺を、右手には錫杖(しゃくじょう)を持っています。
お地蔵様の持ち物には、それぞれ異なる意味が込められているのをご存知でしょうか。
錫杖は歩く時に音を立てることから「魔除け」を、そして薬壺(やっこ)は「病気平癒」を意味するそうですよ。
延命地蔵に祈って長寿を祈願しましょう。
貞能公の墓上に建つお堂で、西方寺を代表する見どころとして親しまれています。
現在見られるのは旧御廟の鞘堂として昭和2年(1927)に増築されたもので、比較的新しいのが特徴です。
かつては茅葺き屋根の質素な御堂が存在するだけでしたが、老朽化を理由に現在のような六角堂の形となりました。
御廟を新築しなかったのは、「立て替えてはならない」という先代による言い伝えがあったからなのだそう。
そのため、この建物は旧御廟の材料を各部分に使用して造られたと言われています。
建築年代そのものは浅いですが、入り口の唐獅子をはじめとする緻密な彫刻は大変見事です。
御廟にも山門と同じ彫師が彫刻を施しているので、それぞれを見比べてみると面白いですよ。
御本尊は平成11年(1999)に大本堂が完成した際に御廟から遷され、現在は建物だけが残る状態となっていますが、国の有形文化財として大切に保存され続けているんです。
御廟の内部は無料で一般公開されており、自由に見学することができます。
また、御廟の周辺に目を向けると老木や古木の切り株を複数確認できるでしょう。
これらは、源氏の追討から逃れるために墓石を建てることが出来なかった、貞能公の家臣の墓標なのだそう。
源平合戦で敗北して以降、平家がひっそりと暮らした名残りと言えますね。
現在ではなんとなく通り過ぎてしまうような場所にも、平家の人々は眠っているんです。
また、御廟には写経体験(500円税込)ができるスペースも設けられているため、お時間に余裕のある方はぜひ体験してみてください。
写経の手本は6種類あり、「お念仏・舎利礼文・四弘誓願・ひらがなのお念仏・般若心経・じぞうもじ」からお好きなものを選ぶことができます。
写経し、ご自身の願いを記入すると、後日祈願成就するよう香に薫じて納経されます。
事前の予約は不要なので、時間を見ながら体験するか否かを決めましょう。
その他、御廟の裏手にも様々な見どころが点在しています。
御廟のすぐ横にある将軍地蔵は、お参りすると頭痛が軽くなるのだそう。
小さな祠ですが、将軍を「勝軍」と読み当て勝負必勝を祈願する人もいるそうなので、合わせてお参りしましょう。
天皇塚には、安徳天皇の遺品が祀られています。
安徳天皇は平家一門で最後の天皇を務めた人物であり、壇ノ浦の戦いで平氏が敗れた際にわずか6歳という若さで入水したことで知られています。
貞能公は源氏の追討から逃れてこの地に辿り着いたとき、安住の地として定め、それまで護持してきた遺品を埋めました。
切り株のような見た目の大きな根は、その目印として植えたとされる2本のケヤキの名残りです。
かつては生き生きとした樹木が存在したそうですが、大正3年から7年にかけて樹木が倒れてしまったため、現在はこの部分が残るのみとなっています。
2本のケヤキは成長と共に、やがて1本の木のように結ばれたことから「連理のケヤキ」と呼ばれ、縁結びの御神木として多くの参拝者がお参りをするようになりました。
天皇塚の少し先へ進むと、歴代住職の墓が見えてきます。
この場所には、初代から第20世までの住職が祀られているのだそう。
西方寺が長きにわたって守られてきた証と言えるでしょう。
また、この辺りには貞能公によって祀られた熊野神社が鎮座しています。
熊野神社といえば熊野三社を本宮とし、全国に約3,000社以上の分社を有することで知られる有名な神社です。
西方寺では「阿弥陀如来の守り神」として親しまれています。
寺院を参拝するついでにお参りして行きましょう。
大本堂には、西方寺の御本尊である定義阿弥陀如来が祀られています。
以前は御廟を本堂として使用していましたが、現本堂が完成した平成11年(1999)に御本尊をこちらに遷しました。
この建物は約6年の歳月をかけて建造されたとされ、まさに大本堂と呼ぶにふさわしい佇まいです。
子授や安産祈願、厄払いをはじめとする御祈祷はこちらで行っているので、希望する方はご祈祷時間の15分前までに受付をお済ませください。
なお、事前の申込および予約は必要ありません。
大本堂内は御祈祷を受けない方でも参拝できるので、気軽に訪れてみてくださいね。
「大本堂・御廟(貞能堂)・五重塔」の計3種類の御朱印を授かることができます。
これらの受付は基本的に大本堂で行っておりますが、御廟(貞能堂)の御朱印のみ「貞能堂御守り授け所」でいただくことも可能です。
五重塔は、境内の東側にある浄土庭園の敷地内に位置しています。
これは、貞能公への報恩感謝とそのご供養、および人類の恒久平和を祈念するシンボルの塔として建立されたものです。
塔の高さは約29mで、奈良の法隆寺にあるものより少しだけ低いそう。
もちろん、建築年代は全く異なるので同じように並べて比較することはできないですが、高さの目安として捉えていただければと思います。
例年3月から11月にかけては、毎月7日に五重塔祭典日として御開帳が行われています。
五重塔の中に入ることは出来ませんが、正面より拝む御本尊を目的に多くの参拝客が足を運ぶと言われています。
御本尊を目の前に祈りを捧げられる貴重な機会なので、ぜひ訪れてみてください。
定義とうふ店は、創業130年の歴史を誇る老舗豆腐店です。
定義名物「三角油揚げ」で有名なのですが、元々は西方寺で提供する精進料理の豆腐を製造するために開業したとされています。
ある日、参拝客に油揚げを販売してみたところたちまち人気となり、現在に至るのだそう。
厳選した高品質の大豆でつくる油揚げは、風味豊かでとても食べ応えがあるのが特徴です。
その人気は根強く、多い時はなんと1日に1万枚も売り上げることがあるそうですよ。
外はカリカリ、中はふんわりとした歯応えのある油揚げは根強い人気を誇り、県内にも多くのファンを持ちます。
価格がリーズナブルで食べやすい大きさなので、ライダーやサイクリストにもおすすめです。
揚げたては定義山でしか食べられないので、参拝帰りに立ち寄ってぜひお召し上がりください。
また、店頭および周辺にある土産物店ではお持ち帰り用の油揚げが1袋5枚入で販売されているので、お土産として購入する方も多いですよ。
住所 : 宮城県仙台市青葉区大倉字下道1-2
マップ : Googleマップ
アクセス : 西方寺山門から徒歩2〜3分
電話番号 : 022-393-2035
定休日 : 不定休
営業時間 : 8:00~16:00
公式サイト : 定義とうふ店
宮城県の人気パワースポット「定義山」の魅力をご紹介しました。
定義山は、仙台市中心部から車で約1時間とアクセスが良く、日帰りでの旅行にとてもおすすめな観光地です。
宮城観光の見どころといえば、 松島 や 蔵王 などの景勝地が有名ですが、定義山のような歴史的な見どころもあります。
「一生に一度の願いであれば必ず叶う」とされる大変ご利益のあるパワースポットなので、縁結びや安産を祈願しに足を運んでみてください。
周辺は豊かな自然に囲まれていて、途中には秋保や作並といった有名な温泉地もいくつかあるため、ぜひ合わせて立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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最終更新日 : 2021/07/12
公開日 : 2021/07/12