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富士山攻略ポイント:富士登山において法律で禁止されている行為
日本一の高さ(3,776m)を誇る独立峰です。
古くから霊峰とされ信仰の対象となっており、山頂には浅間神社があります。
歌川広重の作品に代表されるように、数多くの芸術作品の題材ともなっており、文化的にも非常に大きな影響を与えています。
また、気候や地層など地質学的にも重要な山として知られています。
こういった点が評価され、2013年にはユネスコの世界文化遺産に認定されました。
そんな日本人の「心の山」といっても過言ではない富士山。
あなたも登ってみたいと思いませんか?
富士山はその孤高の美しさと荒ぶる噴火により、「神の住む山」とされ、古くから信仰の対象になってきました。
平安時代以降は「修験道」のルートになっていたといいます(平安時代から富士山を人々が登っていたなんて驚きですね!)。
山頂部には浅間大神が鎮座するとされ、山頂には浅間神社があります。
この富士山頂にある浅間神社は、実は全国にある浅間神社(約1300)の総本宮なのです。
富士山はその信仰の厚さから、日本三大霊山の一つとして数えられています。
ちなみに、残る二つは 富山県 の立山(3,015m)と 石川県 と 岐阜県 にまたがる白山(2,702m)。
富士山を登った後は、三大霊山を制覇するのもいいかも。
パワースポットとしてこのうえない威力を発揮してくれそうですよね。
小説家の深田久弥により1964年に選定された日本百名山。
登山好きの中ではこの百名山はとても有名で、百名山ハンターなども存在します。
山容だけでなく、歴史や文化などの側面も合わせて評価し、日本の百の山が選ばれています。
もちろん、富士山も選出されています。
富士山で登山デビューして、百名山制覇に挑戦する人も多いんだとか。
山小屋には百名山ピンバッジが売っているので、お土産にいかがでしょうか。
富士山はその標高ばかりに目が行きますが、登山の基本的な知識や装備・スキルがあればそれほど難しい山ではありません。
理由は、登山可能な時期がきっちりと定められていることと、登山者が多いため道に迷ってしまうリスクが少ないこと、登山道が整備されているため怪我などの危険も少ないことです。
とはいえ、日本で最も高い山ですから、山頂付近は真冬並みの寒さで、とてつもない強風や雷雨に襲われることもあります。
また、ルートによっては人が少なく、道が分かりにくい場所もあります。
しっかり準備して、富士山登山に臨みましょう!
富士山は年中登れる山ではありません。
登山ルートが開通する7月上旬〜9月上旬がシーズンとなっています。
一般的には7月1日に山開きとされていますが、年によって変わる可能性がありますので、WEBサイトを参照してください。
また、ルートによって開通する日が異なります。
例年、吉田ルートが山開きの日に開通し、その他のルートはそれに続く形でのオープンとなっています。
東京 や 横浜 、 大阪 、 名古屋 などからたくさんのツアーがでています。
初心者で不安な人は登山ガイドが同行するツアーの利用がオススメです。
ペース管理や安全の判断などについては登山ガイドがいると安心ですね。
ただ、ツアーだと団体行動になるので、写真を撮ったり山小屋で休憩したりといった自分のペースで上ることは難しいです。
個人での登山は、ツアーよりリスクが高くなることを承知の上でしっかりとした準備をして臨んでください。
費用は、ツアーでも個人でもそこまで変わらず行くことができます。
最もポピュラーな「東京から一泊二日で富士山へ行くプラン」を例に、料金を計算してみます。
吉田ルートの登山口がある富士スバルライン5合目までの交通費が往復で約8,000円。
山小屋宿泊代が約10,000円。
食事代・トイレ代が10,000円程度だと考えると、合計28,000円程度が予算になります。
ただ、これはもちろん装備にかかる予算を考えていません。
装備については後ほどご紹介させていただきます。
富士山での事故の多くは、余裕のないプランが原因です。
車で夜のうちに登山口まで行き、山頂まで一気に上りご来光を観て、その日のうちに夜行バスで帰る・・・という「0泊2日」などの弾丸プランで起こりがちです。
バスの時間に遅れてはいけないとの焦りからペースを早めて高山病にかかったり、突然の雨に足を滑らせて怪我をしたりなどがよくあるケースです。
時間やプランに余裕をもたせた登山を心がけてください。
よく聞くのが「富士山が初登山なんです!」という声。
素敵なことだとは思いますが、とてもリスクの高い行為です。
富士山に行くと決めたら、必ず一度は周辺の低い山に登ってみてください。
関東だと高尾山、関西なら六甲山などのポピュラーな山にのぼるのがオススメです。
