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岐阜県 と 長野県 、 富山県 にまたがる飛騨山脈の南部に位置する、標高3,170mの岩峰。
並び立つ穂高岳とともに槍・穂高連峰と呼ばれています。
その急峻にそそり立つ姿は、他のどの山から見ても「槍ヶ岳だ!」とわかるほど特徴的なもの。
全ての登山者にとって憧れといっても過言ではありません。
槍ヶ岳の標高は3,000mを超えており、岩登りの技術を要する岩山のため、難易度は 富士山 よりも上。
だた、初心者の方でも、時間をかけてしっかりと準備をすれば登れない山ではありません。
本記事を読んで、槍ヶ岳登山へのモチベーションを高め、ぜひ槍ヶ岳チャレンジを計画してみてください!
槍ヶ岳の標高は3,170mとなっており、日本で5番目に高い山です。
3,000mを超える山だけあり、高山特有の激しい天候変化や高山病、そして3日間にもわたり、重たい装備を背負って歩き続ける体力が必要です。
結論としては、まだ装備や知識・里山での経験がままならない登山初心者がぶっつけ本番のような形で行くのは難しいです。
もちろん、冬のアルプスや一般登山道を外れたクライミングルートなどの、エクストリームな登山よりは難易度はぐぐっと下がります。
槍ヶ岳へ至るコースはいずれも人気ルートのため人が多くいますし、登山道は整備もされています。
急峻なことで知られるアルプスの中では比較的易しい山と言っても過言ではありません。
登山初心者の方が「目標」とするにはぴったりの山だと言えるでしょう。
体力に自信のある方なら、1年ほどきちんと計画して登山経験を積めば、槍ヶ岳は登ることができます。
※合わせて読みたい: アウトドアの定番「登山」を始めよう! 初心者にオススメの登山用品厳選27選!
さて、 槍ヶ岳を登ろう! と決めたら、里山でしっかりと練習して登山に必要なものを揃えていきましょう。
必要になってくるのは、体力や岩登りなどの技術に加え、悪天候に対する装備や最低限の地図読みなどの知識です。
槍ヶ岳登山においては、5〜7時間程度のルートを2日〜3日にかけて歩くことになります。
そのため、当日を想定した日程でトレーニングを行いましょう。
具体的には、里山で長めのコースを当日と同じ容量の荷物で2〜3日連続で歩くといったトレーニングを行うのがオススメ。
重い荷物で歩ききるだけのスタミナをつけることが重要です。
槍ヶ岳は、槍ヶ岳の肩と呼ばれる「槍ヶ岳山荘」までのルートは実は単純で、特に危険な箇所などはなく、どちらかというと体力勝負です。
危険なのは槍ヶ岳山荘から登頂に至る、「槍の穂先」と呼ばれる部分にかけて。
片道約30分の岩場が続くのです。
3点支持など、岩場を登る技術が求められるため、岩場が多い里山に行くか、ボルダリングジムに通うのもバランス感覚を鍛える良い方法です。
北アルプスは登山者が多く、登山道もしっかり整備されています。
そのため、迷ってしまうことは少ないです。
ただ、3,000mの山で道に迷ってしまうと命の危機に直結します。
最低限の地図読みやルートのプランニングができるようにしておきましょう。
エクストリーム級に難しい山ではないとは言え、槍ヶ岳は3,000m級の山です。
天候が急変すれば突然前が見えないほどの風雨が吹き荒れることもありますし、真夏でもとても冷え込むことがあります。
完全防水のマウンテンパーカーやインナーダウンなど、しっかりとした装備が必要です。
必要な装備については、後ほど紹介させていただきます。
さて、槍ヶ岳を登ろう!と決め、必要な装備や経験もついてきたら、いよいよ槍ヶ岳登山を計画しましょう。
槍ヶ岳登山のシーズンは、例年6月の梅雨明け1週間後〜9月中旬です。
アルプスでの宿泊方法は、山小屋泊か持ち込みでのテント泊の2つ。
山小屋泊は一泊一人あたり、食事込みで10,000円程度、テント泊だと1張り2,000円程度です。
テント泊のほうがお得に見えますが、ギアのレンタルなどはなく、重たいテントや寝袋を背負って行くわけですから難易度は跳ね上がります。
ここでは初心者の方が前提ですので、山小屋泊を想定して話を進めます。
槍ヶ岳を始めとする標高の高い登山に慣れてきたらテント泊も検討してみてください。
槍ヶ岳を目指すルートは基本的に2泊3日での行程となっています。