特に靴については、ぶっつけ本番で富士山へ行くと靴ずれするなどといった危険も・・・。
必ず慣らし履きをしてから富士山に望んでください。
また、低山登山でチェックしたいのは体力面です。
富士山登山では一般的な吉田ルートで登り6時間、下り3時間半は歩くことになります。
当日と同じ装備で行ってみて、体力がついていけそうかどうか確認してください。
登山未経験者が「富士山を登ろう!」と思った場合、最もハードルになるのが装備です。
本格的な登山道具を全部一から揃えようとすると20万円ほどかかってしまうことも・・・
防寒着やリュックは手持ちのもので代用するなどの工夫をしてもいいでしょう。
また、雨具やストック、ヘッドライトなどはネットで借りれるレンタルサービスもあるので利用してみると良いかもしれません。
必ず購入したいアイテムとしては、登山靴です。
モンベルや好日山荘、石井スポーツなどの登山量販店へ行き、きちんとフィッティングをしてもらい、自分の足にあった靴を選んでください。
登山における服装の基本は重ね着(レイヤリング)です。
登っているときはとても暑く、休憩をしているときにはとても寒いです。
スポーツ用のインナーやジャージ、ウィンドブレーカー(雨具でも構いません)で登り、休憩時には防寒着をウィンドブレーカーの下に着るといった具合に、こまめに調節をしましょう。
特にご来光待ちはかなり冷え込みます。
休憩時に着る防寒アイテムとしては、コンパクトになるダウンやフリースなどを持っていくといいでしょう。
こちらは登山用でなくても問題ありません。
先程も述べましたが、靴は最重要アイテムです。
スニーカーだとソールが薄いので、長時間硬い岩の上を歩いていると足底が打ち身のような状態になり、歩く度にジンジンと痛むようになってしまいます。
また、雨が降るとスニーカーの中までズブズブに濡れてしまい、それが冷えて体温を奪い、低体温症に繋がる危険もあります。
登山用品店にて、防水タイプの自分の足にあった登山靴を選びましょう。
なお、雨具は絶対に必要です。
天気予報が晴れでも、富士山では天気がころころ変わります。
雨具がないと、体が濡れて低体温症につながります。
ビニールでできた雨ガッパでは中が蒸れてしまうので、防水透湿素材でできた登山用の雨具がマストです。
登山では両手が空くリュックを使いましょう。
背負いやすいもので、日帰りだと20〜30Lくらいの容量のものがオススメです。
こちらも雨の場合に備えて、レインカバーを忘れず入れておきましょう。
また、必携アイテムとして挙げられるのがヘッドライトです。
ご来光を観に行く場合などの行動時、また万が一遭難して道に迷い、日が暮れてしまった場合に備えて必携のアイテムです。
予備の電池と一緒に携帯するようにしましょう。
その他リュックの中には、救急用品や携行食、防寒着や手袋を忘れずに入れてください。
あると役立つ道具としては、トレッキングポールです。
下山時に膝に負担がかかるので、あると膝を痛めるリスクが少なくなります。
また、特に吉田ルートの山小屋に泊まる場合はすし詰めになる場合があります。
耳栓があると役立ちますね。
必ず買いたい登山靴は、15,000円ほどで購入できます。
その他の装備は一泊二日でレンタルしたとして15,000円ほど。
合計30,000円あれば最低限の装備は揃えることができます。
富士山の登山時期は限られており、特にお盆時期や週末は非常に混雑します。
山頂でご来光を見ようと思って登頂を始めても、辿り着く前にルートの中腹でご来光、なんてこともしばしば。
混雑を避けるには平日に行くか、時間をずらすか、人気ルートを避けるかなどの工夫が必要です。
富士山は2014年から入山料(富士保全協力金)を任意徴収しています。
登山者が増加し、トイレの保全や登山道の整備、救護にかかる費用などが膨れ上がったためです。
入山料は一人1,000円。
コンビニエンスストア、インターネットでの支払いによる事前納付や、5合目の総合管理センターや6合目の安全指導センター、富士北麓駐車場で現地支払いが可能となっています。
山梨側で支払うと記念品として富士山保全協力者証がもらえ、山梨県内の温泉施設などで提示すると特典を受け取ることができます。
静岡側で支払うと歌川広重の缶バッジがもらえます。
任意徴収にはなりますが、富士山の保全に使われるので必ず支払いましょう。
富士山では禁止されている行為があり、これを破ってしまうと警察沙汰になってしまうので注意しましょう。
とはいっても当たり前のことばかりですので、列挙するにとどめておきますね。
富士山に限った話ではなく、登山における全般的なマナーを紹介します。
登山は自己責任です。
出したゴミは自分で持って帰りましょう。
登山届とは、どのメンバーでどのような計画で富士山に登るかを記入し、登山前に警察署に提出するものです。
万が一の場合、山岳救助隊が出動する際に手がかりになるものですので、必ず提出しましょう。
吉田ルートでは5合目の総合管理センター、富士宮ルートでは5合目の総合指導センター、須走ルートでは5合目の臨時派出所、御殿場ルートでは5合目の観光案内所でそれぞれ提出できます。
インターネットで検索すると、フォーマットと書き方がすぐ出てきますので、印刷して事前に書いておくのがオススメです。
富士山でよく聞くトラブルの代表は高山病です。
一般的に高山病は2,500mを超えた場所から症状が現れ始めると言われており、標高3,776mの富士山では症状が出る人も多くいます。
症状としては、疲労感・脱力感・頭痛など。
高山病の原因としては、急激な高度変化が挙げられます。
そのため、最も効果的な対策は「ゆっくり登ること」。
時間に余裕があれば5合目で1〜2時間休憩するのがオススメです。
「あれ?しんどいかも?」と思ったら、腹式呼吸で深呼吸し、こまめに水分補給をしましょう。
肺で酸素をより多く取り込みます。
登山用品店では酸素が含まれたタブレットが販売されていますので、心配な人は携帯しておくと良いです。
また、お酒やタバコは高山病をエスカレートさせます。
特に山小屋のビールは最高なので、飲み過ぎには気をつけてください・・・!
7月〜9月の登山時期以外にも登山できるのでは?という声がありそうですが、初心者のみなさまは絶対やめておいてくださいね。
冬の富士山はヒマラヤ並の環境だと言われています。
独立峰というその特徴的な形状により山頂付近はただでさえ風が強いのに加え、冬は北西からの季節風が常時吹いているという状況です。
過去には周辺で航空機の墜落事故を引き起こしたこともあります。
その強風のため、雪がつかずアイスバーン状態になり、アイゼンもかからずピッケルを頼りにして登る・・・というエクストリームな状態なのです。
5合目以降の山小屋や公衆トイレは閉鎖されており、山梨県も静岡県も万全な準備をしない登山者の登山を厳禁しています。
富士山の山頂に至るルートは吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4つ。
それぞれ起点となる登山口も異なるので、特に下山時に間違って違う道に降りてしまわないよう注意しましょう。
ここでは、山頂にて富士山の火口の周りをぐるっとまわるお鉢めぐりというコースも合わせて紹介します。
登り約6時間、下り約4時間のルート。
4ルートの中で最も人気なルートです。
登山者全体の6割がこのルートを通って山頂へ向かいます。
山小屋は多くあり、道幅が広く段差も少なく歩きやすいため、ルート全体の難易度は低いです。
ルート上から夕方には影富士を、早朝にはご来光を見ることができます。
ピーク時は8合目あたりから渋滞し、山小屋はとても混雑してすし詰め状態になってしまいます。
ピーク時期を避けたり、時間帯をずらしたりするのがオススメです。
登り約6時間、下り約3時間のルート。
このルートを使うのは登山者全体の1割ということもあり、比較的空いているルートです。
樹林帯からスタートするため、富士山の高山植物を楽しめて、下山時には砂走とよばれる砂が堆積したエリアを通ることができます。
バリエーション豊かなルートと言えるでしょう。
ただ、空いているのも8合目まで。
そこから上は吉田ルートと合流するので渋滞を覚悟する必要があります。
また、下山時に誤って吉田ルートに進んでしまわないよう注意しましょう。
登り約7時間、下り約3時間のルート。
5合目登山口までマイカーでアクセスできる唯一の登山道です。
登山口の標高が1440mと最も低く、最も距離の長いロングルートです。
利用する登山者は6%ほどとごくわずかのため、非常に空いていますがその反面、山小屋も少ないです。
8合目付近まで大砂走りが続き、異世界を歩いているようで魅力的ですが、砂に埋れながら進んでいくことになるため体力が必要です。
午後になるとガスが発生して道がわからなくなるケースも。
初心者にはハードルの高いルートと言えるでしょう。
登り約5時間、下り約3時間のルートで、4つの中で二番人気となっています。
登山口の標高が2,380mと全ルートの中で最も高いため、最も短い時間で山頂に到達できます。
山頂到達後も剣ヶ峰が近いため、お鉢めぐりをしなくても最高峰へスムーズに登頂できます。
展望もよく、ルートからは天気が良ければ駿河湾を一望できます。
デメリットは、全体的に岩場が多く登りにくいことと、短い距離で山頂まで上がるので高山病のリスクが高いことです。
また、登山道と下山道が同じルートのため混雑し、そこまで早く登れるわけではない日もあります。
直径600m、深さ200mの富士山の山頂をぐるっと一周するルートです。
360度の大パノラマの中、大迫力の火口を眺めながら浅間神社、富士山最高峰剣ヶ峰を回ることができます。
所要時間約90分。
天候が良く、余力があればぜひ参加してみてください!