ただ、ネット上の記事を見ていると、新穂高ロープウェイから槍ヶ岳までを日帰りで往復する強行日程で登山を行う登山者(トレイルランナー)の方もいます。
しかし、そのルートは一般的なペースで片道10時間半かかるルートとなっているため、基本的には2泊3日行程が推奨されているのです。
無理なペースでの登山はリスクも上がります。
何より、登頂を急ぐあまり登山を楽しむこともできなくなる方も多いので、日帰りでの強行・槍ヶ岳登山はおすすめできません。
せっかく行くのでしたら、夜のアルプスに輝く満点の星空や、朝焼けに染まる槍ヶ岳など、槍ヶ岳の魅力を存分に満喫して帰りたいですよね♪
宿泊先となる槍ヶ岳山荘や、槍沢ロッヂ、槍平小屋などは事前に予約することができます。
飛び込みで行っても泊まれないことはないですが、場合によってはすし詰めの部屋になってしまうこともありますし、何より小屋に迷惑をかけることになりますので必ず予約して利用するようにしましょう。
槍ヶ岳登山の一般的なルートは2つあります。
登山者が多く人気の槍沢コースと、登山者が少なく比較的なだらかな飛騨沢ルートです。
初心者の方にオススメは槍沢ルート。
人気ルートのため渋滞などは起こりますが、道迷いするリスクも少ないのが◎
また、穂高の山々や氷河が生み出したカール地形など、アルプスの魅力もたっぷりと味わえますよ♪
槍沢ルートは、登山者が集う上高地バスターミナルから槍・穂高連峰に向かって登るルートです。
高山植物や岩稜地帯、残雪をたたえるカールなど、アルプスの魅力を存分に味わえることから、槍ヶ岳登山の中で最も人気で登山者も多いです。
上高地バスターミナルは 大阪 や 東京 発着のバスも多く、槍・穂高連峰へ挑む登山者たちの拠点なっています。
飛騨沢ルートは、新穂高温泉のある飛騨側から槍ヶ岳を目指すルートです。
槍沢ルートに比べて登山者が少ないことと、沢沿いのルートのため比較的なだらかなコースが魅力です。
槍ヶ岳に通じる槍沢ルート・飛騨沢ルートは、ともに人気ルートのため登山者が多く、道迷いのリスクはそこまで高くありません。
危険箇所は槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳をつめる穂先付近に集中しています。
事故の内訳としては、岩場からの滑落や、悪天候による低体温症が多くなっています。
激しい風雨により悪天候に見舞われてしまい、体温が下がると起こる現象です。
雨対策として防水素材のレインウエア上下、防寒対策のフリースやダウンなど、しっかりとした装備で臨みましょう。
アルプスでの2泊3日の日程において、一度も雨が降らないというのはなかなかレアケースです。
天気予報を信じすぎず、どんな天候でも必ずレインウエアは持っていくようにしましょう。
槍ヶ岳登山の終盤、天狗原分岐から槍ヶ岳山荘までにかけての最後の1時間半は、ガレ場と呼ばれる大きめの岩が転がる地帯を歩いて登らなければなりません。
登山終盤で体力が少なくなってきている頃なので、気をつけたいのが滑落事故。
打ちどころが悪いと大事故に繋がります。
特にこの場所で雨が降るとリスクはかなり高くなります。
登山靴のソールはしっかりとグリップが効くものをチョイスしましょう。
槍ヶ岳山荘から槍の穂先までの往復1時間のアタックは、最大の難関です。
はしごや鎖を握りしめ、しっかりとした足場に足をかけて登りましょう。
岩場を登る際の基本「3点支持」をきっちりと行ってください。
富士山(3,776m)登山でよく聞く高山病ですが、3,000m前半の槍ヶ岳ではそこまでひどい高山病にかかっている方はあまり見ません。
ただ、個人差もありますし、中には苦しんでいる方も見かけます。
その他、注意したいのがお酒の飲み過ぎ。
高山のため人によっては症状が出やすいお酒が回りやすくなっているのは事実ですから、登頂の喜びに浸って飲みすぎないように注意しましょう。
「直近の登山道の様子はどうか」「もう雪が溶けて登山道が開通したか」など、さまざまな直近の情報が知りたいなら ヤマレコ を見ると良いでしょう。
山を登ったレビューをたくさん見ることができます。
ただ、いずれも一般の方の書き込みになるので、信憑性には気を付けてください。
気になる情報があった際にも鵜呑みにせず、他の方のレビューをチェックしたり、山小屋のWEBページをチェックしたりするなどするようにしましょう。
山小屋のWEBサイトは信憑性も高く詳しい情報も乗っておりオススメです。
ライブカメラによるリアルタイム画像もあるので、現在の山頂の様子も知ることができます。
山の天気は変わりやすく、ベテラン登山者でも天気図が読み切れないこともあるほどです。
そんなときにオススメなのが山専用天気予報サービス「 ヤマテン 」。
ヒマラヤ遠征などでアドバイザーを務めるような山のスペシャリストが、山別に天気予報を発表してくれているのです。
ただ、それでも天気予報はあくまで参考程度。
急な雷雨など、アルプスでは何が起こってもおかしくないので、最大限の準備をして臨みましょう。
さて、ここからは槍ヶ岳登山に必要な装備をご紹介します。
何度も申し上げますが、準備はしすぎて困ることはありません。
最大限の準備をして、少しでもリスクを減らすことが重要です。
ここでは初心者の方が2泊3日で山小屋泊をする場合の装備を取り上げます。
食事は全て山荘で食べることを前提としています。
なお、登山用ギアは購入した後、一度試してから使用するようにしてくださいね。
自分の身体に合わなかったり、パーツが足りず使えなかったりすることもあります。
自分の身体にあった、使い慣れた登山用リュックを用意しましょう。
サイズは30〜35L程度あると良いでしょう。
なお、レインカバーは必ず用意しておきましょう。
ザックは背負い心地の良い Gregory(グレゴリー) がオススメです。
エントリーモデルの「ズール」(男性用)「ジェイド」(女性用)で十分対応できますよ。
2レイヤー〜3レイヤーのレインウエアを上下用意しましょう。
雨が降ってきた場合、風雨の中登山を続けることになるので、ゴアテックスなどの防水透湿性能を持つレインウエアをチョイスしてください。
The North Face(ノースフェイス)のレインウエア「レインテックス」はコストパフォーマンスも高くおすすめです。
槍ヶ岳での登山の服装は、これといって決めるのは難しいです。
スタート地点となる上高地は標高1,500m 、そこから山頂が3,170mですから、合計1,500mを登ります。
気温は1,000mで約6度下がるので、約9度の差があるということ。
それに加え、山頂付近は風も強いですから、体感温度はさらに低いものなります。
どんな服装でも、登山時には涼しかったが山頂付近では寒いといったケースが発生します。
そのため、求められるのは 「気温の変化に柔軟に対応できる服装」 なのです。
基本的にはベースレイヤーとミッドレイヤーの服装で登り始めると良いでしょう。
登り始めるとすぐ「少し暑いな」くらいに感じられるかも知れません。
どうしても暑い場合はベースレイヤーだけになったり、寒くなったときはミッドレイヤーの上から薄手のフリースを着たりするなどの工夫をしてください。
服装のレイヤリングについては 登山の服装について書いた記事 をご覧ください。
基本的な用語については簡単に解説しておきます。
・ベースレイヤー
最初に身体の上に着るスパッツなどの肌着。
登山用のものが販売されているのでそちらを選びましょう。
ベースレイヤーとして、身体の動きをサポートしてくれるサポートタイツなどを履くのもおすすめです。
モンベルのベースレイヤーがコストパフォーマンスが高くおすすめです。
厚みには種類がありますが、夏の槍ヶ岳登山なら薄手の「L.W(ライトウエイト)」がおすすめです。
・ミッドレイヤー(行動着)
ベースレイヤーの上から着る服のこと。
行動着ともいわれる通り、行動する際の最小単位になります。
登山用パンツ、シャツなどが挙げられます。
・アウターレイヤー
マウンテンパーカーなど。
一番外側に羽織り、風や雨による体温の低下を防ぐ役割を果たします。
先程ご紹介したレインウエアがこのアウターレイヤーにあたります。
アルプス登山には、完全防水でしっかりとしたグリップ力のあるミドルクラスの靴が必要です。
雨が降ることも想定してハイカットタイプにしておきましょう。
購入後は必ず履き慣らしを行い、靴ずれがないかどうかなど確認してから本番に臨んでくださいね。
3日間にもわたり長時間歩行するため、登山靴は自分に合ったものでなくてはいけません。