さて、富士山登山の攻略ポイントを見てきましたが、登山計画はイメージできましたでしょうか?
最後に富士山登頂プランについて紹介します。
ポイントは「無理しない」プランにすること!
自分の体力と相談しながら、プランを立ててください。
登山口までは、マイカーでアクセスするかバスを利用します。
マイカーの場合、御殿場ルート以外は登山期間中マイカー規制を行っています。
そのため、麓にある駐車場でシャトルバスに乗り換える必要があります。
マイカーでのアクセス以外には、以下のように麓の主要駅から路線バスを利用します。
以下に紹介する以外にも、東京や大阪、名古屋などの主要都市から登山口まで直通の高速バスが出ていたりもするので調べてみてください。
富士急行線河口湖駅・富士山駅から登山バス。
または、新宿高速バスターミナル、羽田空港より高速バス(夏季のみ)。
JR御殿場線御殿場駅、または小田急線新松田駅から登山バス。
JR御殿場線御殿場駅から登山バス。
JR東海道本線三島駅、またはJR東海道新幹線新富士駅・東海道線富士駅・身延線富士宮駅から登山バス。
または、JR静岡駅より高速バス(夏季のみ)。
富士山で宿泊先となる7〜8合目の山小屋は予約が前提です。
プランができたら、早めに予約をしてしまいましょう。
ちなみに、水が貴重な山小屋では、お風呂や手洗い場は使用できません。
富士山のルートはさまざまありますが、通常は一泊二日で下りることができますので、プランはそこまでのバリエーションはありません。
ここでは代表的なプランを紹介します。
どのプランでも共通ですが、15時までには山小屋に到着してください。
暗くなる前に余裕を持って行動できるようなプランを立てましょう。
なお、夜に登山口を出発し徹夜で登頂し山頂でご来光を見るという、スーパーハードな弾丸登山プランをする方もたまに見受けられますが、安全面を考慮し省略させていただきます。
やはり登山は「楽しく」登りましょう!
1日目:夕方前までに7or8合目の山小屋に到着。
2日目:AM1時頃山小屋を出発。未明に山頂へ到着し、午前中のうちに下山。
「富士山といえばご来光!」となんとしてもご来光を見たい方にオススメのプランです。
ただ、このプランの登山者はとても多いため、山小屋やルートは混雑必至です。
吉田ルートを避ける、早めに山頂につく、なども検討しましょう(山頂での防寒対策はくれぐれも抜かりなく行ってください)。
1日目:夕方前までに7or8合目の山小屋に到着。
2日目:山小屋でご来光を見てから朝食をとる。AM6時頃山小屋を出発し、14時頃下山。
最も余裕のあるプラン。
睡眠をたっぷりとれるので、体力的に自信の無い方におすすめです。
山頂でお鉢めぐりをしても充分夕方までに下山できます。
1日目:5合目に到着。3時間程度仮眠。
2日目:未明に朝5合目を出発し、昼に登頂。夕方に下山。
夜に到着し、このプランで登る人も多くいます。
3時間程度の睡眠で未明から夕方まで歩き続けるので、体力に自信の無い方は厳しいかも。
車中泊なら山小屋代を節約することができます。
富士登山は初心者でも挑戦できる山だということがお分かりいただけたでしょうか?
決して難しい山ではないですが、「体力があるから大丈夫!」などと侮るのが一番いけません。
登山は体力だけでなく、装備やスキルも問われるからです。
さぁ、あなたもしっかりとした準備をして、ぜひ日本で最も美しい山に挑んでみてください!!
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最終更新日 : 2023/03/10
公開日 : 2018/03/07