メーカーによってサイズがまちまちなので、好日山荘や石井スポーツなどの登山量販店できちんとフィッティングしてから購入するようにしましょう。
初心者の方にオススメの登山靴は日本の登山靴メーカー「SIRIO(シリオ)」。
イタリア製のものなどは日本人の甲高盤広の足型に合いにくいことも多いですが、シリオは日本人の足型で商品を設計しているので日本人の足に合いやすい靴になっています。
また、防水透湿性素材「GORE-TEX(ゴアテックス)」、滑りにくいイタリア製ソール「Vibram(ビブラム)」を採用しながら2万円を切る価格設定と、コストパフォーマンスが高いのも嬉しいポイントです。
夏の北アルプスは、朝夕はぐっと冷え込むためポケッタブルになるダウンやフリースなど,防寒アイテムを持っていきましょう。
休憩時に体が冷える際はレインウエアの中に着込めば体温を保つことができます。
ダウンは小さくコンパクトになりますが、濡れに弱いことがデメリット。
フリースはかさばりますが濡れても保温力を持つことが特徴です。
荷物の量などを踏まえて選ぶと良いですが、フリースはかなりの容量になるため、特別なこだわりが無ければダウンがオススメです。
保温が目的になるのでファッションブランドのものでも構いませんが、できれば小さくコンパクトになり、保温力もバツグンのアウトドアブランドのものにするといいでしょう。
アルプスの夜は、光が全く届かないためとても暗く、山小屋に泊まっていてもトイレまでの道が見えないことも多くあります。
そのため、未明に行動する予定がなくてもヘッドライトは必須です。
目安としては、200ルーメン以上あれば未明の登山も含めて安心です。
ここで紹介している以外にもおすすめ機種など、詳細は ヘッドライトについての記事 をご覧くださいね。
登山は大量のカロリーを消費するスポーツですので、カロリー不足になるとバテてしまいます。
昼食の他にも携行食を用意し、定期的に補給するようにしましょう。
マカダミアナッツなど、かさばらず高カロリーなものがオススメです。
常備薬や絆創膏・ガーゼ・三角巾などの応急処置アイテム、またモバイルバッテリーなど、緊急時に必要なアイテムはまとめてパッキングし、バックパックの中ですぐに取り出せる場所に入れておきましょう。
また、持っておきたいのが非常用のホイッスル。
もしものときに声を出し続けるのは難しいため、自分の位置を知らせるのに役立つアイテムです。
携行食とは別に、緊急時に1日でも長く生き延びるために常備する食料です。
「カロリーメイト」や、アウトドア用携帯食料「クリフバー」などがオススメ。
何日分かにわけて携帯するようにしましょう。
緊急用食料も救急キットと同じ場所に収納しておくとよいでしょう。
水筒は1〜2L程度入る大きめの水筒と、500ml程度の携帯用の2つ持っていくのがベストです。
山小屋ごとに湧き水が汲めるので、少なくなったら大きめの水筒に補給して持ち運ぶのが良いでしょう。
サブの水筒には身体に浸透しやすいスポーツドリンクを入れておくのがオススメ。
スポーツドリンクは山小屋でも購入できますが、粉末タイプのスポーツドリンクを用意すれば、大きめの水筒の水でスポーツドリンクを作ることができます。
メインの水筒はコンパクトになるPlatypus(プラティパス)のようなボトルや、リュックから直接水を補給できるハイドレーションタイプがオススメです。
槍ヶ岳が有数の人気の山だからといって、道迷いのリスクは存在します。
地図・コンパスは必ず持っていきましょう。
また、登山の行程をできるだけ詳細に記した登山届は必ず提出すること。
もしもの場合に警備隊が捜索する重要な手がかりとなるので、登山口で届け出るようにしましょう。
登山者に屈指の人気を誇る「槍ヶ岳」についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ハードルが高く見えるアルプス登山ですが、槍ヶ岳は比較的登りやすく、登山初心者の方でもトレーニングや準備をきちんとすれば挑戦できる山なので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
2 日かけて槍ヶ岳を登り切り、穂先から見た絶景の美しさは一生忘れられないこと間違いないですよ。
公開日 : 2018/08/28